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ブラックジャックに見る人間万事塞翁が馬
e0027240_15395986.jpg手塚治虫「ブラックジャック」と言う漫画をご存知でしょうか?
言うまでもなく、巨匠、「手塚治虫」の代表作の一つです。
このマンガ・・・、今でも売れ続けている、知る人ぞ知る超ロングヒットなんですってね。

ただ、この漫画が出る前に「神様」手塚治虫が置かれていた状況と言うのは、決して、順調なものではなかったそうです・・・。

かつてのように、出す作品、ことごとく子供達の心をわしづかみ・・・というわけにはいかなくなっており、もう誰の目にも、手塚の時代は終わっと映っていたそうで、ついに、手塚プロ倒産自宅売却
起死回生で最後の望みを託した「ミクロイドS」という作品も半年で打ち切り・・・という、まさしく、どん底の状態だったそうです。

そこへ、週刊「少年チャンピオン」が「ブラックジャック」を連載することになって、編集長が担当者を募ったところ、誰しも、落ち目の作家など担当などしたくはないもののようで、やむなく、ある担当者にその話が廻ってきたそうです。
その人も、(こんな落ち目の作者、嫌だ!)と思い、「手塚先生じゃ、もう、だめですよ」と言って逃げようとしたところ、編集長から、「だめなのは俺にもわかっている・・・。なあ、手塚先生の死に水をとってやろうよ・・・。連載と言っても、5回だけだから・・・」と言われ、渋々、引き受けたそうです。
参考記事:平太郎独白録 親愛なるアッティクスへ : 神は自らの領域に近づこうとする者を愛さない

当時、コンセプトとして、「医者もの」「劇画タッチ」と言うことはあったそうですが、それでも、誰も期待などすることもなく、出版されてからの読者アンケートでも、16作品中12位で、誰もが内心、「やはり・・・」の世界。
そうこうするうちに、手塚治虫は締め切り前日になって、「第四話が書けない」と言ってきたそうで、「連載作品なのに!」ってことになり、大慌てで、その担当者が家に駆けつけ、「書いてもらわないと困る!」と言ったところ、「今日だけは、今日だけは、勘弁してくれ!」と言って、そのまま家を出て行こうとしたそうです。
担当者は、「冗談じゃない!書いてくれなければ困る!」と言って、ドアの前に立ちふさがって、手塚を肉弾で突き飛ばし、肩を摑んで、むりやり、椅子に座らせたそうです。
手塚と言う人は、日ごろ、連載に穴を開けるようなことはなかったし、人を悪し様に言うような人ではなかったそうですが、このときばかりは、「君は鬼だ!」と言って突っかかってきたそうです。
この辺の両者の心理は、よくわかるような気がします。
手塚にしてみれば、満天下に生き恥をさらしているようなもので、みじめでみじめで・・・、とても、やってられないような心境だったでしょうし、担当者にしてみれば、「だから、落ち目は嫌なんだ!」だったでしょう。

で、結局、そんな状態では当然、書けようはずもなく、もう、締め切りに間に合わないから、仕方なく、第四作が載るはずのところに、そのまま、第一作目の作品を掲載したところ、その発売の翌日、出版社である秋田書店の電話と言う電話が鳴りっぱなしになり、出版部だけでは電話の応対が間に合わなくなって、ついには、社員総出で電話を取り捲らなければならない事態になったそうです。
内容はすべて、少年チャンピオンに「ブラックジャック第四話」が載らなかった事への苦情・・・。
そこで、初めて、担当者は自分の担当している作品が、「どれほど読者に支持されているのかがわかった」と・・・。

