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江戸時代の福岡ゴミ事情にみる環境循環型社会の現実
親愛なるアッティクスへ

江戸時代の福岡ゴミ事情にみる環境循環型社会の現実_e0027240_102789.jpg←先日の日曜はここに居ました。
もっと天気が良ければよかったんですけどね。

で、そのせいか、翌日の明け方、寝ていたら、突如、もの凄く足がつりました。
中学生くらいの頃、よくそういうことがありましたが、「それは背が伸びている証拠」と言われてました。
今更、背が伸びてるようには思えないんですけどね・・・(笑)。

ところで、江戸時代、江戸エコロジーならぬ、エドロジーと言われるほどに環境循環型社会がうまく機能していたと言われていますが、少し、よく言われすぎのような気もします。
元来が、埋め立て地だけに、井戸から飲料水がとれず、水源地からはるばる木製の水道を引いて、井戸の下を通し、飲料水にしていたとかで、驚くほどに近代的な発想ですが、逆に言えば、それだけに、一旦、床下浸水するようなことになると、飲料水汚水が混じり、伝染病が発生する元になっていたとも言います。
現代では、世界に冠たる衛生大国・日本も、当時の衛生感覚は、この程度の物だったということでしょうか。

この点では、江戸時代の福岡市・・・、つまり、福岡博多もまた、同様で、博多も井戸水が出ないので、大正以前、まだ、水道が普及する前は、「水売り」が水を担いで売りに来ていたそうです。
今でも、博多は人口の割に、安定した水源が無い為、雨が降らないと、すぐに、渇水になってしまいます。
ゴミもまた然りで、紙でも布でも使えなくなるまでリサイクルして、初めて、捨てていたと言います。
(私が子供の頃までは、我が家も近い物がありましたけどね。)
しかし、それほどに、うまく循環し、機能していたはずの江戸時代も、時代が下り、江戸中期頃になってくると、ゴミ問題が浮上してきたと言われています。

筑前福岡藩の領主、黒田家は、関ヶ原後、筑前に入国すると、博多に入らずに、その東、福崎の地に城を築き、ここを福岡としたわけですが、(平太郎独白録 「博多祇園山笠に見る、福岡・博多、三都物語・その1。」参照。)同時に、博多の東隣にある石堂川(現御笠川)を防衛線に想定し、この川の西側(博多側)に、たくさんの寺院を配置しました。
当時、お寺というのは、広い敷地をもっていた為、兵隊集結都合が良く、さらに、戦闘になった場合には、墓石などが防御の役に立ったといいます。
まあ、いかにも、小銃程度しか想定していない時代らしいなと・・・。

で、この石堂川ですが、江戸時代には、二本の橋が架かっていたと言われています。
当時、橋の修理費用藩の負担だったそうですが、清掃を始め、洪水の監視など、橋の管理自体は博多の町方がやっていたそうで、ところが、この頃になると、橋のたもとには博多の人々が捨てる、たくさんのゴミが溜まるようになっていたとか。
ゴミは、普段はともかく、川が増水したときなどは、ゴミに堰き止められた水流が橋ごと押し流してしまう危険性がある為、『博多津要録』によると、享保19年(1734年)、付近の10町は連名で、「石堂口の橋の周辺にゴミを捨てないこと」を誓約した・・・などという記録が見受けられると言います。

これは、何もこの石堂川だけのことではなく、上述の『博多津要録』によると、享保4年にも、博多の西隣、つまり、福岡と博多の間に流れる那珂川でも、藩より、「川筋、不行儀にこれあり。川へちりあくた(塵芥)を捨てざるよう・・・。」という達示があったそうで、ここでも、町役人たちは連署して、ゴミを捨てないことを誓っているとか・・・。 
しかし、状況はあまり改善されなかったようで、元文4年(1739年)、問題解決の為に、当時、あまり、人も住んでなかった、いわゆる、「中洲」南端付近にゴミ処理場を作ったと言います。
ところがところが、寛保3年(1743年)には、川に捨てられたゴミが、水流をせきとめるための川柵(川に杭を打ち、木や竹を渡したもの)を壊す恐れが出てきたことから、藩はゴミを取り除くよう命じた記録が見受けられるとか。
今も昔も、博多人に公徳心というものはないようです(笑)。

で、「御町ちり捨所」が作られて12年後の寛延4年(1751年)、このゴミ処分場はすでに、満杯になっていたのか、この時点では、もはや、ゴミ捨て場ではなく、材木置き場になっていたようで、中洲中島町の商人が相応の地主銀を上納して拝領したという記録が残っているそうです。

つまり、現代のように無機物ゴミなどない、理想の環境循環型社会と思われていた江戸時代でも、実際には、しっかり、ゴミ問題が存在したと言うことですね。
平太独白
by heitaroh | 2006-08-23 08:11 | 歴史 | Trackback | Comments(0)
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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