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映画「300」にみる大国と小国の理
親愛なるアッティクスへ

映画「300」にみる大国と小国の理_e0027240_16371514.jpgこの週末、家で録りだめしていた映画「300」を見たのですが、ストーリー自体は、ペルシャ戦争の折のスパルタの戦士300人が世界一の大帝国、ペルシャの大軍を相手に敢然と戦う・・・という、まあ、今のアメリカならではの典型的な国威発揚御用達映画でしたね。

やたらと、「暴君」と「自由」という言葉が出てくるという・・・。
(スパルタと言えば、スパルタ教育で有名な戦士国家でしたが、思わず、日本最強の戦士国家、薩摩武士団を思い出しましたね。実際には、スパルタのスパルタ教育とは、映画に描かれていたようなものではなく、薩摩武士団の教育のようなものだったのではないでしょうか。)

でもって、毎度のことながらCGは良くできていますが、意図的かどうかはしりませんが、戦場での恐怖というものの描かれ方が極めて希薄に仕上がってました。
今時のCGは本当に良くできていますが、人間の五感の中でCGが決定的にカバーできない部分が臭覚なんですよ。
あれみて、戦場に行った気になる人は、一度、屠殺場に行ってみるといいですよ。
あの、生物の吐きだした血と油の臭いというのは本当に吐き気がしますからね・・・・。

で、それはさておき、大国とは、当然ながら、大軍を含む物量という点に置いても、また、戦争を継続できる体力という点に置いても、小国を圧倒できるということは無視できない厳然たる事実であり、だからといって、必ずしも、良い面ばかりでもありません。
まず、国土が広い分だけ、あちらこちらに押さえとして軍を配備しておかねば成らず、たとえ、100万の動員能力があったとしても、実際にすべてを重点戦場に派遣できるというわけではありません。
日清戦争の時の清朝が好例でしょう。
また、動員兵力が多くなればなるほど、兵士らの食糧や武器弾薬の補給が難しくなります。
それから、大軍とは、とかく、大軍で居るということに存在価値を置く・・・、つまり、虚勢を張っているもののようで、真に戦意が高い部隊だけを選び出せば、意外と少なかったりするもののようで、戦意がない部隊が浮き足立てば、戦意がある部隊にまで波及するものであり、ある意味、危険極まりないといえるでしょう。
これらの点は古代ローマコンスタンチヌス大帝が、敢えて少数精鋭の少ない兵力で遠征軍の編成を行ったというのが好例でしょうか。

従って、必ずしも、小国にとっても不利な要素ばかりでもないことから、とかく、こういう状況に置かると、小国では非戦派好戦派が現れるもののようです。
この点は、この映画でも、反戦派は「卑怯な反戦派」という描かれ方をされていましたが、誰もが「勝てる」「負ける」わからないからこそ、互いの主張が出てくるわけで、その意味では、この点も安易な作り方でしたね。
                         平太独白
by heitaroh | 2008-08-04 19:44 | スポーツ | Trackback | Comments(6)
Commented by mohariza6 at 2008-08-04 21:58
「戦さ」を描いた映画としては、やはり、黒澤明の「七人の侍」が、CG無しの、(昔なので、無いのは当然ですが…、)迫力と、泥臭さ、自然の中の人間、戦いに勝ったものの、「戦さ」に勝ったのは、募った武士か?(いや、百姓では無いか?)との無常観を表現できた、今だ、色あせない「秀作」だと思います。CGでは表せない迫力は、人間が雨の中の泥沼(実際は冬)で、演技したから、あすこまで、表現できたのだと思います。

Commented by mohariza6 at 2008-08-04 21:58
所で、「小国での非戦派と好戦派」については、私は、どちらかと云うと、「憲法9条」は存続すべきで、「非戦派」に属するのかも知れません。
しかし、「国の尊厳」=「国民の尊厳」は、守らないといけないと思っています。
少なくとも、「反戦派」では無い、と思います。

「国の尊厳」を守るとは、無防備の「丸裸のままの国」では、世界の「魑魅魍魎」の思うままにされると思っています。よって、最低限の「国力」(軍備)は、必要と思っています。
世の中(この世界)は、善人(戦いを仕掛けない国)ばかりではありません。歴史がそれを証明しています。

