人気ブログランキング | 話題のタグを見る


小泉元総理引退にみる二世議員の階層化の是非
親愛なるアッティクスへ

先週からの続きになるのですが、小泉純一郎元総理が引退に伴い、後継者として次男を指名したこへのマスコミの論調を見ていると、小泉嫌いというよりは、小泉否定のように聞こえ、何だか、かつての吉田 茂への生理的なまでの否定的論調と似ているような気がしますが如何でしょうか。

さておき、その世襲ですが、それに否定的な人たちの最大の根拠は「親が優秀だからと言っても子も優秀だとは限らない」ということにあるのだと思いますが、「子は優秀ではない」と決めつけるのは、湯川教授じゃないけど、「実に非論理的・・・」でしょう。
ただ、そうは言っても、現実には、徳川将軍家歴代将軍がすべてに英邁でもなかったことを考えれば、「次も優秀である」と言い切るのも、これまた「実に非論理的・・・」だと。
つまり、この辺は、以前から、平太郎独白録 「オーナー企業は是か非か!」の中で申し上げて来たように、「オーナー社長」「雇われ社長」とはどちらが良い悪いということではなく、本来は双方うまく組み合わせて使うものだと・・・。

その上で、世襲議員ですが、私はこれは、それほど悪い傾向ではないと思います。
まず、大英帝国を始めとするヨーロッパ諸国には、古代ローマ以来の「ノブリス・オブリージュ」すなわち、「高貴なる者の責務」という概念があり、彼らは特権階級であると同時に、国家に対しても責任を負っていたわけで、この考え方は明治以降の日本でも導入され、戦前は皇族と呼ばれる人たちは、皆、同時に軍人であることが義務づけられており、つまり、戦前の日本では、華族・皇族などの貴族たちは、国家の存亡に対して、一蓮托生的「責任」を持つよう宿命づけられていたといえるわけです。
(それが衆議院に対する貴族院というものの存在として顕れていたのだろうと思います。少なくとも、選挙の洗礼を受けるのでしたら、「良識の府」というのは機能しませんよ。)

ところが、戦後、ご承知の通り、GHQの政策により、華族はおろか皇族とて、臣籍降下を余儀なくされたことで、日本からは貴族はいなくなってしまったわけですが、このことは同時に、天皇と共にオーナー意識を共有し、何代にも渡って、祖国の将来に責任を負う階層が居なくなってしまった・・・ともいえるわけです。
そしてその結果が、先日から申し上げている「自分の任期中だけ景気が良くなればいいという、歴代政権の雇われ社長的体質による天文学的な赤字国債の積み重なりであり、同様にオーナーを持たないアメリカブッシュ政権による今日の破滅的な災厄であるといえるでしょう。

ところがところが、それから年月を重ねるに連れ、GHQの思惑とは裏腹に、段々と、二世議員が増えて行き、今や、与党も野党も世襲議員だらけになってしまったと・・・。
しかしこれは、ある意味、日本型社会という土壌に種を蒔いた結果出来た品種であるともいえ、すなわち、国民全体が「階層としての世襲議員」、つまり、かつての貴族層のような物を招き寄せた結果だとも言えるのではないでしょうか。
(小泉さんのところだって、けしからんと言うなら、選挙民が落とせば良いだけで・・・。)

で、この二世議員というものが「階層」として存在することの良いところは、戦前のように、貴族に生まれつけば、無審査で半ば永遠に貴族で在り続けられるわけではなく、選挙という、それなりの審査を受けなければならないことです。
その意味では、「国家に責任を持つ階級として存在しながらも、特権階級としての永続性は保証されない」という、ある意味、理想の制度なのかも知れません。
まあ、選挙というフィルターを経る分だけ、大所高所より政策をチェックする機能は減退するでしょうけどね。
                      平太独白

by heitaroh | 2008-09-29 08:00 | 政治 | Trackback | Comments(0)
<< アメリカ金融危機は対岸の火事で... 歓迎されない命令は実行されないの理 >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
ライフログ
最新のコメント
sakanoueno-k..
by heitaroh at 19:20
おっしゃる通りですね。 ..
by sakanoueno-kumo at 14:59
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:01
堀で防御を固めたような大..
by sakanoueno-kumo at 15:36
> sakanoueno..
by heitaroh at 11:34
> sakanoueno..
by heitaroh at 11:24
おっ! ここ行かれたん..
by sakanoueno-kumo at 22:00
なるほど。 そこまでは..
by sakanoueno-kumo at 21:49
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:13
おっしゃるとおり、悪人と..
by sakanoueno-kumo at 13:53
> sakanoueno..
by heitaroh at 11:42
案外、美魔女妻に叱られて..
by sakanoueno-kumo at 21:20
> sakanoueno..
by heitaroh at 19:43
だけど、黒木華ちゃんって..
by sakanoueno-kumo at 10:59
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:21
検索
タグ
(67)
(56)
(55)
(53)
(51)
(46)
(43)
(42)
(42)
(36)
(33)
(32)
(31)
(31)
(30)
(28)
(27)
(27)
(26)
(26)
(25)
(24)
(24)
(24)
(24)
(23)
(22)
(21)
(21)
(21)
(21)
(20)
(20)
(19)
(19)
(18)
(18)
(17)
(17)
(17)
(17)
(16)
(16)
(15)
(15)
(15)
(14)
(14)
(14)
(14)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(12)
(12)
(12)
(12)
(12)
(11)
(11)
(11)
(11)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(9)
(9)
(9)
(9)
(9)
カテゴリ
以前の記事
2024年 10月
2024年 09月
2024年 08月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
最新のトラックバック
フォロー中のブログ
ブログパーツ
  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