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英雄が見せる残酷さと一瞬の微笑ましい話
三国志の中で、「乱世の奸雄」と呼ばれ、影の主役と呼ばれた魏の武帝、曹操についての話です。
あるとき、二人の敵将が籠もる城を攻撃した曹操は、鎧袖一触!これを撃破し、敵将二人は、這々の体で城を逃げ出したのですが、そのうちの一人が捕まって、曹操の前に引き出されてきたことがあったとか。
その降将は、「俺は、本当は貴公に敵対するつもりはなかったんだ。もう一人のあいつにそそのかされたんだ」と釈明したそうです。
それを聞いて曹操は、「では、なぜ逃げた!?」と。
その男は、「うっ!」と詰まりながらも、苦し紛れに「そ、それは・・・、付き合いだ」と一言。
その答えに、曹操は思わず吹き出して大笑い。
呵々大笑し、この男は一命を助けられたとか・・・。

大体において、英雄というものは、どなたも、多かれ少なかれ残酷なことをやっているもので、ある意味、マキャベリの言う「君主は愛されるより恐れられよ」ではないですが、まあ、権力者の意向が適正に行われる為には、時として、配下の荒くれ兵士どもが震え上がるような、それ以上の残酷なことをしなければ威令が行われないというところもあるのでしょう。

その典型が、中世のイングランド人の傭兵隊長、ジョン・ホークウッドでしょう。
この人物は、占領地で部下二人が、捕らえた美しい尼僧を巡ってにらみ合いになったとき、「待て待て、我々の掟では、何事も平等に・・・となっているだろうが」と言いながら、長剣を抜くや、「あ!」っと言う間もなく、その尼僧を頭蓋骨から尾てい骨まで、縦に一刀両断にしてしまったそうです。
で、青ざめる部下たちに向かい、ニコニコ笑いながら、「さあ、お前たち、右でも左でもどちらでも好きな方を選んで良いぞ。これで平等だ」と言ったとか。
言葉は悪いのですが、現代でも、人使いという点では、建設現場などでは似たような傾向があるように思います。
「未開の蛮族ほど、恐怖という物に理屈抜きに従順」だということでしょうか・・・。

曹操もその点では、無名時代に人相見から、「治世の能吏、乱世の奸雄」と言われたという話がありますが、(これについては諸説あるようです。「治世の宰相、乱世の英雄」、「治世の佞臣、乱世の梟雄」などなど・・・。まあ、いずれにしても、作り話のようですが、私的には、「乱世の奸雄」、これが一番好きです。)実際に、怒りの余り一州をまるごと皆殺しにした・・・などという残酷な話には事欠かないようです。
そして、同時に、一面で、彼には、こういう微笑ましいようなエピソードもある・・・。
この点は、癇癪持ちで、残酷なことをしたことでは曹操以上だと言える織田信長も、行軍中に見かけた障害者に情けを掛ける・・・というエピソードがあります。
こういう人は、何かの拍子に、突然、人間らしい感情が甦るのかもしれませんね。
この人たちに限って、残酷さが演技ということはないでしょうから・・・。
                               平太独白

by heitaroh | 2008-06-11 08:56 | 歴史 | Trackback | Comments(2)
Commented by Kazu at 2008-06-11 17:19 x
第一次世界大戦後の膨大な賠償金の支払い義務で疲弊したドイツを、傾斜生産方式と軍備拡張で短期間で持ち直した英雄H(その当時のドイツ人のMajorityはそう思っていた)については全くほほえましい話は出てきませんね。英雄と独裁者との線引きはどこなんでしょうか。また、例の北の国(昔の高句麗)の英雄?の方にはほほえましい話はあるのでしょうか。
Commented by へいたらう at 2008-06-11 17:46 x
<Kazuさん

まあ、皆が皆、微笑ましい話の一つも持っているわけではありませんから(笑)。
逆に言えば、それをわずかでも持っている人が英雄となる・・・といえるのかもしれません。

もっとも、スターリンにしろヒトラーにしろ、時代が近すぎるというのもあるのかもしれませんね。
まだ、被害にあった人たちの記憶には、生々しいものがあるでしょうし。
また、彼らは建前とはいえ、一応、元首であり、東洋型の王ではないわけで、多少、世論の受けを狙って、微笑ましい話を逆に作っているのではないですか?
曹操や信長などは、その点は、あまり気を遣わなくて良かったわけで、逆に、そういうエピソードを残せた・・・と。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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