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東洋史と西洋史にみる戦争目的の異質さ
親愛なるアッティクスへ

以前、何とかという人のセミナーに行ったときのこと・・・。
講演の内容は、概ね、私がこれまで述べてきましたことと、ほぼ同じ趣旨のものでしたのでそれほど驚くことはありませんでしたが、いくつか印象に残ったことがありました。

少し、話は橫道にそれますが、西洋の歴史というものを初めて読んだとき、私はそれまで慣れ親しんでいた日本や中国の歴史との、あまりの異質さに驚いたことがあります。
それは、敵軍を打ち破って敵将捉えたなら、そのまま敵の首を刎ねて戦いに決着を付けるのがそれまでの日本や中国の歴史の常識でしたが、西洋社会(特に中世)では敵将を捉えたら何と身代金要求し、身代金を受け取ったら敵将釈放することでした。
「また、来てね」とは言わないでしょうが(笑)、ともかく、釈放する。
無論、日本や中国でも釈放した歴史がないわけでもないし、西洋でも身代金をとらずに敵を殺した例もないでもないでしょうが、しかし、主流はそっちなわけです。

この辺に、西洋と東洋の民族という物への概念の違いという物が見て取れるように思ったんですよ。
即ち、西洋では民族自決の考え方が強く、君主の首を取ったところで、その民族が異民族の支配を快く思わずに存在している限り、根絶やしにするしか戦争に決着はなく、どうせ終わらないなら、身代金をもらった方がいい・・・ということだったのかもしれませんが、対して東洋では、それほど、民族という概念が明確ではなく、民衆にとっては肌の色がかろうがかろうが、自分たちの生活を良くしてくれるのであれば何民族でもいい・・・と。

これらをふまえた上で、青山氏の講演で印象に残った部分です。
彼が直接、中国の人民解放軍の老幹部から聞いたという話で、「建国した折りに、我々は二つのことを国の柱にしていこうと考えた。一つが膨張主義で、もう一つが人口だ」というものでした。
ここで、第二次大戦後も未だに戦争をし続けている2つの国があります。
言うまでもなく、中国アメリカですが、この両国には際だって違う点があります。
中国は建国以来、チベットを軍事力で併合し、インドに攻め込みカシミール地方で領土を得、ロシアと戦ってダマンスキー島を獲り、さらにベトナム戦争でアメリカが敗退するとすぐにベトナムに攻め込み南沙、西沙の両諸島を奪う・・・という風に着実に領土を拡げているわけです。
一方のアメリカはよく戦争している割には領土は、寸土たりとも増えていないわけです。
これ即ち、中国が求めているのは領土であり、アメリカが求めているのは利権だと言えるでしょう。

まさしく、極めて東洋的な、極めて西洋的なものの延長線上にある考え方でしょうが、それを考えれば、中国が尖閣諸島に出てきたのも、台湾も含め、次の矛先をこちらに向けたということなのかもしれません。
(そう考えれば、「対米追随」などと批判を受けても日本に他に選択肢はないのではないでしょうか?)
ただ、こういう東洋的な考えは、残念ながら時代遅れで、中国もかつての日本を反面教師にアメリカ型の利権を求める戦争に変えていくべきだと思います。
日本がかつて、領土的野心を燃やした時代、バランスシート大赤字であり、つまり、日本人の戦争は自己満足の為だけのものだったのですから・・・。
                               平太独白
by heitaroh | 2007-11-10 08:53 | 国際問題 | Trackback | Comments(6)
Commented by 怪w at 2007-11-10 16:51 x
お久しぶりです。。。w

