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小泉内閣の総決算 その2 外務省改革担当大臣と9.11。
で、今日は一昨日の続きで、小泉内閣の総決算として、「日本外交」についてです。
普通、任期が終わりに近づくと、どうしても、政権という物はレームダック(死に体)になってしまうものなのでしょうが、この小泉政権という物については、この時期においても、なお、50%を超える驚異的な支持率を誇っていたということを考えると、私には、どうしても、この政権が、「単なる物がわからない愚民をたぶらかすことで成り立っていた」政権・・・とは思えないんです。
私的には、一昨日も触れた、テレビの「小泉内閣の通信簿」が終わった翌日くらいにこの数字でしたから(まあ、皆がその番組を見ていたわけではないでしょうが、度重なるマスコミの洗脳にもめげず、この支持率ですから・・・。)、ますます、その想いを強くした次第です。
とはいえ、マキャベリ「民衆は具体的なことには割と的確な判断を下す」という言葉とは裏腹に、私も、世論という物が如何に目先の感情論で構成されているものなのかということは、一度、実感として感じたことがあります。

小泉内閣が、一番、支持率を下げたとき・・・、それは、田中真紀子氏の外務大臣解任のときでしが、この数日後、私は家族旅行で別府温泉へ行きました。
宿を経つ日の朝、私が家族より一足先に朝食を済ませ、部屋に戻ったところ、まだ、仲居さんが布団を上げて下さっているところで、「あ、早かったですね。すみません。」と言われるので、「あ、いえいえ、いいですよ。」と言って、そのまま、片隅の壁にもたれ、テレビを付けた所、ちょうど、田中真紀子氏の解任の場面が、その週の特集か何かでやっていたのですが、それを見るともなしに見ていたら、傍らで布団を上げていた仲居さんが、「真紀子さん、可愛そうですねぇ。」と。
私的には「そうかぁ?」と思ったのですが、同時に、「あ、これが世論か。」という感を強くしました。

あのとき、支持率を下げた方には申し訳ないのですが、田中氏は外務大臣ではなく、外務省改革担当大臣でしかなかったことが問題なのだと思います。
この点は、以前、平太郎独白録 「外務省が外務省であることの弊害」で述べたことですが、国民が外務省の必要を認めていない・・・、余計な物だという認識があるから、そんなところで無駄遣いばかりやっている官僚を叩くことに、国民は喝采を送ったのでしょうが、それでは、政権担当者の小泉さんとしては困りますよね。
あくまで、外務大臣もしながら、外務省改革もやってくれるのでないと・・・。

これについて、少し、思う所があるのですが、田中真紀子氏の父の、故田中角栄元首相は総理を退任間際、「外務省には気をつけろ」と言ったといいます。
田中内閣の末期、支持率低下に悩んでいた元首相は活路を外交に求め、積極的な外遊に打って出るのですが、このとき、低学歴の総理大臣を認めたくないエリート集団・外務省は、東奔西走南船北馬を絵に描いたようなスケジュールを組んだとか。
さすがに、体力に自信がある元首相も、国内を飛んで廻るのとはワケが違い、うち続く時差と気候の違いの連続で体力をすり減らし、遂には顔面神経痛になってしまい惨めな退陣に追い込まれたわけで・・・。
当時、元首相のファーストレディ代わりに外遊に同行していた真紀子氏は、その辺のことを十分知っているはずだと思います。
とすれば、当初から、外務省にはいい感情を持っていなかったことも予想されるわけで、外務省改革というあら探しは、ある意味、私怨だったという見方も出来るわけです。

外務大臣としては、失格だったでしょう。
9.11テロの時、トップシークレットのパウエル国務長官(当時)の潜伏先をマスコミに喋っちゃうし、アメリカも、表だっては何も言わなかったけど、本当のところは、「おい、おまえのところのあれ、いい加減にしろよ!」ってのがあったんじゃないですか?
もっとも、小泉さんも、外務大臣に指名したわけですが、実際には、本命の緒方貞子氏でギリギリまで折衝して、結局、断ってきたから、やむなく・・・って感じで指名したようでしたが。

