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阿久悠物語に改めて想った昭和 その5
親愛なるアッティクスへ

で、少し間が空きましたが、先週からの続きです。

阿久悠物語に改めて想った昭和 その5_e0027240_17374770.jpg先週から申して参りましたように、阿久悠という人は、如何にも、歌手の売り出し戦略に合わせたような詞を書いておられますよね。
この、時代に迎合したような部分が、当時、私が侮蔑した部分でもあったのですが、今回、このドラマを見て、その認識は改めました。

阿久悠という人物は、「いかにも売れそうな詩を書く」商業的職業作詞家などではなく、「媒体を売れるように加工し、その一助として売れそうな詞を付けて売り出す」総合プロデューサー的な幅広い仕事をされた方だったんですね。

特に、この人が、一作詞家の範疇を越える手腕を発揮するのがアイドルの場合。
山本リンダ、フィンガー・ファイブ、ピンク・レディーなど社会現象にまでなった素材に関しては、完全に市場が受け入れるような形に「加工」して売り出すことをしてますよね。
(阿久氏は、駆け出しの頃、他の人が書いた歌詞を一々、書き写し、そこから時代のワードを探っていたといいますが、この辺が、この人の市場調査能力の高さに繋がっていたのでしょう。)
この人は、おそらく、「社歌を書いてくれ」と言われたら、「コンセプトは?」と尋ねる人ではなかったと思います。

それだけに、「加工」の必要が認められない素材には、あまり、食指が動かなかったようで、スター誕生に応募してきた山口百恵に対し、「君は主人公の妹にしかなれない」とコメントし、辛い採点しかしなかったと。
これはプラモデルを組み立てるのが好きな人が組上がったおもちゃには興味を示さないのと一緒で、つまり、百恵ちゃんは、最初から加工の必要がないほどに完成度が高かったのではないかと。
でも、私は、最初から、桜田淳子、森昌子との中三トリオの中では、一番、惹かれる物がありましたよ。
(意外に森昌子ちゃんは可愛いと思ったんですけどね。)

それが、私の偏った感覚などではなかったことは、百恵ちゃんは、スター誕生では専門家の評価では辛い採点になったものの観客の票、つまり、聴衆の支持を得て合格点を叩き出した・・・ということが如実に物語っているのではないでしょうか。
(さらに、「商売」という点では審査員より、より、市場に密着していると言って良いレコード会社に至っては21社も手を挙げたという・・・。何をか言わんだったでしょうか。)
つまり、観客は必ずしもプラモデルを求めていたわけではなかった、そこが、供給側と消費者の感覚の差ではなかったかと・・・。
あるいは、阿久氏には、「観衆は口に合うように味付けされた物だけを受け入れる」という誤った認識があったのかもしれませんね。

あと1回くらい続く予定です。
                            平太独白
by heitaroh | 2008-08-15 17:17 | 文学芸術 | Trackback | Comments(6)
Commented by ねこママ at 2008-08-16 12:50 x
へいたらうさんは「スター誕生」で、山口百恵が初めて登場したときの場面を御覧になりましたか?
ねこママは森昌子や桜田淳子の「初」登場の場面はあいにくと見ていなかったんですが、百恵のはばっちりと見ました。地味な色のスモックのような上着にはき古したようなジーパンで階段の上に姿を現したとき、「原石だ!」と感じたものです。今でもはっきりと覚えています。すごく清冽な印象だった。
完成されているとは感じなかった。むしろ淳子や昌子の方に、完成度を感じましたよ。

淳子は黙ってほほえんでいるととても可愛かったけど、歌っている時の表情が可愛くない。歌わない方がいいのにと思ったくらい。笑
昌子は初めて「せんせい」を聴いた時、あまりのうまさにのけぞりました。
Commented by heitaroh at 2008-08-16 14:05
<ねこままさん

私は、スター誕生自体、殆ど、見ていなかったので、百恵ちゃんが出てきたときは覚えていませんが、有名になった後に、このときの映像は見ました。

完成度が高いというのは、私が感じたことではなく、おそらく、阿久悠さんが感じたこと・・・、ていうか、阿久悠さんほどの人が百恵ちゃんに辛い採点を下した理由を推測したまでのことです。
見た目での完成度なら、当時の映像を見ても、淳子ちゃんの方が高かったでしょうね。
つまり、完成度というよりも、プロデューサー側からみた、いじくる要素がない・・・ということだったでしょうか。

森昌子ちゃん、たわしだなんだと言われましたが、私は結構、可愛い・・・と思ったんですけどね。
Commented by ねこママ at 2008-08-16 14:39 x
阿久悠氏は見る目がなかったというか、単純に、百恵ちゃんのことは好みではなかったのじゃないかなあ。(^^)
森昌子は可愛かったですよ。あのつぶらな瞳が小動物みたいで。笑

三人の中では、百恵ちゃんが一番賢い生き方をしているように見えますね。片親で育ったからこそ、真に大切なものは何かということを頭の中に置いているように感じます。
自分を見失わないように見える人ですね。
Commented by heitaroh at 2008-08-16 14:43
<ねこママさん

確かに。

うちの母が当時言ってましたが、「百恵ちゃんは、どんな賞を獲っても絶対泣かない。よほどにこの人は芯が強いんだよ」と。
確かに、当時、話題になりましたよね。
最後に何か獲ったときは、「泣け」と言われたからか、泣いてましたが(笑)。
Commented by sakanoueno-kumo at 2012-07-05 16:55
初期のチェッカーズの曲のほとんどを作詞していた売野雅勇氏が当時、「チェッカーズの曲の歌詞は、グループサウンズ時代の詞の世界を、今風の言葉に換えて書いている」と言っていたのを思い出しました。
それってある意味、盗作なんじゃないの?・・・と当時思っていたのですが、考えてみればそれも、彼らの60年代っぽいサウンドに合わせて、幅広い年齢層をターゲットにした総合プロデュースだったんですね。
事実、チェッカーズの歌は覚えやすいという理由で当時の年配層にも支持され、カラオケなどでも多く歌われたとか。
阿久氏は、のちの売野氏や現在の秋元氏の道筋を作ったということでしょうか。
Commented by heitaroh at 2012-07-07 13:08
< sakanoueno-kumoさん

結局はイイ曲というのは時代が変わっても受け入られる・・・ということではないでしょうか。
言葉の賞味期限というのは10年というのを聞いたことがあります。
うちの子供達に昔の映画などを見せても何を言っているかわからないといいますから、本当にいい曲だと思えばそれをわかるように変えてあげて出せば良いんじゃないですか。
でも、数年前に「亜麻色の髪の乙女」がリメイクした時、随分、原曲とは変えられていたのには少し違和感を感じました。
CMで人々が支持したのは口ずさんでいるあのメロディだったはずでそれを今風に変える必要があったのか・・・と。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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