人気ブログランキング | 話題のタグを見る


「隠し砦の三悪人」リメイクに想う担保と同じ安易な発想
親愛なるアッティクスへ

昨年末、織田裕二版「椿三十郎」について触れましたが、今度は、「スター・ウォーズ」C3POR2D2の原型となったことでもしられる黒澤 明監督の傑作、「隠し砦の三悪人」がリメイクされると聞き及びました。
嵐の松本 潤を主役にするため新しいキャラクターが作られ、三船敏郎がやった侍大将の役を阿部 寛が、上原美佐が扮した雪姫長澤まさみが演じるそうですが、まあ、その辺は、比較的、雰囲気が近い人を選んだのかもしれませんが、問題は、千秋 実藤原釜足が演じた、あの小心強欲百姓の役でしょうか。
あれこそ、あの時代ならでこそ演じることが出来た役回りですよ。
あれが、見劣りすることなく演じられたのなら、その役者は本物だと言って良いのではないでしょうか。

で、最近、リメイク流行りですが、最近のそれは、何か、「昔当たった題材なら最低限の保証はあるだろう」みたいな、安易な考えがあるように思えてなりません。
興行的には、当たらないと次の映画の予算が出ないわけですから、わからないでもないのですが、ここでも、平太郎独白録 : あしたのジョーに時代を見る その5 九州中央病院などで度々述べておりますような、「興業」「競技」とのバランスがとれていないことと、同義のことがあるような気がするんですよね。
森田芳光監督は「なんと言われようと当れば勝ち」というようなことを言ったようですが、これって、ボクシングの亀田兄弟のそれと根は同じなんじゃないですか?
亀田兄弟が、「売れたモン勝ち」だけの営業方針で行き詰まってしまったように、今は、比較的、活況を呈している日本映画も、「自分たちが売っている商品が何のか?」ということを理解しないと、亀田兄弟同様に、いずれ、行き詰まるような気がするんですが・・・。

このことは、何も映画業界に限ったことではなく、日本の産業全体に共通することだと想います。
即ち、このブログの初期の頃に、平太郎独白録 : 出版人よ、自信を持て!で述べたことですが、「日本の銀行は会社の業績経営者の能力も見ようとせずに、ただひたすら「担保!」だけを求め続けた。出版業界における担保とは、即ち、作者の知名度である・・・」というのと、映画業外のリメイクというのは本質は同じことなのではないかと思えてならないわけですが如何でしょうか・・・。

ちなみに、以下は、以下、アマゾンに書いた「隠し砦の三悪人」に対する私のレビューです。
------------------------------
時代劇黒澤映画・・・と言えば、どうしても、多くの人には、「七人の侍」が思い浮かぶだろうし、「椿三十郎」「用心棒」などの方が親しまれているのかもしれない。
しかし、私の中では時代劇物として、黒澤映画の中では出色の出来だと思われるのが、この作品である。

強欲小心な、「庶民」というものの姿を通して、人間の生の姿を赤裸々なまでに描き出し、一方で、「欲」というもののもつ、凄まじい、それでいて、これほどに確かなものはないものを極めて的確に、そして、コミカルに描いた作品であり、その構成上も、一分の無理も感じられない逸品である。

また、武士に対する、この「庶民」の姿というものは、まさしく、映画公開当時の人々が持っていた、戦前の「官」というものに対する「庶民」の姿であったろう。
そして、それは同時に、この、小心で、強欲で、それでいて意外に利口な「世間」というものの姿そのものでもあったのかもしれない。
--------------------------------
                          平太独白
by heitaroh | 2008-01-09 08:50 | 文学芸術 | Trackback(2) | Comments(2)
Commented by FUSA at 2008-01-09 13:58
TBありがとうございます!
リメイク版の樋口真嗣監督の作品では、以前に見た「ローレライ」がひどくつまらない映画だったので、その後の「日本沈没」もDVDを借りてきて見てみました。なんとも評価のしようがありませんでした。ただ最新のSFXを使ってリメイクしてみたかっただけじゃないかと・・・。「隠し砦の三悪人」も同じような考え方だとすると極めて期待薄のような気もしますが。問題はオリジナル脚本に脚色を加える中島かずき(福岡出身)の出来が成否に大きくかかわってくると思います。最近の洋画のスペクタクル史劇のように背景の画像や群衆シーンにCGを多用されたんじゃ興醒めしてしまいます。それと、ロケは黒澤監督のように御殿場を使ってもいいと思いますが、物語の背景となっている朝倉(秋月)の人たちの気持にも配慮してもらいたいですね。
Commented by へいたらう at 2008-01-09 15:07
<FUSAさん

