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博多駅前史 その10 昭和 博多駅移転区画整理編 Ⅲ
親愛なるアッティクスへ

毎度おなじみ、先週の続きです。
土曜がなかったので、本日にしました。

昭和33年、順調に行き始めたかに見えた博多駅土地区画整理ですが、正式に決定した途端に、壁が立ちはだかります。
まず、そのひとつめとなったのが農地問題についてです。

当時の空撮の写真を見ると、元々、博多駅移転予定地は見事に農地ばかりであり、区画整理対象区域全体でも、3割以上の区域を農地が占めていたことで、補償金を巡って、地主福岡市、それに、小作農を代表する農業団体の三者の利害が複雑に絡み合い、容易成らざる事態となってしまったとか・・・。

博多駅前史 その10 昭和 博多駅移転区画整理編 Ⅲ_e0027240_18514447.jpg(←現在の博多駅から見る博多駅前の風景。この大部分は農地だったわけで・・・。)
中でも、難航したのが、離耕を余儀なくされる小作農の問題だったと・・・。
それは、まあ、そうでしょう。
耕地が無くなれば、いきなり、明日から、失業を意味するわけですから・・・。

となれば、当然、小作農の人たちの危機感は強く、そのことは、区画整理が進み始めたばかりの昭和29年には、早くも、前述の博多駅促進農民評議会が結成されていることからもわかると思います。
特に、1/3を占めると言われた農地の半分以上、約56%が小作地だったわけで・・・と、ここまで言ったところで、あるいは、「嘘ツケぇ!」と思われるかも知れませんね。
なぜなら、昭和23年GHQによって、行われた日本民主化政策の一つである「農地解放」があったことから、日本中から、小作農というものはいなくなっていたはずですから・・・。

ところが・・・です。
どういうわけか、この博多駅移転予定地一帯のみは、見事に、その指定地域から外れていたんです・・・。
従って、この地域の少なくない地域を占める小作農地ですが、その51%を、わずか13名大地主が所有するという事態になっており、このことが、今でも、博多駅一帯には地元でも有数の資産家が多いという現象になっているようです。
(ちなみに、当家は、誠に遺憾ながら、この13名の中には入っておりません(笑)。農民ではなく、大工ですからね・・・。あしからず・・・。)

ということで、この問題は、こじれにこじれ、昭和36年には地主と小作人との離耕条件の交渉が進展しないことに業を煮やした小作人たちが、新駅の杭打ち工事反対を申し入れる騒ぎにまでなったとか・・・。
これは、農地法で、「耕作者の同意が無ければ、工事には手を付けてはならない」と定められていたことから、言うならば、小作人側の「切り札」だったわけで、ストライキのようなものだったでしょうか。

まあ、結局、すったもんだあった末に、昭和38年7月8日、農業団体との間で、ようやく、補償問題で妥結にこぎつけるわけですが、結局、新・博多駅開業は当初より8ヶ月も遅れ、この年の12月になってしまったわけですから、如何にこの問題が・・・ということがおわかりいただけると思います。
                                平太独白
by heitaroh | 2006-09-25 00:50 | 地域 | Trackback | Comments(2)
Commented by tonosamaking at 2006-09-25 01:20
しらなかった・・・
農地解放ってどこでも行われていたものと思ってました。

ちくしょー、そうじゃなかったら俺ももう少し楽だっただろうに(苦笑)

なんて、そんなこと思ってませんがね(笑)
Commented by へいたらう(管理人) at 2006-09-25 11:18 x
> tonosamakingさん

人間ですものね(笑)。
私も、「何でうちはそこにいないんだ!」などという思いがないわけではないですが、まあ、それ言ったらきりがありませんからね・・・。
東京なんかは、もっと、地価が高いわけで・・・(笑)。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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