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落合監督の「完全試合よりも勝利への采配」の是非 3
親愛なるアッティクスへ

本日は、昨日までのそれとは直接関係ないのですが、まあ、続きと言えば続きです。

まず、先日、俳優の中井貴一さんが、テレビで、「先般、中国で俳優兼プロデューサーとして映画を撮影した・・・」という話をしておられました。
実は、中井氏と私は同年でして、それで、「ああ、こいつも、やってるんだな・・・」という妙な同級生意識から、たまたま、何気に、点いていたテレビを見るとも為しに見てしまった・・・というだけの話だったのですが、その中で、「俳優兼プロデューサーというのは、俳優としてこだわる部分があっても、プロデューサーとしては、予算のことがわかっているから、それを主張ことが出来ず、その葛藤に苦しんだ」という意味のことを述べておられました。
これは、テレビ時代が到来して後の黒澤 明監督などにも共通することなのかもしれませんね。
あの人も、映画監督としては、撮影のために、川の流れを変えたり、家を立ち退かせたり・・・と、かなり、伝説的なことをやってますが、それは、裏を返せば、それに伴う資金面の苦労はプロデューサーがやっていたから出来たわけで、それが、プロデューサーも自分でやらないといけないようになると、急に、黒澤映画は色褪せてしまった・・・と。
つまり、良い物を作りたいという「現場」の欲求と、資金面を管理する「営業(経理)」との葛藤ということでしょうか。

もうひとつ、今、緒方竹虎という人の伝記を読んでいるのですが、その伝記の中でも、実に興味深い、同様のことが述べられてました。
(緒方という人については、以前、平太郎独白録 : 昭和は遠く成りにけり、「父・緒方竹虎と私」を読み終えて 1や、平太郎独白録 : 昭和は遠く成りにけり、「父・緒方竹虎と私」を読み終えて 2などでも申し述べたとおりですが、1950年代、「あの、岸 信介よりも総理に近い」と言われた人です。)
2.26事件直後、事態収拾のために広田弘毅内閣が出来るということになったとき、朝日新聞では今後の広田内閣に対する態度を決定すべく、当時、編集面での責任者であった緒方が論説委員らを招集し、「朝日新聞はこれまでいずれの内閣に対しても、つかず離れずの態度でやって来たが、この情勢では今後は広田内閣を支持し、文官の力を強めることにより、軍部の力を抑えるという方針をとる外あるまい」という案を切り出したところ、論説委員の一人が、「これまで不偏不党であった朝日が、特にある内閣を支持することはできない」と反対したといいます。
(結局、この反対意見に同調する人たちはこれを良しとせず、まもなく朝日を去ったとか。)
「理念」「現実」か・・・、何とも悩ましい問題ではありますが、私なら緒方さんと違い、理念を採ったでしょうね。
一度例外を作ってしまった時点で、理念というものは、死文化してしまいますから・・・。

で、ここで、今回の落合監督の采配に話を戻せば、確かに、人はとかく、「右はけしからん、左もけしからん」と言いたがるもののようで、要は、人が何と言っても、三原 脩さんのように自分なりの基準があり、「それに従って、決めたことだから・・・」という、つまり、自分自身がその采配に納得できていればそれでいいという「信念」の問題になるのではないかというのが、私の実に曖昧な結論です。
やはり、これもけしからんですかね、御同輩・・・。

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by heitaroh | 2007-11-09 08:56 | スポーツ | Trackback | Comments(2)
Commented by D-KID at 2007-11-09 23:29 x
僕なら『理念』を取りたいですね、青臭いだの稚拙だの外野は言ってこようかと思いますが。

会社でも理念(≒理想?)を追い求めれば外野からあーだこーだ茶々入れられてくるとは思いますが、そういうベクトルがあるからこそ人間って動き出るんじゃないかと…
Commented by へいたらう at 2007-11-10 12:52 x
<D-KID さん

私も理念を採ると思うのですが、ただ、理念を貫いて、その結果、患者が死体になってしまってからでは元も子もないわけで・・・。
その辺は、現実と上手に妥協していく必要があり、ここいらが、難しい所なんでしょうねぇ。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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