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カムイの五ツに常識の陥穽といじめ問題の原点を見る・後編
親愛なるアッティクスへ

昨日の続きです。

漫画、カムイ外伝の中で、フリー(?)の忍者「名張の五ツ」が呟いた言葉ですが、これを聞いて、私には違う意味「いじめ問題」が思い浮かびました。

当時、同時代に放送された手塚治虫の名作に、「どろろ」というのがあったのですが、この「どろろ」も、「カムイ外伝」同様、世の因習不条理、人間の醜さという物を隠し立てすることなく表現した作品でしたが、ところが、「子供の教育上よろしくない」ということで、途中で圧力が掛かり、結局、放送中止に追い込まれたやに聞いております。
この傾向は、昔話などにも見られ、「カチカチ山のたぬきさん」グリム童話にみられるような、本来、残酷な話、グロテスクな内容というものはすべて、皆、「最後は仲良し」みたいなハッピーエンド的な結末に書き換えられように記憶しておりますが、要は子供たちの目から、汚い物、醜い物というものを覆い隠してしまったわけですね。

が、しかし、子供というのは、本来、本能的にそういう残酷さというものを持っている生き物であり、何より、実際の世の中というのは、必ずしも綺麗な物ばかりではないわけで、むしろ、汚い物、不条理の方が多い物でもあるということを考えれば、それらを覆い隠してしまうのではなく、そういう残酷なことをすれば、こういう悲惨な結末が待っている・・・ということを教えなければならなかったのではないかと。
この点では、所ジョージという人がいいことを言ってましたね。
「いじめをルールで押さえ込もうとするのは間違いだ。イジメをするような人は、最初から、ルールなんか守らない。そういう子供には、損得で教えるべきだ」と。

私も、彼のこの意見には概ね、賛成です。
子供というものは、善というものだけを見せておけば善人に育つ・・・というのが、今の教育の教是になっているようですが、それは上述しましたように大きな間違いで、実際、私も、子供の頃、きれい事ばかり言う教育というものを心の底から軽蔑してましたよ。
現に、所詮、私のような者ひとり、善人に教育出来なかったわけですから、これが教育というものの限界なのではないでしょうか?
今の子供たちも、この「世の中には善人しか居ない」という教育の虚構足元を見透かされているように思います。

私なら、彼らに向かって、こう言います。
「君たち、日本という国をなめてはいけない。君たちが思っているほど、この国は優しい国じゃない。自殺する人に『俺の名前なんか、書くんじゃないぞ!』と言ったところで、その人は死んでしまえば関係ないんだから、書きます。
その結果、どうなるか。そこに名前が載ると、毎日、マスコミが家に押しかけてきます。名前は、どこからか、漏れて、毎日、昼も夜も、いたずら電話がかかります。それから、お姉さんがいる人は縁談がなくなります。
次に、バス停で立っていたら、誰かが、『あいつだよ』などと言ってると思ったら、見知らぬ人から、突然、蹴られます。次に、就職しても、そういう過去がばれたら会社には居づらくなります。日本は、そういう国なのです。」と言います。
後は、各人、自分で判断しなさい・・・と。

であれば、教育というものは、きれい事ばかりで飾り立てず、世の中の因習、不条理というものを、ありのままに見せていくべきではなかったかと。
擁護のしようもないような話には、むしろ、「こういう忌まわしい現実も厳然として存在している。何とか、君たちの世代で変えていってくれ」と教えるべきではなかったかと。
その上で、「働かなかったキリギリスさんは、助けを求めたさんに殺されて食べられてしまいました。そうなりたくなかったら、皆さん、一生懸命、働きなさい」・・・と教えるべきでしょう。
子供には、それをきちんと把握する能力があると思いますから。

あ、「私が言うようにすれば世の中から一切、悪人がいなくなる」・・・なんてことは言ってませんからね。
最近、こういう短絡的な誤解が多いもので・・・。
                                   平太独白
by heitaroh | 2006-12-27 08:17 | 教育 | Trackback(1) | Comments(4)
Tracked from <徳島早苗の間> at 2006-12-31 00:42
タイトル : TV Brosの「2007年を星に聞いてくれ!」
 何を隠そうマイナーTV雑誌・「TV Bros(ブロス)」の愛読者である。中でもお気に入りは占い師ありえーる・ろどん氏による西洋占星術コーナー「星に聞いてくれ!」。  雑誌を購入すると真っ先に開いてここを読む。結構当たっている気がするので。毎年「年末年始特大号」になると「○○年(来年)を星に聞いてくれ!」と題した一年分を総括した占いが掲載される。  私は双子座なのでその欄を見てみると(気になった項目のみをピックアップ)、【2007年の星の動き】:幸運の星・木星が射手座に入るため、射手座には12...... more
Commented by rabbitfootmh at 2006-12-28 00:44
TBありがとうございます。
本当の「善」と、今の学校の中で教えている「きれいごと」とは、まったく別物ですよね。先生たちが、自分の中の醜いものを「きれいごと」で糊塗していても、子供には判るのでしょう。
Commented by Count_Basie_Band at 2006-12-28 09:55
TB頂いてからずっと考え込んでいました。
もっとも、昨日(27日)締切やら、他にも考えることがあったのですが..

>皆さん、一生懸命、働きなさい

と言われても働く場所はどんどん消えていき、運良く働く場所が見つかっても実入りは減る一方。政府が先頭に立って減らしています。

いくら勉強していい学校へ入ったって、行く末は精々「派遣社員」か「フリーター」。
なのに親は「勉強しろ」という。ウザイからぶっ殺す。

いつの世でも、子どもの嗅覚は親のそれを上回っています。
Commented by へいたらう(管理人) at 2006-12-28 11:58 x
<rabbitfootmhさん

コメント有り難うございました。
子供たちは、先生の言うきれい事の片方で、これだけ、テレビなどで、様々な映画やドラマが溢れているわけですから、世の中の現実を知りやすい立場にあると言え・・・。
であれば・・・ということだと思います。
Commented by へいたらう at 2006-12-28 12:01 x
<Count_Basie_Bandさん

>皆さん、一生懸命、働きなさい

というのは、例えの一つに過ぎません。
ちょうど、ありとキリギリスの寓話しか思いつかなかった物で。

カチカチ山だったら、お婆さんの仇として命を狙われたくなかったら、老人しか居ない家に強盗に入って、居直り殺人はしないことですね・・・となったでしょう。

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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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