人気ブログランキング | 話題のタグを見る


日本の中枢で現代も生き続ける長州閥
以前、岸信介元総理大臣について書かれた本を読んだことがあります。
私が興味があったのは、岸とは実弟佐藤栄作の夫人を通して義理の伯父に当たる松岡洋右元外務大臣(国連脱退時の全権代表にして三国同盟の立役者。)との関係を知りたかったからです。
二人は、満州国「2キ3スケ」と言われたうちの二人で、かつ同郷で親戚同士でも有れば、当然、他者には入れないような濃厚な関係があったと思うのが普通でしょうが、佐藤と松岡の伝記には、ここら辺のことについては、実にあっさりとしか書かれていませんでした。

私が松岡と岸、佐藤兄弟の関係を知りたいと思った理由、それは、明治日本を牛耳った藩閥のなかで、閥としては大正期の山本権兵衛を最後に完結している薩摩閥に対し、長州閥はしぶとく生き続けたと思うからです。
かつて、司馬遼太郎さんは、「革命というものは三世代に渡ってなされる。まず第一に思想家が出てくる。長州においては吉田松陰、薩摩では島津斉彬がこれにあたるが、多くは非業の死を遂げる。第二にその後を受け、革命家が出てくる。高杉晋作、桂小五郎、西郷吉之助、大久保一蔵らがこれに当たる。そして、これも多くは、事半ばにして死ぬ。そして最後に出てくるのが政治家であり、伊藤博文、山県有朋、井上薫、松方正義、黒田清隆、大山巌、西郷慎吾らがこれに当たる」と言っておられましたが、(その論で行けば、第一世代には孫文、マルクス、第二世代は毛沢東、レーニン、第三世代は、鄧小平、スターリンらがあたるのでしょうか。)そう考えれば、伊藤、山県、井上ら第三世代の後も、児玉源太郎、乃木希典ら日露戦争の英雄をはじめ、桂太郎、寺内正毅、田中義一となおも三人の首相を輩出し続けた長州閥・・・。

ここら辺は、恬淡とした伊藤博文と違い、閥意識が強かった山縣有朋という人の性格が、こういう結果を導いたのかもしれません。
なぜなら、桂、寺内、田中の三人は山縣の影響下にある軍人出身の首相であり、そして、その最後の門下生こそが松岡洋右なのです。
なぜならば、松岡の仲人は山県の懐刀であった田中義一元首相であり、その松岡と縁戚関係で繋がりを持つのが、岸信介佐藤栄作の兄弟総理であり、この二人が戦後、巨頭として隠然たる勢力を誇ったばかりか、そのあと、総理には届かなかったとは言え、岸の娘婿である安倍晋太郎が巨頭として存在感を誇り、それはその子、安倍晋三に引き継がれているのではないでしょうか?
二階堂進ら、鹿児島出身の有力政治家がいないわけではありませんが、彼らはで存在しているのであり、閥としての繋がりがあるようには感じられないのに対し、長州閥というものは上述のように、閥としての流れを維持したまま、存在しているように思えます。
ここら辺が、長州怜悧と呼ばれる長州人の県民性なのかもしれません・・・。
                                 平太独白
by heitaroh | 2007-06-23 08:04 | 歴史 | Trackback | Comments(2)
Commented by sakanoueno-kumo at 2010-06-18 17:59
薩長閥政治と言われましたが、維新にたどり着いた経緯を考えれば、長州閥は薩摩閥に対して根強い劣等感のようなものがあったんじゃないかと想像します。
それが長州閥の結束を強くした根っこじゃないでしょうか。
山縣以前で見ても、閥の元祖である西郷隆盛と木戸孝允を比べて、西郷はあくまで公明正大な「個」で存在していたのに対し、維新後の木戸は、長州閥の悪癖とも言える「山城屋事件」「尾去沢銅山事件」などの汚職事件の隠蔽に力を注ぎ、「閥」を守ることに終始した観があります。
伊藤ですら、この隠蔽には尽力してますよね。

薩長閥と言えども事実上は薩摩主導の明治維新で、その中で自分たちの存在を守ろうとした結果が、その後の長州閥を作ったのではないでしょうか・・・。
Commented by heitaroh at 2010-06-19 12:56
< sakanoueno-kumoさん

薩長土肥とひとくちに言いますが、この順番は如実に存在したと思いますね。
鳥羽伏見以降、長州は薩摩を兄として立てることを藩是としますし、また、長州はうち続いた内戦で幾多の人材を失っていたこともあり、その結果、ちょっと気を抜けば、薩と長土肥の間が拡がってしまう可能性もあり、そうなると、薩摩政府になってしまうという危惧もあったのではないでしょうか。
だから、木戸も、本来、ああいう事件には関わりたくなかったのでしょうが、長州閥の力を維持することが優先だと認識した・・・と。
この辺の認識は差異がないかと思いますが、一方で、長州という土地は確か県面積の90%くらいが山で、おまけにカルスト台地という徹底して農耕に向かない山があり、その代わり、海岸線の長さは日本有数でおまけに下関という要所を持っている・・・という地理的条件を考えれば、長州人気質、一般に長州怜悧などと呼ばれますが、そういう県民性になる傾向はあるのではないでしょうか。
<< 時代は違えども・・・裂帛の気魄... またもや、徒然なるままに・・・ >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
ライフログ
最新のコメント
sakanoueno-k..
by heitaroh at 19:20
おっしゃる通りですね。 ..
by sakanoueno-kumo at 14:59
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:01
堀で防御を固めたような大..
by sakanoueno-kumo at 15:36
> sakanoueno..
by heitaroh at 11:34
> sakanoueno..
by heitaroh at 11:24
おっ! ここ行かれたん..
by sakanoueno-kumo at 22:00
なるほど。 そこまでは..
by sakanoueno-kumo at 21:49
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:13
おっしゃるとおり、悪人と..
by sakanoueno-kumo at 13:53
> sakanoueno..
by heitaroh at 11:42
案外、美魔女妻に叱られて..
by sakanoueno-kumo at 21:20
> sakanoueno..
by heitaroh at 19:43
だけど、黒木華ちゃんって..
by sakanoueno-kumo at 10:59
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:21
検索
タグ
(67)
(56)
(55)
(53)
(51)
(46)
(43)
(42)
(42)
(36)
(33)
(32)
(31)
(31)
(30)
(28)
(27)
(27)
(26)
(26)
(25)
(24)
(24)
(24)
(24)
(23)
(22)
(21)
(21)
(21)
(21)
(20)
(20)
(19)
(19)
(18)
(18)
(17)
(17)
(17)
(17)
(16)
(16)
(15)
(15)
(15)
(14)
(14)
(14)
(14)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(12)
(12)
(12)
(12)
(12)
(11)
(11)
(11)
(11)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(9)
(9)
(9)
(9)
(9)
カテゴリ
以前の記事
2024年 10月
2024年 09月
2024年 08月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
最新のトラックバック
フォロー中のブログ
ブログパーツ
  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