人気ブログランキング | 話題のタグを見る


鎌倉殿の十三人での頼朝後の義時は政子の忠僕
今年の大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」
源実朝暗殺に近づいているようですが、私はあれは公暁(私は「くぎょう」と習いましたが、今は「こうぎょう」と読むんですね。確かに、僧籍にある者の名としては、そっちのほうが正しいような。)の単独犯、それも、後ろ盾であるはずの三浦義村の冷たい反応を思えば、かなり、突発的なものだったのだろうと思っています。
公暁は、ちょっと精神的に、おかしかったんじゃないですかね。
その意味では、事件というよりは事故に近い出来事だったのでは。

鎌倉殿の十三人での頼朝後の義時は政子の忠僕_e0027240_18183383.jpg
(↑公暁が隠れていたという伝説の松の辺りから見た鶴岡八幡宮。後世の作り話のようですが、まあ、気分だけ(笑)。)

源頼朝没後の鎌倉幕府の実権は北条義時にあったと言われますが、私は義時ではなく姉、北条政子にあったと思っています。
つまり、「義時が主で政子が従」ではなく、「政子が主で義時が従」で、義時は政子の意を具現化した実務家だったと。
頼朝、政子、義時の関係は、天武天皇持統天皇藤原不比等の関係に相似する・・・と言えば、わかりやすいでしょうか。
(古くから、不比等天智天皇御落胤説もありますから、そうなると、持統天皇と不比等は姉弟。)
あんなもの、「尼御台」という、御家人を超越した存在があってのこと。
さらに、政子は、「女」という、御家人間の序列には縛られない、各家の母や妻たち「女」のネットワークを握っており、義時だけでは到底、あそこまで御家人を統御することはできなかったでしょう。

鎌倉殿の十三人での頼朝後の義時は政子の忠僕_e0027240_18274308.jpg
(↑源実朝墓。)

さて、それはさておき、義時晩年の子供、北条政村登場でしょうか。
ここから、往年の大河ドラマ「北条時宗」で、伊東四朗演ずる政村が、執権になって、「母上、やりましたぞ。政村、ついに執権になりましたぞ!伯母上への無念・・・」と言って踊るシーンに繋がったんだと思うと、なぜか、勝手に感慨深いものがあり。
(正確には何と言ったか覚えておらず、初めて、オンデマンドとやらで「北条時宗総集編」見てみたのですが、肝心の所だけがカットされており・・・。せっかく金払ったんだから、全部、見ようと思いましたが、あまりにもくだらなさすぎる展開に辟易。当時の大河ドラマの主人公は、見事に「うOこもおOっこもしないような人」ばかりでしたね。最近はこの悪弊がだいぶ改善されましたが。)

鎌倉殿の十三人での頼朝後の義時は政子の忠僕_e0027240_19000573.jpg
ただ、このドラマでは、政村はずる賢いだけの人として描かれてましたが、実際には長老格として、この後の北条執権家を支えたようです。
この点は、創始者ヌルハチが基礎を築き、息子ホンタイジが基礎を固めるも、ホンタイジ没後、幼帝を支え、中国全土に覇を唱えたヌルハチ晩年の子、摂政王ドルゴンを想起します。
北条執権家も、事実上の創始者・義時が築き、長男泰時基礎を固めるも、泰時没後、経時、時頼と若い執権を支え、北条家の覇権確立に功績があった義時晩年の子、政村なわけで。

ただ、父、義時没時点では、既に、23歳年上の長兄泰時が承久の乱で活躍するなど、盤石の働きを見せていたにも関わらず、政村の母、伊賀の方が自らが継室であったことを理由に、泰時を廃し、政村を執権にする陰謀を企てたとして、伊賀の方は伯母政子の命によって流罪となっています。
伊東四朗演じる政村が「やりましたぞ、母上」と言っていたのは、この辺のことですね。
その政村には北条家累代の名乗り「時」が無く、代わりにあるのが、伯母政子の「政」。
祖父時政の「政」と烏帽子親の義村の「村」だと言われていますが、元服した和田合戦が起こった年ですから、この時点で、時政は既に追放されており、わざわざ、一文字をとる必要もなかったような。
まあ、「政村」を名乗った時点では、まだ、政子もその母を追放するとは思ってなかったでしょうが、あるいは、政子がこの子の後ろ盾になる!という暗黙の意味もあったのかなと。
政村は、蒙古襲来の前年、文永10年(1273年)、69歳で死去していますから、もう、この時点で、政子、義時は既に伝説上の人物だったでしょう。
小田原北条氏滅亡の前年に亡くなった始祖、伊勢新九郎(北条早雲)晩年の子、幻庵を見るような。
                     平太独白

by heitaroh | 2022-11-08 19:09 | 歴史 | Trackback | Comments(6)
Commented by sakanoueno-kumo at 2022-11-14 21:15
たしかに、伊賀の方の変によってわかるのは、政子が大きな権威となっていたということと、義時の死後、必ずしも泰時の地位が強固なものではなかったということですね。
そう考えれば、幕府の実質的権力者は義時ではなく、政子だったと考えた方が自然かもしれません。

また、伊賀の方の変によってイメージの悪い政村ですが、歴代執権のなかでは、最初の三代と末期の高時、元寇時の時宗の次にメジャーなんじゃないでしょうか。
政治家という印象の強い政村ですが、優れた教養人だったともいいますから、その母親である伊賀の方も、今回のドラマで描かれているような品のない女性ではなかったのかもしれません。
Commented by heitaroh at 2022-11-15 17:43
> sakanoueno-kumoさん

