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日本の実情に適した相続の在り方・その2 竹崎季長
親愛なるアッティクスへ

昨日の続きです。

嘘か本当か知りませんが、いわゆる、「バカ者」という意味の「たわけ」というのは、「田分け」からでた言葉だとも聞いたことがあります。
また、「田分けとなるのを避けるために、長子相続制度ができた」と何かで読んだ記憶もあるのですが、実際、「阿部一族」の時代、江戸幕府は分地制限令などで、農地を細分化して相続することを禁じていたといいます。
もっとも、これは何も、家督相続人のことを心配してくれたからではなく、「農民が零細化し過ぎては年貢をとるのが困難になる」からだそうですが・・・。

となれば、嫁や養子に行きそこなった弟妹は余計な者以外の何物でもなかったのでしょうが、この点で言えば、現在の、たとえ、「遺言」という平等を阻害する物があったにしても、遺留分というものが存在するという意味も含めて、「兄弟が平等に分けることが建前」の現行相続制度ですが、如何にも戦後、開明的有難いGHQ様によって、初めて、与えられた文明的なもの・・・みたいに思えますが、実は、何も、戦後になって初めて与えられた権利・・・などではありません。

元寇における自身の戦功を描かせた『蒙古襲来絵詞』で知られる竹崎季長という人物がいますが、彼が元寇において、絵巻を描いてまで自分の勇戦奮闘を告知しなければならなかった理由、それこそが、その「田分け」にあったと言われています。
当時の相続法は、現在のそれと同じで、兄弟がいれば、それを兄弟の数だけ、平等に分けていくというものだったとか。

ただ、平等に分けるという理念はいいのですが、現実には、一反の田畑を兄弟の数だけ平等に分けることを繰り返していけば、やがて、農地は細分化され従兄弟同士や、又従兄弟同士・・・などということになれば、これはもう他人同士も同然であり・・・、その結果、わずかな農地ばかりを持った多くの「食っていけない農民」が増えてくることになります。
しかし、一家が食っていくためには、最低限のまとまった面積が必要なのです。
竹崎季長もまた、そんな半農半士の一人だったとも聞いておりますが、となれば、彼としては、戦争で武功を立てて、新たな所領をもらわないと、経営が成り立たない・・・、平たく言えば、妻子ともども、「餓死」してしまう可能性もあったわけで・・・。

ところが、当時は、源平合戦の時代はすでに遠く、武功を立てようにも、大きな戦争自体がない・・・。
元寇は、そんなときに起きた、言うならば、慈雨にも似た「待ち望んだ戦争」であり、その意味では季長にとっても「神風」だったわけです。

つまり、 欧米はともかく、日本の歴史では、すでに公平分配相続の時代があったということですね。
あったけれども、それが、日本の実情に合っていないということで、いつの間にか消えていった・・・と。
この点で、戦後の日本は、開明的なGHQ様のご指導のもと、封建的な家長制度から脱却したのでしょうが、私は、現代の相続制度は、相続税の在り方も含め、やはり、日本には適していないのではないか・・・と思っています。

そのうち、続く・・・と思う・・・けど・・・のココロだ~(笑)。
                                平太独白
by heitaroh | 2007-03-09 08:57 | 社会全般 | Trackback(2) | Comments(0)
Tracked from 墓の中からコンニチワ at 2007-03-10 04:25
タイトル : お客様各位
お気づきの方はお気づきでしょうが、コメントやコメントへの返事での呼び掛けに付ける敬称を「様」から「さん」に替えました。 たとえば銀行の文書では「破綻先様」「懸念先様」「要監視先様」「延滞先様」「利払遅延先様」といった表現が当たり前になってきました。 製造業などでも「ユーザー様」から始まり、「代金未払御得意先様」「納期遅延御取引先様」「苦情申入御得意先様」が使われています。 とにかく相手に「様」を付け、「・・・・させていただきます」で締め括れば何を言っても許されるという風潮です。 こうした性格を...... more
Tracked from 墓の中からコンニチワ at 2007-03-12 07:55
タイトル : 追伸
>こうした諸条件を勘案して私は「さん」で統一することにしました。 これが言葉足らずのため正確に伝わっていないようです。 私からの発信で統一するということです。 皆様からの呼び掛け、皆様の引用での表現を統一するなどという畏れ多い意図はまったくございません。 「様」でも「ちゃま」でも、「さん」でも「ちゃん」でも、「殿」でも「バカヤロー」でも何でも結構です。 相手にしていただけるだけで光栄です。 なお、「陛下」と「殿下」だけはご使用になりませんようお願い申し上げます。... more
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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