「人間、泣いてばかりも生きられない。笑ってばかりも生きられない」
これは、重度の鬱病で生命の危険さえあった俳優・竹脇無我に対して、森繁久弥が言った言葉だそうです。
漫画界に、はかり知れぬ足跡を残した神様・手塚治虫・・・。
何とも人間くさい神様です・・・。
人間万事塞翁が馬、ご健闘をお祈り申し上げます・・・、ご同輩。
                       平太独白

by heitaroh | 2005-08-11 18:35 | 思想哲学 | Trackback(2) | Comments(6)
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Tracked from <徳島早苗の間> at 2006-02-10 13:06
タイトル : アニメと言えば・・・。
 今毎週コンスタントに見てるのは、NHKの「名探偵ポワロとマープル」と日テレの「ブラック・ジャック」ぐらい。  「ポワロとマープル」・・・やはりNHKなせいか絵も話も大人しめな印象。(真冬に山下達郎の主題歌って・・・。) アガサ・クリスティーは代表的な作品しか読んでなかったので。(「アクロイド殺人事件」「オリエント急行殺人事件」「ABC殺人事件」「そして誰もいなくなった」あたり。エラリー・クイーンなら殆ど読んだけど。自分としてはクイーンの最高傑作は「Yの悲劇」ではなく「エジプト十字架の秘密...... more
Tracked from 粗製♪濫読 at 2006-08-20 14:46
タイトル : 『手塚治虫 ザ・ベスト 衝撃ホラー編』 手塚漫画を堪能
著者:手塚治虫  書名:手塚治虫 ザ・ベスト 衝撃ホラー編 発行:集英社(漫画) 充実度:★★★★★ 不滅の漫画家手塚氏のベスト版。 <ペーター・キュルテンの記録、火の鳥(異形編)、どろろ(百鬼丸の巻)、はなたれ浄土、ブラックジャック(春一番)、ZEPHYRUS、七色いんこ(誤解)、など> 実在の連続殺人鬼を描いた「ペーター・キュルテン…」が最もホラーというべき内容でした。 「リボンの騎士」を思わせる女性剣士の輪廻の話「火の鳥(異形編)」。この2作が特に面白いです。 他に「...... more
Commented by りつ at 2005-08-11 19:58 x
面白いエピソードですね。いくら人気がない(と思っていた)とはいえ、第4作目掲載のところへ大1作を載せてしまうのも大雑把すぎる気がしますが、おっとりした時代だったのでしょうか。今だったらインターネットを通してイヤというほど反響があるでしょうから、このようなエピソードは生まれにくいかもしれません。
Commented by へいたらう at 2005-08-11 21:22 x
>りつさん

おもしろい・・・と言っていいのかどうかわかりませんが、確かにまだ、古き良き時代だったんでしょうね(笑)。
まあ、第四話の代わりに第一話を載せたってこと以前に、いくら巨匠だからって、売れてないのに、死に水代わりに作品を載せてあげられるってのもスゴイですね。
今なら、業績重視で株主代表訴訟されるかもしれませんね・・・。
漫画家も掃いて捨てるほどいますしね。
Commented by tokkey_0524zet at 2006-02-10 13:05
 そうそう、「BJ」って最初は5回だけの短期集中連載だったんですよね。(秋田文庫版17巻まで持ってます♪。)
だから医者が主人公だけど余り医療技術云々の話が出て来なくてファンタジーとかホラーっぽいエピソードが多くて。
 
 昔はちょっと人気が無くなってもテコ入れしたり当初の構想とは大幅に路線変更したりなんて事も出来たんですが、最近はそうもゆかなくなって来た風潮がありますね。そこまで長い目で作品や作家を育てられないというか。漫画文化自体ちょっと下降気味なところもありますから。
Commented by へいたらう at 2006-02-10 15:46 x
> tokkey_0524zetさん

この点は、私も同感ですね。
昔は、もっと、書き手を育てようと言う余裕があったように思います。
拙著だって、店頭に並んで、撤去されるまでに驚くほど短い時間でした。
こんな短期間で、知名度もない作家がどうやって、結果を残せというのか、私も大いに疑問に思ったことがあります。
Commented by bibliophage at 2006-08-20 14:52
TBありがとうございました。
大手塚にも不遇の時期があったとは聞いていましたが、これほど追い詰められていたとは…。
まさに起死回生のピノコだったわけですね。
Commented by へいたらう at 2006-08-20 17:55 x
>bibliophageさん

コメント有り難うございました。

まったくですね。
私も、この話を聞いて、神様と呼ばれた人が急に生身の人間に思えました。
<< 熱帯夜に見るプロのプロたる所以... 原爆投下と郵政解散は同根のもの >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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