「軍備の程度」が問題とは、思いますが、「適度」はどのようなものか?は、深慮しても難しいと思います。
しかし、<「国の尊厳」=「国民の尊厳」を守る>と云う原理(原則)から、考えるしか無いと思います。
・・・「結論」が出なくて、済みませんが、今のところ、ここまでしか、私には考えつきません。
Commented by heitaroh at 2008-08-05 14:03
<mohariza6さん

七人の侍に関しては、まったくもって、仰るとおりだと想います。
この点は、以前、私も何度か取り上げておりますので、よろしければ、こちらをご覧ください。
       ↓
http://heitaroh.exblog.jp/212294/

http://heitaroh.exblog.jp/212281/

http://heitaroh.exblog.jp/5370751/

http://heitaroh.exblog.jp/6422757/
Commented by heitaroh at 2008-08-05 14:23
<mohariza6さん

私は憲法9条に整合性を持たせるという意味で改憲派なのでしょうが、かといって、そのまま、安易に軍事大国化することには反対です。
分不相応な力を持てば、どうしても、使いたくなるのが人情だからです。
自衛の場合のみ・・・と言ったところで、戦前の日本軍のように「自衛」と言って戦線を拡大していった例もあるわけですから。

ただ、かといって、仰るとおり、国家が世界は性善説で成り立っていると考えるのはあまりにも現実無視の話であり、国家が防衛という概念をもつのは当然の義務だと思います。
国家による侵略でないまでも部族による略奪ということも考えられるわけですから・・・。
もっとも、いずれにしても、一旦、侵略されれば、憲法違反だなんだと言っている場合じゃないでしょうから、軍が発言力を持つのは避けられないでしょうけどね。

従って、<「国の尊厳」=「国民の尊厳」を守る>と云う原理(原則)よりも、むしろ、現実には国民国家がどの程度の危機にさらされるか・・・、つまり、どの程度、個人の尊厳を犠牲にすることを許容できるか・・・となるのではないでしょうか。
Commented by mohariza6 at 2008-08-06 00:41
「つまり、どの程度、個人の尊厳を犠牲にすることを許容できるか・・・」とは、現実的な考えですね。
そう云う現実論から、考えていかないと、ただ「絶対、平和!憲法9条改悪反対!」を叫ぶだけの「空理空論」に陥る気がします。

しかし、現実論を突き詰めると、軍事費、軍艦、飛行機、ミサイル等の、具体的な数字で、国民をどのくらい救えるか?犠牲者はどのくらい想定されるか?の「軍」の戦略上の問題となると思います。
私には、政府が、どこまで、考えているのか?(想定しているのか?)は分かりません。
しかし、「平和維持を数字で換算する」:「侵略された場合の犠牲者の算出」は、どうも気が進みません。

結局は、「軍備の程度」の問題となり、「適度」の問題となり、私には、深慮しても難しく、分からなくなります…。「程度」は、いくらでも「拡大」出来るからです。

理想論かもしれませんが、<「国の尊厳」=「国民の尊厳」を守る>と云う原理が、先にあって、深慮すべきと思います。

なお、私は、「国の尊厳」=「国体の維持」=「天皇性を維持すること」とは、思ってはいません。
Commented by heitaroh at 2008-08-07 10:27
< mohariza6さん

すべては、やはり、国民が置かれている状況ありき・・・なのではないかと思います。
今の日本は、国民にまったく危機感がありませんよね。
その意味では国防という物がああいう扱いになるのもまた、自然の流れなのかなとも思います。
一方、古代ローマなどは、放っておけば、当然のようにローマの豊かな富をめがけて周辺の蛮族が殺到する状況にあったわけですから、防衛という概念だけは国民の意識の中にも、しっかり確立していたわけで、この点は、まさいく今のアメリカなども然りでしょう。

<「国の尊厳」=「国民の尊厳」を守る>と云う原理ですが、村山内閣のキャッチフレーズだった「国民に優しい国家」などというのは、春秋以来、存在しなかった・・・、つまり、有り得ない話だと。
「国の尊厳」=「国体の維持」=「天皇性を維持すること」ではない・・・ということについても、当然至極の考え方だと思いますが、一方で、これを維持していく上に置いては、もっとも、手っ取り早いやりかたでもあることも事実です。
その意味では、目の前の危機に対しては、考慮せざるを得ないのもまた現実かと。
<< 阿久悠物語に改めて想った昭和 その1 オールスターでのパ・リーグの選... >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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