昨年、お話を聞いて、以来、書きためていたのですが、なかなか、書く機会が無く、今頃になってしまいました。

「ローレライ」・・・、確かに駄作でしたね。
香椎ゆう演じた外人の少女も、白人という設定なんだから、今時、もっと、誰かいただろう・・・と。
最後に潜水艦が浮上して、飛んでいる飛行機を大砲でピンポイントで爆撃するなんて・・・と。
しかも、都合良く、核爆弾だけが爆破された飛行機から転げ落ちるか・・・と。
ちょっと思い出しただけで、これだけ、つっこみどころが出てきますね(笑)。

秋月・・・は、私は、友達がたくさんいるところですから、迂闊なことは言えませんが(笑)、黒澤映画でのロケ現場の風景は、私などは、当時の秋月を十分に想起できましたけどね。
今だったら、御殿場・・・よりは、北海道かどこかのほうがいいんじゃないですか・・・。
もっとも、最近のああいう作品は、曖昧な歴史考証のままで平気で押し切りますから、その辺も、期待薄かもしれませんね。



<< 伝統継承的視点にみる無神論者の... ベトナム・カンボジアの旅 9 ... >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱「財閥」の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

令和7年 19世紀ロンドンと東京。「描きたかったのは猟奇ではない。悲惨である」。「女王陛下の十手持ち」出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
ライフログ
最新のコメント
< sakanoueno..
by heitaroh at 11:21
< sakanoueno..
by heitaroh at 11:16
お説ごもっとも! 戦争は..
by sakanoueno-kumo at 10:50
ご無沙汰しておりました。..
by sakanoueno-kumo at 10:46
<sakanoueno..
by heitaroh at 18:10
ご無沙汰しております。 ..
by sakanoueno-kumo at 13:01
< hibiscus20..
by heitaroh at 18:09
継続は力、努力素晴らしい..
by hibiscus2025 at 19:25
sakanoueno-..
by heitaroh at 20:17
遅ればせながら20周年お..
by sakanoueno-kumo at 19:45
< hibiscus20..
by heitaroh at 11:57
今晩は!何とも女性にとっ..
by hibiscus2025 at 22:47
>sakanoueno-..
by heitaroh at 01:40
こんばんは。 今年は喪..
by sakanoueno-kumo at 22:12
> hibiscus20..
by heitaroh at 19:10
検索
タグ
(67)
(56)
(56)
(53)
(51)
(46)
(43)
(42)
(42)
(36)
(33)
(32)
(31)
(31)
(30)
(28)
(27)
(27)
(26)
(26)
(25)
(24)
(24)
(24)
(24)
(23)
(22)
(22)
(21)
(21)
(21)
(20)
(20)
(19)
(19)
(18)
(18)
(18)
(17)
(17)
(17)
(16)
(16)
(16)
(15)
(15)
(14)
(14)
(14)
(14)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(12)
(12)
(12)
(12)
(12)
(12)
(11)
(11)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(9)
(9)
(9)
(9)
(9)
カテゴリ
以前の記事
2025年 11月
2025年 10月
2025年 09月
2025年 08月
2025年 07月
2025年 06月
2025年 05月
2025年 04月
2025年 03月
2025年 02月
2025年 01月
2024年 12月
2024年 11月
2024年 10月
2024年 09月
2024年 08月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
最新のトラックバック
フォロー中のブログ
ブログパーツ
  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