ちなみに、9.11のとき、実は私は友人と、「シアトルイチローを見に行こうぜ!」という話をしていたんですよ。
で、かなり、話が具体的に進み始めた矢先、福岡で、ある会議が催されるようになってしまい、結局、断念したのですが、そのとき、福岡入りするはずだった人間の仲には、ニューヨーク経由で入る奴もいたみたいですが、そこへあのテロですから、もう、福岡での会議どころか、帰国の目処も立たない・・・ということになったようで、大変なことになったようです。
私も、本当なら、直接、テロに巻き込まれることはなかったにせよ、数日は、不安な夜を過ごすことになっていたかも知れないわけで・・・。
                          平太独白

by heitaroh | 2006-09-22 08:35 | 政治 | Trackback | Comments(10)
Commented by Count_Basie_Band at 2006-09-24 08:27
>ある意味、私怨だったという見方も出来るわけです。

人類発生以来、社会を変えてきたのは「私怨」です。「公憤」「責任感」ろ言われる虚しい観念がが社会を変えたことはありません。「私憤」が「noblesse oblige」を装ったことがありますが。
この解釈は商品にはなりません。なぜなら人類すべてが感じているからです!
Commented by へいたらう at 2006-09-24 11:17 x
> Count_Basie_Bandさん

>人類発生以来、社会を変えてきたのは「私怨」です。

・・・???
私欲の間違いでは・・・?

私としては、私怨だけで世の中が変わってきたとはおもいませんが、まあ、幾つかはそういうケースもあったでしょう。
仮にそうだとしても、私怨を是認するのを推奨するというのはいかがな物でしょうか?
田中真紀子さんの私怨を支援してやらなければならない義理が、小泉総理にも、我々国民にもあったとは思えないんですが・・・。
そもそも、人と関係ないから私怨なのであって・・・。

すみません。
不勉強で、私には今回のことはイマイチ、わかりませんでした。
Commented by Count_Basie_Band at 2006-09-24 12:50
「私欲」が満たされなかった場合に「私怨」が生じ、争いが起こるのです。

>私怨を是認するのを推奨するというのはいかがな物でしょうか

私の文章のどこで「是認を推奨して」いますでしょうか。「是認」は肯定的評価でしょう。私は何の評価もしていません。
「事実」として、「人間の業」として、「ヒトという動物の本能」として受け止めなければならないと言っているだけです。ヒトという動物は強慾で残酷なのです。ですからヒトの集団を制御するシステムはこの儼然たる事実に基づくべきだと申し上げているだけです。



>私怨だけで世の中が変わってきたとはおもいませんが

歴史の解釈の相違でしょうね。
Commented by へいたらう at 2006-09-24 19:27 x
>Count_Basie_Bandさん

申し訳ありません。
どうにも、この件は、私には理解しかねるようです。

卑近な例で言えば、この田中真紀子氏のケースが、もし、私怨であったとしたら、社会を変える為には(社会を変えることが善であったと仮定した場合ですが)、これをとめてはいけない・・・と言うことなのではないのですか?

>「私欲」が満たされなかった場合に「私怨」が生じ、争いが起こるのです。

争いの結果、私怨が生じるのではないのですか?
福島県の鹿児島、山口への恨みなどは、これでしょう・・・。
Commented by Count_Basie_Band at 2006-09-25 04:24
へいたらう様

「是認を推奨して」いるとの貴台のご批判については答えてください。
どの部分が「是認」であり、どの語句が「推奨」に当たるのか。
まして歴史観に関わることを他人に「推奨」するというのは私がもpっとも嫌う行動です。もし私の言動の何れかが「推奨」に当たるとすれば以後細心の注意を払わなければなりませんから。
Commented by へいたらう at 2006-09-25 10:26 x
> Count_Basie_Bandさま

????
すみません。
何やら少々、激高しておられるような気がするのですが、私にはイマイチ、仰っておられることがよくわかりません。

ちょっと、困惑しておりますので、よろしければ、歴史的な変革が「私怨」によってなされたことの具体例を提示頂けませんでしょうか?
その方が、わかりやすいと思うのですが・・・。
できれば、私のような浅学の者にもわかるような有名な事件の方が有り難いです。

ただ、「ごまかすな!」と言われても、これまた、困りますので、

>どの部分が「是認」であり、どの語句が「推奨」に当たるのか。

ろいう点にだけは、触れておきたいと思います。
一番最初に貴台様が述べておられますように、

>人類発生以来、社会を変えてきたのは「私怨」です。

であれば、前回も書きましたが、「もし、私怨でなければ社会が変わらないのであれば、社会を変えることが善(何をもって善であるという定義は置くとして)であった場合には、社会を変える為には、これを「推奨」すべし・・・と言うこではないのですか?
Commented by Count_Basie_Band at 2006-09-25 10:44
>何やら少々、激高しておられるような気がするのですが、

面白がってるだけですよ(笑)。

>歴史的な変革が「私怨」によってなされたことの具体例を提示頂けませんでしょうか?