政子が事実上の女帝であったことは、有名な承久の乱のときの檄文が政子の名前で読み上げられたことでもわかるかと。
もう、あの時点では、政子は鎌倉殿の母でも祖母でもなかったわけですから。

え?政村、有名ですか?(笑)
私は「北条時宗」見るまで、まったく知りませんでした。
今も、ドラマ見てなければたぶん、存在知りませんよ(笑)。

で、「北条時宗」でも、兄を差し置いて、正室の子である時宗が執権になってましたから、やはり、正室の子というものは侮れないのかもしれません。
(その意味で、泰時は私には高市皇子のイメージに重なります。有能で、軍功も上げていたのに、なかなか後継者に・・・とはいかない。)
一方の政村も伊賀氏の変のときは、もう、20歳になっていたわけで、当時としては執権を継いでも良い年齢。
母、伊賀の方が「息子を!」と言っても、何もおかしくなかったでしょうし、時代が安定期であれば、政子としても異論を唱えなかったかもしれません。
が、政子としては、義時亡く、自らもいつまで寿命が持つかわからないあの時点で、承久の乱後の混乱期を収めるには、政治的手腕が未知数の政村では心もとないという判断があったのではないでしょうか。
つまり、イレギュラーな状況にあったということが泰時に幸いしたということだったのではないかと。
Commented by sakanoueno-kumo at 2022-11-15 21:35
たしかに、わたしも政村はドラマで知ったくちですが・・・。
でも、元寇のくだりにはで出来ますからね。
名前ぐらいは聞いたことあるって人もけっこういるんじゃないでしょうか。
少なくとも、時宗以後、最後の高時までの間の執権たちは、名前すら出てきません(苦笑)。

伊賀の方の変は、政子が伊賀氏をつぶすためにでっちあげた事件とする説もありますが、その点はどう思われますか?
わたしは、なんでも陰謀論にしてしまうのは穿ちすぎだと思っているのですが。
Commented by heitaroh at 2022-11-29 16:33
> sakanoueno-kumoさん
「伊賀の方の変」は、時宗が18歳で庶腹の兄を差し置いて執権になっていることを思えば、正室の子で、既に、20歳?くらいになっていた政村が継ぐというのは、決して突飛な人事でもなかったでしょう。
ただ、平常時ならそれでも良かったでしょうが、承久の乱後の非常時でもあり、舵取りによっては鎌倉幕府が崩壊する危険性を政子は感じていからこそ、血筋より能力優先でイレギュラー人事をしたところ、伊賀の方が納得せず、おかしな動きをしようとしたから、排除した・・・ということではなかったかと。
伊賀の方自身、特別、変なことをしているという意識もなかったのではないかと。

最終回は、泰時ではなく、政村を執権にしようとする義時を政子が殺して大団円・・・のような気がするんですが。
Commented by sakanoueno-kumo at 2022-11-29 17:22
政村を執権にというのは、物語の流れ上ないように思いますが、政子が義時を殺すんじゃないかというのは、少し前からわたしも思っていました。
今回、政子とトウが接点を持ちましたよね。
あるいは、政子がトウを使って義時を殺すんじゃないかと。
今回、トウが生き延びたことで、何らかの重要な役割を担っているように思えてなりません。
Commented by heitaroh at 2022-12-05 17:55
> sakanoueno-kumoさん
おお、貴兄もそうお考えでしたか。
私は昨夜の回を見て、ますます、そんな感じがしてきました。
原因は政村の件に限らず、いろいろ、あるのでしょうが。
<< アメリカは内乱前夜で中国は革命前夜? たまたま見た国葬に想う暗殺犯擁... >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
ライフログ
最新のコメント
sakanoueno-k..
by heitaroh at 19:20
おっしゃる通りですね。 ..
by sakanoueno-kumo at 14:59
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:01
堀で防御を固めたような大..
by sakanoueno-kumo at 15:36
> sakanoueno..
by heitaroh at 11:34
> sakanoueno..
by heitaroh at 11:24
おっ! ここ行かれたん..
by sakanoueno-kumo at 22:00
なるほど。 そこまでは..
by sakanoueno-kumo at 21:49
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:13
おっしゃるとおり、悪人と..
by sakanoueno-kumo at 13:53
> sakanoueno..
by heitaroh at 11:42
案外、美魔女妻に叱られて..
by sakanoueno-kumo at 21:20
> sakanoueno..
by heitaroh at 19:43
だけど、黒木華ちゃんって..
by sakanoueno-kumo at 10:59
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:21
検索
タグ
(67)
(56)
(55)
(53)
(51)
(46)
(43)
(42)
(42)
(36)
(33)
(32)
(31)
(31)
(30)
(28)
(27)
(27)
(26)
(26)
(25)
(24)
(24)
(24)
(24)
(23)
(22)
(21)
(21)
(21)
(21)
(20)
(20)
(19)
(19)
(18)
(18)
(17)
(17)
(17)
(17)
(16)
(16)
(15)
(15)
(15)
(14)
(14)
(14)
(14)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(12)
(12)
(12)
(12)
(12)
(11)
(11)
(11)
(11)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(9)
(9)
(9)
(9)
(9)
カテゴリ
以前の記事
2024年 10月
2024年 09月
2024年 08月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
最新のトラックバック
フォロー中のブログ
ブログパーツ
  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