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博多駅前史 その7 戦後昭和編
親愛なるアッティクスへ

毎週好例(?)の自己満足シリーズです。

終戦間近の昭和20年6月19日・・・。
この日、突如、福岡市B-29の大編隊が襲います。
いわゆる、「福岡大空襲」です。

生前、祖母から聞いた話では、空襲を受けた当時の福岡市の中心部、いわゆる旧・福岡博多の方向は、一面、真っ赤に見えたと言います。
「・・・見えた」という言葉のとおり、実は、当地、現在の博多駅前地区は、旧博多駅から徒歩で10分程度だったにも拘わらず、このとき、空襲を受けておりません。
つまり、米軍にとっても、空襲する価値すら無い地域だったわけです。
この為、逆に、この一帯は、大正時代>から建つ老朽化住宅も多く、これが後に博多駅移転区画整理の対象となる一因となります。

そして、未だ戦後の傷跡癒えぬ、昭和24年(1949年)7月、市議会に博多駅拡張委員会が設置され、「博多駅拡張並びに施設改良に関する件」が可決>されたことで、再び、事業は動き出します。
翌25年博多駅拡張協議会が結成されると、さらに、翌26年には、それを受けて、遅々として進まなかった戦前からの東部土地区画整理事業換地処分が行われ、また、市議会では博多駅を移転後退させることの是非について、議論が交わされるなど、一層の盛り上がりを見せていったようです。

博多駅前史 その7 戦後昭和編_e0027240_14104378.jpgで、それらの動きに呼応したか、、昭和27年、現在の博多駅前3丁目から4丁目にかけて、つまり、現在の住吉通りを挟んで両岸にあたる、中人参町、上人参町が、正式に町名として認可されます。

(←現在の中人参町、上人参町地区です。)

が、このとき、この中に、下人参町の名前はなく、その後間もなく、博多駅移転区画整理が動き出したことから、結局、下人参は正式町名の申請をすることなく、現町名「博多駅前」へと移行することになります。
その為、現在の役所に保管されている旧町名の一覧表には、中人参町と上人参町はありますが、下人参町はありません。
つまり、私が生まれた福岡市下人参町は、公式記録には、一切、存在しない町になってしまったのです。
下人参町が、中人参町・上人参町と同時に、正式町名の申請をしなかった理由はわかりません。

ただ、おそらく、この時期に、東林寺町下人参畑町とが合併し、新たに、下人参町が発足していることから、「合併してから正式町名に」・・・としようとしたところ、博多駅移転区画整理の対象となっていることが判明し、どちらにしても町名は変わるったい・・・ということで、そのままになったのではないかと思います。
あるいは、正式町名を申請するにあたっては、町民の人数や町の面積など、何らかのクリアしなければならない基準のようなものがあったのかもしれませんね。
下人参畑町では、それを満たしていなかったから、東林寺町と合併する必要があり、その手続きを進めているうちに、中人参町と上人参町は正式町名を認可され、下人参町はする必要がなくなったとか・・・。
それとも、先に合併しておかないと、正式町名が認可されると、後から、合併出来ないということだったなどということもあったのかもしれません。
いずれにしても、昭和29年には、下人参町樽御輿記念の横断幕(画像はコチラ→平太郎独白録 「私事ですが、宝箱を開けてみました・・・。」)が作られてますから、このときまでに、合併が完了していたのは間違いないんですけどね。

そして、昭和30年(1955年)、土地区画整理法が施行されたことにより、この後、一気に、博多駅移転区画整理は前進を始めます。

来週に続く。
                                    平太独白
by heitaroh | 2006-09-02 08:58 | 地域 | Trackback | Comments(4)
Commented by 南の国の会社社長 at 2006-09-02 20:13 x
福岡には行ったことがない私ですが(というか修学旅行で山口県までしか行ったことのない私ですが)、その町名は「しもにんじんちょう」とか「なかにんじんちょう」とか読むんでしょうか?豊臣秀吉かなんかが、精力増進のためにそのあたりに朝鮮人参を栽培させたとかいう歴史など出て来ると面白いですが。
Commented by へいたらう at 2006-09-02 20:38 x
> 南の国の会社社長さん

おお!
さすが、いいところを付かれましたね(笑)。

町名は、「しもにんじんまち」と呼びます。
人に見せると、まず、95%くらいの人が「にんじんちょう」と呼びます。

豊臣秀吉ではないのですが、財政難に悩む筑前福岡藩が殖産興業の一環として、この地域で、高麗人参の栽培を行わせたのにちなむそうです。

ちなみに、私の友人の横浜人は、下関タワーから九州側を見て、「へー、ここが日本の果てなんですね。」と言いました(笑)。
皆、そういう発想なんでしょうか・・・(汗)。
Commented by 南の国の会社社長 at 2006-09-03 00:53 x
お、けっこう私の推理はいいところまであたっていたのですね。人参はやはり高麗人参!時代は惜しくも少しずれましたが、だいたい近い!朝鮮人参はスタミナ不足にだけでなく、藩の資金不足にも効いたとは。

その横浜人の方は、日本=本州と思っていたのかも。あるいは、九州、四国は、小さな島という認識なのかもしれませんね。(笑)
Commented by へいたらう at 2006-09-03 10:06 x
>南の国の会社社長さん

高麗人参は当時は高価ですからね。
ただ、事業の方は、残念ながら、軌道には乗らなかったそうです。

横浜人は、まさしく、日本=本州と思っていたようですが、豊橋のおねーちゃんも、青森見て、ここが日本の果てだと思ったと言いますから、まあ、それが本州人全般の感覚かと(笑)。
関門海峡は日本海くらい広いと・・・。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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