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日露戦争開戦にみる福岡縣人・頭山満と堺利彦の是非 3
親愛なるアッティクスへ

続きです。

「ロシア討つペし!」

そんな空気が国内にみなぎりはじめていた明治36年、時流に逆らうかのように、敢えて、非戦論を振りかざす週刊平民新聞が東京有楽町の小新聞社から発行されました。
これを企図したのが、のちに明治天皇暗殺を計画、準備した疑いで死刑となった、いわゆる「大逆事件」の首謀者となる幸徳秋水と、もう一人、福岡県出身の堺 利彦・・・。
日露開戦前夜、開戦をあおり、国民を戦争への道へ駆り立てる中心者となったのが、福岡県出身、頭山 満翁であったのに対し、戦争前・戦争中を、一貫して非戦論を主張し続けた堺翁もまた福岡県出身者・・・。

堺翁は、明治3年の生まれといいますから、安政2年生まれの頭山翁より16歳年若になります。
頭山翁が、明治政府によって唯一、お取りつぶしになった筑前福岡藩の貧乏士族の子に生まれたのと同様に、堺翁は、会津陥落以前に高杉晋作によって落城の憂き目を見ていた豊前小倉藩の貧乏士族の家に生まれました。
ただ、頭山翁が、16歳の時、高場 乱(たかばおさむ)という男装の女性が開いた興志塾(人参畑塾)に入門した後、萩の乱に連座し、投獄されるなどの政治活動に傾斜していったのに対し、堺翁は、小・中学校ともに首席で卒業した秀才であり、17歳で立身出世を夢みて上京。
見事、一高に合格したものの、酒と遊びをおぼえて身を持ちくずし、中途退学。
その後、大阪で小学校教師をしたり、郷里福岡で福岡日日新聞の記者として勤めるなどしながら文学の世界で身を立てるべく小説の執筆を始め、時には、その文才を買われ、同郷の末松謙澄に招かれ、東京に設けられた毛利家編纂所『防長回天史』の編纂にも従事したこともあったとか。
さらに、『萬朝報』の記者として活躍し、社会改良を主張する論説の普及を図る一方で、社主の黒岩涙香、同僚の内村鑑三、幸徳秋水らと理想団を結成、この時期に、社会主義に開眼。
その後、週間平民新聞の発行に至るわけですが、これ以上は、割愛するとして、で、日露戦争開戦前夜の二人の主張ですが、早期開戦論者である頭山翁の主張は、前回述べましたので、今回は、反戦非戦論者である堺翁のそれを採り上げてみたいと思います。

このときの堺翁の主張を要約するならば、概ね、「戦争は支配階級私利私欲によるもの。たとえロシアに勝っても、後に残る物は子孫の代まで負担が続く公債の償還、過酷な重税、軍国主義、物価値上がりばかりだ」というものだったようです。
この翁の主張は、現実に、日露戦争後の日本の疲弊と、その後の右傾化路線を考えると、これはこれで、一理あることだったように思います。

ただ、当時は、命知らずの国士、浪人といった人たちが、うようよしていた時代で、反戦論を主張することは命がけだったようですね。
中には、「堺を切って出陣せよ!」とまで扇動する新聞まであらわれ、「国賊、非国民、露探 (スパイ)」などの誹謗中傷が集中したとか。
しかし、それでも、翁は主張を変えず、訴え続けたといいます。

ということで、堺翁のその後は、また、続きます。
                               平太独白
by heitaroh | 2007-05-09 17:03 | 歴史 | Trackback | Comments(0)
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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