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博多駅前史 その4 時代は明治から大正へ編
今、私の手許に、明治44年「福岡市の周囲」と題する新聞記事があります。
ここに、この頃になって、一気に発展し始めていた福岡市郊外の様子が記されているのですが、その中に、人参畑と付近のことについて記された一文があります。
農学校、農事試験場、測候所がある為であろうが、住吉に近い、人参畑東領辺りの発展も頗る注目する現状がある」と・・・。
また、「博多駅(当時)の拡張改築に伴い、駅に近い方の線路沿いには、紡績会社や電灯会社などが建ち並び、料理屋なども出来てきた」と記されてましたので、どうやら博多に近い方から発展していったようですね。
ついでに、人参畑ではないですが、付近の比恵というところの既述として、「この辺りは、元々、土着の者しかいなかったが、土木工事が盛んになったことから、各県から職人工夫が住みつき始め、市内の高い家賃を払うよりも、むしろ、少しの不便を辛抱して、片在所に寄寓しようという向きが多く」・・・という既述があります。
おそらく、人参畑も同様だったのではないかと思われます。

また、この記事の中には、以前、平太郎独白録 「バルトの楽園が福岡ではザルデルン夫妻の悲話・前編。」、並びに、平太郎独白録 「バルトの楽園が福岡ではザルデルン夫妻の悲話・後編。」の中で触れた、ドイツ帝国海軍大臣の令嬢・ザルデルン夫人殺害事件の現場となった貸家のことについて触れた箇所もあります。
曰く、「至って寂しい土地で、夜は強盗や変質者が出て通行人を悩ませた簑島土堤に、一時、深野県知事が別荘を建て、転任後に売却しようとしたが、あまりに寂しいところなのと不便なのとで買い手が付かなかったが、それが対岸に遊郭が出来るとともに、以前、一坪二十銭そこらだった櫨畑が、たちまち、五円十円で買い手が付くようになった。」と。
ザルデルン夫人殺害のわずか6年前のことです。
警察も、随分、マシになっていたとは言え、また、交戦国とは言え、海軍大臣の娘をこんなところに住まわせたよな・・・と。

博多駅前史 その4 時代は明治から大正へ編_e0027240_16135351.jpg←ここがいわゆる簑島土堤(現美野島)で、名前の通り、鎌倉時代には島だったようです。
もう、往時をしのばせる物はありませんが、一番、それっぽいところを撮ってきました。
私が子供の頃までは、うちと同様、普通の下町だったんですけどね・・・。

で、本題に戻ると、人口増加の一途を辿っていた人参畑地区ですが、大正11年6月1日、遂に福岡市に合併され、福岡市住吉町大字春吉字馬場添となります。
ただ、この住所はあくまで公式の物であり、実際には、やはり、「人参畑」と呼ばれていたようで、この時代になってくると、人参畑の人口も増えたことから、上人参町、中人参町、下人参畑町・・・と分裂、増殖を始めていたようです。
と言っても、住居表示法施行前のことですから、地主が分譲したら、勝手にそこに名前を付けて・・・と言う、今で言うところの、「実際の住所は大字藪田だけど、分譲時の通称として、分譲元が光が丘とか湊坂台なんてのを付けた」ような・・・、言うならば、登記上の「家屋番号」といったところだったようです。

ということで、やっと、大正編へ、れっつごーです。
                                平太独白
by heitaroh | 2006-08-12 08:29 | 地域 | Trackback | Comments(0)
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱「財閥」の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

令和7年 19世紀ロンドンと東京。「描きたかったのは猟奇ではない。悲惨である」。「女王陛下の十手持ち」出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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