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現存する日本最古の戸籍 中編
親愛なるアッティクスへ

昨日の続きです。

その日本最古の戸籍、「筑前国 嶋郡 戸籍 川邊里」についてですが、その資料、岡本顕實著、「筑前国嶋郡の『川邊里』戸籍」という書を引っ張り出してきましたので、それによれば・・・。

まず、そこに記載されている嶋郡とは、現在の福岡県糸島郡に当たり、「里」というのは、現代で言うところの「村」に相当するらしく、現代風に言うならば、川邊里というのは「川辺村」と言った意味だとか。
即ち、現在の糸島郡志摩町、前原市、福岡市西区元岡(すべて、旧糸島郡)に跨る地域だそうですが、この戸籍を見ると、この村には、28家族438人が暮らしていたことがわかるそうです。
もちろん、各家族ごとに、大小ばらつきはあるにせよ、平均すると一戸当たり25人の大家族であったと。

で、戸籍は、一人一行ずつで、戸主から始まり、姓名、年齢、税の区分、続柄が記され、配列は血縁順、最後に口分田総面積が明記され、同著曰く、
「川邊里の最大家族は肥君猪手124人で、口分田は全体で13町6反120歩(約14ha)であり、さらに郡長官の身分であり、別途に手当、6町が支給された」と。

で、その肥君猪手の戸籍を見ると、同著曰く、
「戸主の肥君猪手はこの年(702年) 53歳、朝廷から正八位上勲十等という位を受け=地方の有力者としては相当な高位である=嶋郡を治める長官の「大領」の位」にあったことがわかるそうで、つまり、ここに「志摩郡郡役所があったことを物語っている」そうです。

さらに、続けて、「庶母 宅蘇古志 須弥豆賣 年陸拾伍歳 老女」とあるそうで、つまり、65歳の義母の存在が書いてあると。
その次には、「妻 寄多奈賣 年伍拾武歳 丁妻」、つまり、52歳正妻だそうです。
続けて、「妾 宅蘇古志 摘賣」 47歳、「妾 黒賣」 42歳、「妾 刀自賣」 35歳とあり、一夫多妻制であったことがわかるとか。
一夫多妻制自体は、日本でも江戸時代くらいまではそうだったのですから、まあ、驚くほどのことではないのでしょうが、ここで、注目すべきは、正妻の欄にが書かれてないことだそうです。
(ちなみに、古代の戸籍は夫婦別姓だったそうですね。1300年が経った現代、「夫婦別姓」が論議されていることを聞くと、この人たちはどう思うのでしょうか・・・。)

同著曰く、「この時代、奴碑 (奴隷) には姓がなかったが、れっきとした正妻が奴碑であることは考えられないから、正妻も庶母と同様、宅蘇古志氏の一族と見てよかろう」ということなのですが、となれば、妾1号(2号?(笑)。)に続けて書いてある2号、3号共(実は4号もいた形跡があるとか・・・。)に同姓ということになり、となればつまり、この猪手という人物は、四姉妹を全部妻にした・・・とも考えられるのだそうです。
まことにもって、うらやま・・・、いえ、何でもありません。
失礼しました(笑)。

まあ、単に書き漏らしただけかも知らず、私としても、同姓にしても妻の姓は無くて、妾1号の姓だけが記載されていたのは、イマイチ、理解に苦しみます。
同書でも、この点は、可能性として、
①庶母と正妻が姉妹であり、妾3人は別の姉妹である
②年齢からみて、正妻と3人の妾が姉妹である。
ということも指摘してありました。

で、これ以降には、この妻妾が産んだ子供、さらには、孫たちの記載に移り、一族縁者、そして、奴隷になるそうです。
ちなみに、当時の奴隷は、大体、人口の5%くらいだそうで、奈良時代の日本の人口が500万人として、つまり、25万人くらいが奴隷だったとか。
現代日本人から見ると、何とも酷い話に聞こえますが、近代以前は世界史的に見ても取り立てて珍しいことではなかったようです。

続きは、また明日。
                         平太独白
by heitaroh | 2006-12-14 08:28 | 地域 | Trackback | Comments(0)
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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