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昭和46年の巣鴨プリズン解体と最後のA級戦犯・鈴木貞一
昭和46年放送のスガモプリズン解体という番組を見ました。
戦後26年、私が10歳のときですが、A級戦犯や、B・C級戦犯の遺族達がたくさん映しだされていました。

その中で、印象に残ったのが二つ。
一つは、上官の命令でアメリカ兵の捕虜を殺害したことで、死刑判決が下った一兵士の遺書が読み上げられ、そこで、ナレーションが「ソンム(でしたっけ?ベトナムで大量虐殺があったところ)でのジェームス中尉(?)に対する公判とは、随分違うように思えるが・・・」と言っていました。
もう一つは、A級戦犯の一人として、元企画院総裁 鈴木貞一と言う人が出ていましたが、終戦当時はまだ、結構若く、50歳くらいだったでしょうか?
(この放送当時は、おそらく80歳近かったと思います。)
かなり、気骨に溢れた方のようで、「連合軍が我々を裁く根拠がない。そう言ったら、彼らは『人民の名に於いて』とか言った。人民の名などという法的根拠はない。結局、戦争に負けたから、我々は裁かれるのだ」と言っておられました。

ただ、先の一兵士の話といい、今のアメリカの自己中心的交渉術など、結局はここに行き着くようにも思えますが、この点は、以前から、平太郎独白録 : 相手の足の裏を舐めても負ける戦はしてはならないなどでも述べております通り、私は「負ける戦はしてはならない」という考えを持っておりますから、その論で言えば、彼の罪は、「負ける戦を安易に始めた罪」であったといえ、彼の気骨は認めるとしても、この辺は、少し、ノーテンキにすぎるようにも思えます。

もっとも、鈴木翁は、こうも言っておられました。
「一度、頂点の舵取りを誤った者は二度とその職に付くべきではない」と。
だから、戦後、恩赦となって釈放された後も、一切の公職に付くことなく、野に埋もれたままとなったとか。
この辺の潔さには、いささか敬服するところもあり、この人物に興味をもちました。
(企画院総裁などというし、話もいかにも官僚的でしたので、内務官僚上がりか何かかと思っていたら、元軍人だったんですね。もっとも、情報戦・宣伝戦のエキスパートであり、実戦部隊での経験は余り無く、『背広を着た軍人』と呼ばれていたとか。)

鈴木 貞一
明治20年(1888年) 千葉県生まれ。
昭和4年(1929年)、石原莞爾・永田鉄山・東条英機ら陸軍中堅将校が結成した一夕会に参加。
その後、国際連盟脱退論や、御前会議での太平洋戦争開戦などを主張し、戦後、A級戦犯として、極東国際軍事裁判終身禁固の判決を受ける。
昭和30年(1955年)に仮釈放され、3年後、赦免。
平成元年(1989年)、100歳で没。
葬儀は、東京都杉並区の福相寺で営まれ、葬儀委員長を務めたのは、福田赳夫元首相であった。
                           平太独白

by heitaroh | 2008-01-31 08:18 | 歴史 | Trackback | Comments(2)
Commented by kaori_matsuo at 2008-02-02 08:15
100歳までの長寿ながら、野に下ったままだったとは。
腹を決めて生きていらっしゃったのでしょう。

潔さ、…て最近あまり聞かない言葉になってしまいましたね。
報道を仕事にする方々の語彙の少なさが悲しいです。

Commented by heitaroh at 2008-02-02 12:15
< kaori_matsuoさん

かなり、誘いはあったらしいですよ。
でも、石原完爾にしろ、この人にしろ、戦前はあれほどの才能を謳われながらも、戦後は、一貫した野に埋もれた人って、結構、いたようですね。

潔さ・・・があまり聞かない言葉になったというよりも、私には、それも含めた「覚悟」という言葉が薄められてしまったのではないかという期がしております。

>報道を仕事にする方々の語彙の少なさが悲しいです。

最近の、才媛であるはずの、あの女子アナの珍回答、迷回答などは、演出なんですよね?
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱「財閥」の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

令和7年 19世紀ロンドンと東京。「描きたかったのは猟奇ではない。悲惨である」。「女王陛下の十手持ち」出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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