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阿久悠物語に改めて想った昭和 その6
親愛なるアッティクスへ

今更ながら、このシリーズの続編です。

「アーティストが意味のない英語をまぶした詩を書くからプロの作詞家が育たず、時代を歌で捉えられなくなっている」

阿久悠物語に改めて想った昭和 その6_e0027240_17595382.jpgこれはドラマ・阿久悠物語の中での阿久氏の結びの言葉ですが、でも、私に言わせれば、そこへ道を開いてしまったのは阿久さん自身なんじゃないですか・・・と。
時代にウケるワードをやたらちりばめ、時代に受け入れられる歌、つまり、売れる歌を作る・・・。

媒体を売れるように加工し、その一助として、売れそうな詞を付けて売り出す・・・。
良い悪いは別にして、やはり、そこへ導いてきたという点では阿久氏の存在は無視できないものがあったのではないでしょうか。
(その意味では、これからの時代、私は、「モロ、直訳」みたいな歌詞なんて、面白いんじゃないかと思いますね。)

阿久氏については、当時、私は、「いかにも売れそうな詞を書く商業的職業作詞家」・・・という認識だった・・・という話は以前から述べてきたとおりなのですが、先日、たまたま、目にした毎日新聞に興味深い記事が載ってました。
ジュリーと呼ばれ、一時代、一世を風靡した沢田研二さん(一発で変換しないとは・・・。私的には結構、驚き・・・。)のインタビュー記事だったのですが、この人については、私的には、やはり、昭和の時代に、演技に、大車輪の活躍をしていた「スター」としての印象が強いです。
(当時、私、結構、この人の曲が好きでレコードなんかも持ってましたよ・・・。)
この人は、私が若い頃には、すでに30を越えていたにもかかわらず、まだまだ、トップ・アイドルとして輝き続けるのをみて、「この人は、永遠にアイドルのまま、走り続けるんだろうな・・・」と、そんな気がしてましたが、ある日、気が付いたら、テレビから消えてました・・・。
ちょうど、今の、木村拓哉さんを見ているような気がします。
こういうものは、割合、突然に、終焉がやってくるもののようで・・・。
(この点は、沢田さん自身、当時から、「売れていても安心できなかった。売れても、もっとやろうと思った」と、熟しやすく冷めやすい視聴者の目を強く意識していたことを述懐されてました。)

それはさておき、そのインタビューの中で注目したのは、沢田さんが、「ぼく、個人的好みで言うと、阿久先生魅力を感じてなかったんですよ」と述懐された部分でした。
阿久先生とは、言うまでもなく、昨年亡くなった作詞家、阿久 悠さんのことですが、歌って、しかも、見事にヒットさせていた当事者が言うのは少々、意外でした。

記事から抜粋させて頂くと、曰く、「『時の過ぎゆくままに』 (75年)もそう。もしも二人が愛せるならば恵の景色も変わっていくだろう、ってかっこよすぎる。『サムライ』 (78年)にしても、男は悲しいサムライと断定する詞はぼくには合わなかった。男はサムライって言うけどさあ……みたいなのが好きなんです」
「だからぼくは感情を入れずに無味乾燥な歌い方をして、強い力で圧倒してくる阿久先生に『負けへんで』って立ち向かっていた」・・・と。
そして、「喜んで歌っていたら、売れてなかったと思う」とも述べておられましたが、この点は、何となく、言わんとされていることはわかるような気もしますね。
                              平太独白
by heitaroh | 2008-10-20 18:31 | 文学芸術 | Trackback | Comments(8)
Commented by mimishimizu3 at 2008-10-21 08:45
とても面白い指摘ですね。
Commented by へいたらう at 2008-10-21 17:55 x
<mimishimizu3さん

有り難うございます。
お褒めにあずかり恐縮です。
Commented at 2008-10-22 13:31
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by heitaroh at 2008-10-22 18:12
<非公開コメントさん