まさにその通りかと。。。納得です。。。。

うちも土地売りたいのですが。。。。。

誰か買ってくれる方いませんか?
Commented by へいたらう at 2007-11-10 19:57 x
<怪wさん

お久しぶりですね。。。ぇ

ところで。。。あなた。。。アドレス変えたろう?
この前から。メールしたら。。。えらー。。。やったばい。。。。
その旨。。。。。年賀状に。。。。書いたけん。。。。。
Commented by motton at 2007-11-12 13:39 x
東西の違いというより、権力闘争か否かの違いでしょう。
日中の場合、早くから政治的に統一されているべき『天下』が決まっていたために戦争=権力闘争となり、西洋でいえばローマ内戦のオクタビアヌス.vs.アントニウスをずっとやっているようなものになったのではないでしょうか。
逆に中国でも秦以前の春秋戦国時代や遼・金・元などの異民族との戦争では身代金云々が出てきます。

また、よくアメリカは領土的野心がないといいますが、ハワイや太平洋の諸島を放棄していないことにもっと注目すべきと思います。また沖縄のように地政学的に重要な場所には各国に基地を設けています。これらがアメリカの利権のベースになっています。
もしハワイや沖縄が中国の支配下になれば世界の利権の配分が根本的に変わります。中国の領土的野心は利権のためのベースの構築過程と考えるべきと思います。

一方で、戦前の日本の領土的野心は、軍事的な部分もありますが基本的には利権の収奪ではなく利権の開発なので、戦前の段階では大赤字ですが、現在の韓国や台湾の発展を見れば長期的に黒字だったのでしょう。ローマのガリア開発やアメリカの西部開発と同じかと。
Commented by へいたらう(管理人) at 2007-11-12 16:17 x
<motton さん

まず、
>早くから政治的に統一されているべき『天下』

というのが、私には何のことかイマイチわからないのですが、確かに仰るとおりで、東西の違いというより、権力闘争の形態の違い・・・だと思います。
ただ、その形態の違いが東西である程度、特徴として色分けできるように思った次第でした。
元々、拙稿は、東西をかなり、大雑把に括り分けた観がありますので、遼・金・元などにみられるような少数の例外がないでしょう。
他にも、古代中国では、身代金の他にも、美人何人・・・などという講和条件もありますからね。
ただ、身代金と敵の首、利権と領土という色分けをした場合、大まかに言って、上述したとおりの色分けが出来るように思えるのですが、如何でしょうか?
Commented by へいたらう at 2007-11-12 16:20 x
<<motton さん

次に、領土的野心について言えば、アメリカはスペインやメキシコと戦争して領土を拡張していますから、正確には、領土的野心がないわけではないでしょう。
この辺も、かつての古代ローマ以来の発想だと思うのですが、ローマでは、「領土拡張も一定以上になると、利益を生まなくなったので、それ以上の領土拡張をやめた」と聞いたことがあります。
(確かに、ルーマニア併合した時点では、ローマには、その気になれば、もっと拡張できるだけの軍事力はあったわけですよね。)
西洋世界では、これら、ローマ以来のノウハウというものは、その後も、踏襲されてきたように思います。

つまり、アメリカは、現段階では今以上の領土拡張よりも・・・という見解があるのではないでしょうか。
もっとも、今以上にするつもりがないからと言って、今以下にするつもりもないわけで、それに、イギリスにしても、日本やロシアのように、「面」で支配しようとはせずに、島などの要地、「点」で支配しようとしますよね。

Commented by へいたらう at 2007-11-12 16:23 x
<<<motton さん

>中国の領土的野心は利権のためのベースの構築過程と考えるべき

これは、私には現時点ではわかりませんが、少なくとも、帝国日本には希薄だった思想ではないでしょうか。
もちろん、帝国日本の中にも、欧米風に利権で対処するべきだという考えの人たちもいたでしょうが、多くは・・・、戦国時代そのままの、無邪気な領土拡張野心の人たちだったのではないですか?


>戦前の日本の領土的野心は利権の開発なので

確かに、当初はそうだったでしょうね。
しかし、戦争が激化して来るに連れ、ただ、版図を拡げることだけに熱中し始めたという観があるように思えます。
<< 「仲良くケンカしな♪」の理を知... 落合監督の「完全試合よりも勝利... >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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