すべてでしょう。
つまり、如何なる感情も志も思想もすべて「私」だということです。personal、individual、privateなものです。
「公」は利害が一致する「私」の集合に過ぎません。
そして誰かにとっての「善」は常に他の誰かにとって「悪」です。

当たり前すぎる話ですからこれをもってこの種の話題は打ち切ります。「逃げる」と言われようと言われまいと私にはどうでもいいことです。「打ち切る」のは私の選択です。
Commented by へいたらう at 2006-09-25 22:58 x
>Count_Basie_Bandさん

私も打ち切って頂くのがいいと思います。

まず否定ありきのように感じましたのですが、もし、「私怨」という言葉で以前のやりとりがあったので、それで、自分に対する私からのあてつけのように感じられたのでしたら、それは誤解だということだけ申し上げておきます。
なぜなら、私はここに掲げる原稿はよほどに至急のネタでない限り、2週間くらい前から作り置きしているからです。
従って、貴台様とのやりとりがある前から、この原稿は出来てました。
本当はもっと前で出すつもりだったのですが、色々、先に出す記事があり、遅れに遅れ、これ以上後になると、すべて、「前総理」・・・という風に修正しないといけなくなる・・・と思い、安倍総裁誕生前日に出した次第でした。

私としては、これ以上、不毛な議論を続けなければならないようなら、ネットの歴史認識に一過言ある人たちの掲示板にお互いのやりとりを貼り付け、判定してもらおうかと思っておりました。
全人類と言うことでしたので、「そいつらではわからない」は通用しないでしょうから。
Commented by Count_Basie_Band at 2006-09-26 09:30
>もし、「私怨」という言葉で以前のやりとりがあったので、それで、自分に対する私からのあてつけのように感じられたのでしたら、それは誤解だということだけ申し上げておきます。

それは考えすぎですよ。
「人間社会は私怨で動く」というのは私の高校生時代からの歴史観の起点であり、以来50年以上、支持されるところでは支持され続けており、収入にも繋がっております。
「社会は動かすものではなく、マグマが溜まったら勝手に動く」というのも同じです。
したがって小泉竹中が溜めに溜めたマグマがいつかは爆発すると言うのが私の予測であり、この点ではへいたらう様とは決して位置しないと判断しました。

ネオン街の話、酒の話、プロスポーツの話、???の話に戻りましょうよ。
Commented by へいたらう at 2006-09-26 13:47 x
>Count_Basie_Bandさん

私の方からも、そう願います。

ただ、蒸し返すようで恐縮なのですが、今回、言われたことには初めて私も共感出来ました。
以前、どこかで記事にしたと思うのですが(してないようでしたら、後日、また、記事にしたいと思います。もっとも、書きためた物が終わってからになりますが(笑)。)、「所得の格差自体はどこの国にも多かれ少なかれあるもので、問題はそれが固定してしまうことにあるだろう。ある意味、ビーカーの中でお湯を熱するような物で、熱せられた水が上に上がり、空気に触れて冷たくなった水が下にもぐることで、これらの循環が順調に行われているうちはいいが、一定温度を超えると、中のお湯はたぎり始め、さらに熱し続けるとビーカーを割ってしまう。これが革命である。」と、まあ、概略、こういう意味のことを言ったのですが、ただ、今の小泉・竹中路線でのマグマが、いきなり、こうなるとは思えません。
所得の格差という点でしたら、アメリカなどはもっと激しいのでしょうが、革命は起きておりませんし、それは、戦前の日本でも然りだと思います。

ということで、この話はこれまで・・・ということで(笑)。
<< 博多駅前史 その10 昭和 博... 安倍新総裁誕生にみる「木を見ず... >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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