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歓迎されない命令は実行されないの理
昨日の続きでもあるのですが、小泉純一郎元総理が引退を表明された時、マスコミなどの報道を見ていると、少なからず、悪く言う意見が目に付きました。
しかし、私的には、昨日も申し上げましたように、その意見には賛成できません。
なぜならば、平成13年(2001年)4月に小泉内閣が登場するまでの歴代政権の多くはバブル崩壊後の深刻なデフレ・スパイラルの中、あくまで、「自分の任期中だけ景気が良くなればいい」という「痛み止め」政策に終始していたからです。
特に、小渕恵三政権時代には、連立パートナーの公明党が強引に主張したとはいえ「地域振興券」という商品券を配り、無用の極致といえる2000円札の発行を企図し、(私は紙の主要サイズB5版からA4版に変更になったのも消費喚起のための陰謀ではなかったかと思っています。官公庁などの公文書が一斉に、それまでのB5版で作られた物が廃棄され、新しく、A4が購入されたわけですから、これだけで、相当の出費ですよ。)さらに、減税や金融対策などを含む計約42兆円の経済対策を打ち出したものの、その4割を占めるのは、当時から効果が疑問視されていた公共事業でした。

当時、私はある先輩に、「資本主義の体質的行き詰まり」について述べたところ、「資本主義が行き詰まったのではなく、消費さえ回復すれば景気はよくなるんだ」という、答えが返ってきました。
さらに、別の友人は「減税すれば景気はよくなる」、「宮沢喜一大蔵大臣になればよくなる」などといったようなことを言う人もおりましたが、この点で私は消費云々という問題ではないと思っておりましたので、余計、小渕政権の政策には批判的でした。
(この点は、平太郎独白録 : 消費は是か非かをご参照ください。)

この辺の雰囲気を知る、当時、知己に書き送ったメールがあります。
曰く、「・・・消費税の福祉目的云々、それに商品券といい、二千円札導入といい、泣きたくなるの通り越して、もう、滑稽なまでにおかしくなります。これでアメリカのバブルが崩壊したらどうなるのでしょうか。痛み止めが訊かなくなって、嵐の中で、手術を受けたのでは、もう、病人ではなく、死人になってしまいますよ。自分たちの選挙のことしか頭にないんでしょうね・・・」と。

つまり、「このままでは大変なことになる!いい加減に痛み止めでごまかすのはやめてくれ!」・・・という沈痛な想いのところへ登場してきたのが小泉政権でした。
もう、日本経済の病巣は限りなく大きくなっており、遅いくらいでしたが、少なくとも、これまでと違い「痛み止め」ではなく、本気で、「痛みが伴いますが手術しましょう」と言い切る医者の登場に、これが「日本再生」の最後のチャンスかもしれない・・・と真剣にそう思いましたし、実際、小泉さんは、各政策の是非は別にしても、総理大臣という、あんな小さな権限しか持ってない中で出来る最大のことを為したと思います。

その意味では、橋下 徹大阪府知事の改革は行き詰まると思います。
彼は、安倍晋三氏と同様に、TOPが「右と言ったら、皆、右を向く」と思っていますが、大組織とはそういうものではありません。
「歓迎されない命令は実行されない」ということを理解するべきでしょう。
「歓迎されない命令」は、伝言ゲームを重ねていくうちに骨抜きにされ、ときには、いつの間にか、雲散霧消してしまうことさえあるものです。
無論、総理大臣と知事とでは、権限に違いはあったとしても、詰まるところ、今の日本で改革をやるには、結果的に、小泉方式の方が近道であり、それしかないと思います。
                              平太独白

by heitaroh | 2008-09-27 17:17 | 政治 | Trackback | Comments(6)
Commented by としき at 2008-09-27 17:56 x
小泉さんらしい幕の引き方ですね。
麻生内閣にはショックが大きいかもしれません。
それにしても後継ぎが次男でしたっけ、またも身内議員の登場でしょうか。
Commented by Kazu at 2008-09-28 17:25 x
小泉さんには今後引退後のカーター・ゴア・ブレア(彼は今のところ目立った結果は出していませんがその力はあると思っています)の路線を歩んでもらえればなあと思っています。ところで、小泉さんの前の森元首相今回の組閣でも相変わらず陰で暗躍しているようですね(あくまでマスコミ情報ですが)。興味はありませんがよくわからない人ですね。引退する気はないのでしょうかね。
Commented by FUSA at 2008-09-29 10:42 x
小泉さんの首相としての業績はずっと後の代にならないとわからないと思います。彼は厚生大臣を2回(計3期)やっていますが、その頃、私は健保連にも関わっていましたが、医師会や保険制度改革の問題などでも彼はほとんど動いてくれませんでした。(ミッチーなんかは積極的に動いてくれましたが・・・)おそらく興味が無かったんだと思います。
地域振興券、あれひどかったですね~!IT教育の進め方について、当初、竹中さんらはバウチャー制度を提唱していましたが、地域振興券のあまりの悪評に、バウチャー案を引っ込めざるを得なくなりました。もし、バウチャーを導入していれば私もちょっとは儲けたのに(笑)
用紙は企業では70年頃には殆どA4版に切り替わっていましたが、官庁関係がずっとB版でしたから、官庁提出書類の時に面倒な思いをしていました。A4版が標準になったのはISOの影響が大きいと思いますが、消費喚起の狙いもあったかもしれませんね。
世襲の問題も橋下知事の問題も要するに選挙民がどう判断するかだと思いますよ。大阪府民が、長野の田中康夫さんのように見捨てずに支持し続ければ府庁も変わらざるを得ないと思います。

Commented by heitaroh at 2008-09-29 12:41
<としきさん

世襲議員の存在という物は、私はそれほど悪いことだとは思っていません。
相応しくない人物なら、選挙民が落とせば良いだけで。
委細は、本日の記事に書いております。
よろしければご覧ください。
Commented by heitaroh at 2008-09-29 12:46
< Kazu さん

>カーター・ゴア・ブレアの路線を歩んでもらえれば

なるほど。
まあ、おそらく、性格からして、かつての岸信介のようなことにはならないでしょうから、そういう形になるのではないでしょうか。

森さんも任期中の評判はわるかったですよねぇ。
あの人はとにかく、マスコミと仲が悪かったそうで。
小泉さんは悪く言われても決して、マスコミを敵視しなかったですから。
Commented by heitaroh at 2008-09-29 12:55
< FUSA さん

人間ですから、得意不得意というものはあって良いと思うんですよ。
総理大臣が住民票の取り方に付いてまで精通する必要はないわけで。
必要とあれば不得意な分野を誰かに任せればいいことだと思います。

地域振興券、あれ、我が家は世代的にそれなりに恩恵を被ったのですが、こんなバラマキの極致のようなことをやりおって!という批判心のほうが強かったですね。

用紙は70年頃にすでにA4だったんですか?
私の周りでは切り替えになるまでは殆どがB5でしたよ。
実際、紙にかかわらず、店で売っているかばんなどもB5サイズが多かったですし。
一応、当時、国際的にはA4が主流だったとは後に聞きましたが、それにしてもあのタイミングでやる・・・というのは少々、臭いですよね。
本当なら、それなりの期間をおいて、大々的に報せて、移行期間も1年とか設けるべきだったでしょう。
それが無かったおかげで、私の周りは、相当、B5を処分しましたよ。
<< 小泉元総理引退にみる二世議員の... 麻生内閣に求められる負けるが勝... >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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