いえいえ、とんでもないです。
わざわざ、ご丁寧にすみません。
Commented by sakanoueno-kumo at 2012-07-03 17:07
たいへん興味深いお話をありがとうございます。
私も当時、阿久悠さんの世界観より、それ以前の安井かずみさんの世界観のほうが好きでした(とくに『追憶』が好きでした)。
でも、ジュリー本人がそう思っていたとは知りませんでしたね。
たしかに、『追憶』などは思いっきり感情を込めて歌っているのに、『時の過ぎゆくままに』は妙にドライな歌い方ですもんね。
いわれてみれば・・・と。

ジュリーは今でも、懐メロ歌手扱いされるのは嫌だとして、昔の歌をテレビで歌うことを一切拒否しており、特別な理由がない限り昔の映像を流すこともあまり許可しないと聞きますが(阿久さんが亡くなられたときも、追悼番組などの出演依頼をすべて拒否したとか)、あるいは、今でも阿久さんの世界と戦っているのかもしれませんね。
Commented by heitaroh at 2012-07-04 12:57
< sakanoueno-kumoさん

奇遇ですね。
実は私も沢田研二の曲の中では追憶が好きでしたがただ、当時は歌手の名前だけ見て作詞家の名前まで見てませんでしたから、今の今まで追憶も阿久悠作詞だと思ってました(笑)。

当時、九州という土地柄もあるのかもしれませんが、沢田研二や郷ひろみのようなアイドルの歌なんて男が聞くものじゃないという雰囲気があったのですが、やはり芸能に関してはきちんと評価する福岡人ゆえか、徐々に徐々に、「沢田研二良いよ」とか、「郷ひろみのレコード買った」・・・などとなっていき、結構、皆、高い評価を与えていた記憶があります。
私も結構、レコード持っていたと思います。

一番好きだった曲・・・何だったけかなぁ。思い出せません(笑)。

もし、ご興味がありましたらこのシリーズ、全部見てみてください。
阿久悠のタグをクリックすれば見られると思いますので。

あ、忘れてました。
こういうのもありましたよ。

http://www.youtube.com/watch?v=nMp0SuV08lY&feature=fvwrel
Commented by sakanoueno-kumo at 2012-07-05 17:17
シリーズすべて読ませていただき、紹介していただいたユーチューブも観ました。

あらためて思うのは、感性で書くアーチスト肌の作詞家と、ニーズに合わせて書く職人肌の作詞家、どちらが上ということもないのかなぁ・・・と。
小説家と脚本家の違いといいますか・・・。
前稿のコメントで小室氏のスタイルを批判しましたが、考えてみれば、自分の感性だけで書きたい曲を書く作曲家と、CMソングを依頼されて、その商品が売れるための曲を書く作曲家と、どちらも必要ですし、どちらが優れているというものでもないのかなぁ・・・と。
ちょっと考えがまとまらず、上手くいえませんが・・・。

いずれにせよ、たいへん面白かったです(世代的にもどストライクですし)。
図々しくコメントの連発すみません(汗)。
すべてに返答はご無用です。
Commented by heitaroh at 2012-07-07 13:16
< sakanoueno-kumoさん

一言で言って、感性で書く作詞家はアマチュア、ニーズに合わせて書く作詞家はプロ・・・だということだと思います。
ただし、それはスタイルの違いだけで、プロが全てにおいて優っているというわけではありません。

阿木耀子さんが詩を提供しだした頃、税務署から旦那の宇崎竜童が作ってて税金逃れのために嫁の名前にしているんじゃないかと疑われたといいますが、それほどに周囲から見ても阿木耀子さんは素人だったんでしょうね。
それがあれほどに素晴らしい詩を書く。
それだけに、最初の頃はビギナーズラックだったんでしょう。でも、それがプロとして認められだすと、プロとしての詩を求められだす・・・。
すると苦しみ始めて、書けていたものが書けなくなった・・・という話もされてました。
暇暇で思いついた時に楽曲が提供できるスタイルで受け入れてくれればいいんでしょうが、それで収入を得るようになるとなかなかそうもいかないのでしょうね。

ちなみに、もう、返答してしまいました。おかげで昼飯今からです(笑)。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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