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河井継之助という男の決断に対する評価とその是非
河井継之助という人物がいます。
言うまでもなく、幕末、長岡藩を率いて激越な北越戦争を戦った人で、司馬遼太郎氏の小説で採り上げられて以来、一躍、脚光を浴びるようになった人物ですが、実は私あまり評価しておりません。
その理由は、まず彼がやったことは、「多くの人を殺して、国を小さくして次代に申し送っただけという、ナポレオン同様の結果論もながら、何より、開戦に当たって、どうしても確たる勝算があったようには思えないからです。
つまり、「戦って勝てたのか?」と・・・。
長岡藩は、如何せん、わずか7万石の小藩であり、いくら、実収14万石と言っても・・・、また、最新兵器で武装したと言っても、日本の半分を引き受けて戦うには、あまりにも地力不足ではなかったかと思えるのです。

ただ、元々、河井が託されていたのは、藩の財政再建であり、時代が「泰平の世」で終わっておけば、彼は「財政を見事に立て直した名宰相」で終わったでしょうが、この点は如何せん運が悪かったと思います。
しかし、大政奉還後の混乱に在って、江戸藩邸などを処分した金で、当時、日本に3門しかなかったガトリング砲2門や、フランス製新式銃2千挺などを購入したのは極めて不適切な処置だったと思います。
小藩が中途半端に、こういう物を持つのは弊害の方が大きくなるからです。

もっとも、河井は何も最初から、「戦争ありき」でもなかったとも事実でしょう。
この点では、開戦前、河井は、新政府軍本陣に乗り込み、「自軍の充実ぶりを背景に長岡藩が東西両軍を調停する」という構想を披瀝しようとしたものの、新政府軍軍監として交渉の場に出てきたのが、土佐の岩村精一郎という見識低い「若輩者」であったことが、河井の不運のように言われていますが、私はこの点では、岩村の判断を支持します。
まず何より、新政府は別に長岡藩の仲介など必要としていないわけで、河井には河井なりの理想があったようですが、その意味では、理想の押し売りに過ぎないとも言えるでしょう。

勝算というならば、長岡藩が粘っているうちに心ならずも新政府に従っている反対勢力が立ち上がってくれるということを期待していた・・・とも考えられますが、もし、そうであるならば、それはあまりにも無責任にすぎる勝算と言えたでしょう。
こういう場合の付和雷同は世の常、大坂の陣において、豊臣恩顧の武将たちが誰も立ち上がらなかったことが良い例で、無論、楠木正成千早城のような例もありますが、このケースは、正成に勇気づけられて我も我もと決起したわけではなく、足利尊氏という大勢力を保有する人の野心の結果という面が大きく、言い換えれば、単に付和雷同すべき対象が変わったというに過ぎないともいえるわけです。
その意味では、「立ち上がってくれるかもしれない」というそれは、あくまで、希望的観測に過ぎないと。

総括するならば、まず、河井が構想として描いていたと言われる「両軍の調停」自体、夜郎自大の観は拭えず、それが不調に終わって、あれほどの大戦争の戦端を開いた・・・、特に戦争終結の見通しを持たずに開戦したことは、あまりにも軽率な行動だったと責められても仕方がないと思います。
                                 平太独白

by heitaroh | 2008-06-12 08:28 | 歴史 | Trackback | Comments(2)
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Commented by Kazu at 2008-06-13 21:47 x
 河井が構想として描いていたと言われる「両軍の調停」自体、夜郎自大の観は拭えず>>

 では、同じ司馬遼太郎が書いた坂本竜馬は、なぜ水と油の薩長の仲人になれたのか。司馬さんの本の中でも「坂の上の雲」と並んで人気の「竜馬がゆく」を私は読んでいないのでわかりません。あの時代の反徳川の超二大勢力が土佐(小さな藩です)の一浪人となぜ会ったのか、またどこに竜馬の価値があったのかわかりません。もしご存知ならばなんかの機会にblogにupして頂ければ幸いです。
Commented by へいたらう at 2008-06-14 11:42 x
<Kazuさん

龍馬に関しては、私もどこかで記事にしていたと思ったのですが、意外に書いてませんでした。
いずれ、きちんとupさせていただきたいと思いますが、まずは、龍馬が薩長同盟の仲介者たり得たのは、逆に、背景がなかったことがよかったのではないでしょうか。
あれが、龍馬個人、もしくは、海援隊という言わば、非営利団体のようなものだったから、薩長共に、使い勝手が良かったのでしょうが、もし、土佐藩が仲介者だとしたら、島津久光会長にも話を通さざるを得ず、色々と面倒なことになっていたと思います。

ただ、それでも、彼があれを為し得たのは、かなり、奇跡的奇術的なことには違いないでしょう。
やはり、背景としては、薩摩も長州も本音を言えば、手を結びたがっていたということで、この点が、河井の東西調停とは大きく違うところではないでしょうか。

もっとも、実際には、龍馬は薩長同盟を仲介していないという説もありますが・・・。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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