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「プーチンが死んだら戦争が終わる」は幻想?
サミットでの主要議題の一つ、ウクライナ戦争
プーチンは開戦後の芳しくない戦況を思えば、その心労はひとかたならぬものがあるはずで、見るたび、「爺ちゃんになったなあ」と思わされます。
実際、ロシア人としては既に高齢であることを思えば、いつ、何があってもおかしくない、もっとはっきり言えば、そう長くないのでは。
で、プーチンが死んだら戦争が終わると思っている人が多いようですが、果たして、そうでしょうか?
ロシアという国には、欧米のような明確な後継者選出システムは無いと言われています。
(その意味では、一番近いのは日本でしょうか。小渕恵三総理(当時)が急逝したときも、「密室で決めた」などと言われ、その後も、そう言った場合の明確な制度が定められたようには聞かないのですが。)
実際、ソ連崩壊後、ロシアの権力移譲は、メドベージェフをカウントに加えなければ、エリツィンからプーチンへの一回しかあっておらず、次がどういう形になるかは、未知数です。
したがって、今、プーチンが死ねば、内乱になる可能性もあります。

「プーチンが死んだら戦争が終わる」は幻想?_e0027240_20460190.jpg
ただ、実際にはすぐにはそういうことにはならないと思います。
まず、その、プーチンが選ばれた基準は、「我々の権益を守ってくれそうだ」だったと。
まあ、実際にはエリツィンとしては、自分と家族の生命財産を確実に守ってくれる人であれば、誰でも良かったのでしょう。
が、おそらく、今は、プーチンも同じ気持ちでしょう。
しかし、「確実に、あなたとご家族の生命に危害を加えることはありません」と言っておいて、裏切る可能性もあるわけで、プーチンとしては、自分の体がもつ間は誰にも譲りたくない。
(エリツィンも同じ気持ちだったかと。いよいよ、ダメだとなって、恐る恐る渡したというのが本当のところだったかと。)

「プーチンが死んだら戦争が終わる」は幻想?_e0027240_20463356.jpg
では、プーチンが死んだらどうなるか。
エリツィンのときのように、まだ、本人に意識があるうちなら、もっとも確実に自分たちを守ってくれる者を選び、渋々、彼に権限を与えるでしょう。
その点で、まずパッと浮かぶのは、大統領時代もプーチンに忠実だったメドベージェフでしょう。
ただ、プーチンの場合、エリツィンと違い、自らの出身母体「FSB(秘密警察)の人間にこそ、もっとも、信を置いているでしょうから、あるいは、そこから誰かを抜擢するかもしれません。
ちなみに、もし、意識が無かったら・・・ですが、その場合も、おそらく、側近たちが「意識がある」ことにして、自分たちに都合がいい誰かを選ぶでしょう。
(ロシアに限らず、小渕恵三元総理に限らず、13代将軍徳川家定のときの井伊直弼然りで、周辺にいる者なら誰もが当然、考えることかと。)
で、とりあえずは混乱は回避されると思います。
新大統領に納得しない人たちもいるかと思いますが、その場合も、しばらくは「お手並み拝見」で様子見になるでしょう。

新大統領としては、ウクライナ戦争の講和の機会を探ることになるでしょうが、その場合、安易な譲歩は避けなければなりません。
それでなくとも、既に、少なからぬ戦死者も出ているのですから、占領地から撤退して、賠償金払って、ごめんなさいしたなんてことになれば、国内から「弱腰批判」が噴出、下手をすれば失脚、自らの生命さえ危険になります。
日露戦争ポーツマス講和の際、ロシア皇帝は連戦連敗の軍事行動と、日本の明石元二郎による革命派支援工作により、窮地に追い込まれており、そこで弱腰姿勢を見せれば、一気に国内の反政府派が活気づく恐れがあり、逆に譲歩できなかったと。もっとも、勝っていたら勝っていたで譲歩しなかったでしょうが。)
この戦争の終結については、以前から申し上げているとおり、ひとえに、アメリカ大統領選挙次第です。
が、そのときに、ロシアの政権がどうなっているかも注目する必要があります。
以下は、オーランドー・ファイジズ著「クリミア戦争(下)」の一文。

戦役中のロシア皇帝死去の報を聞いたとき、「誰もがこれで戦争は英国の勝利のうちに間もなく終わるだろうと確信した。侵略政策を強行して世界を戦争に引きずり込んだニコライ一世がこの世から姿を消した以上、ロシアもついに正気に戻り、早期講和を求めるに違いない」

ロシアのセヴァストポリ要塞攻略後、「軍事的な観点から言えば、セヴァストポリが陥落したとしても、それはロシアの全面的敗北からは程遠い話だった。ロシアを屈服させるには大規模な陸上作戦によってモスクワを占領するか、あるいはバルト海海戦に勝利してサンクトペテルブルクを落とす必要があった。セヴァストポリが陥落すればロシア皇帝は講和を求めざるを得ないだろうと考えていた西側の指導者がいたとしたら、彼らはすぐに期待を裏切られた」と。
                  平太独白

by heitaroh | 2023-05-19 21:01 | 国際問題 | Trackback | Comments(0)
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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