人気ブログランキング | 話題のタグを見る


渋沢栄一最大の暗殺未遂事件
渋澤栄一の家系図には立体図がいる」と言った人がいます。
つまり、彼の家系図には先妻後妻の子の他に、渋沢を名乗らせていない子供もおり、実際には公式発表の倍もいたという話も。
で、それらを踏まえた上で、「人は生命の危機に陥ると子孫を残そうとする本能が働く」といいます。
この点は、そういう事例はたくさんあるのですが、生々しいので敢えて申しません。
が、ただ、安全なところに身を置いている我々現代人が軽々に言うことでもないのではないかな?と。
事実、栄一は他の志士ほどではないにせよ、それでも何度か危険な目にあっており、特に、一番危なかったのは、新撰組と一緒に捕縛に行ったとき・・・でも、兜町で馬車が暴漢に襲われたとき・・・でもなく、実は中国でして。
この話をするには、山座円次郎という人について話さねばなりません。

渋沢栄一最大の暗殺未遂事件_e0027240_18403045.jpg
山座は、筑前福岡藩の足軽の次男として生まれ、苦学しながら、明治25年(1892年)、東京帝国大学法科を首席で卒業(同期は、夏目漱石・正岡子規・南方熊楠・秋山真之ら)、外務省に入省。

渋沢栄一最大の暗殺未遂事件_e0027240_18312632.jpg
(↑山座の墓だけは他の墓と違う方向を向いています。墓が向いている先には何があるか。福岡藩主、黒田家の墓があるんですね。)

渋沢栄一最大の暗殺未遂事件_e0027240_18383066.jpg
(↑幕末の福岡藩主、黒田長溥の墓。)

その後、明治34年(1901年)、若干36歳にして政務局長に抜擢。(いくら明治とはいえ、空前にして絶後。この先も塗り替えられないのでは?)
そのあまりの有能さ故に、「山座の前に山座なく、山座の後に山座なし」といわれたと。
日露開戦の際には、宣戦布告文を起草。
ポーツマス講和会議では小村寿太郎外相を支え、その後、大正2年(1913年)、まだ大使がない時代の駐中国特命全権公使として、辛亥革命後の中国に赴任します。
翌年、そこへ、中華民国大総統・袁世凱の招きにより、栄一が訪中してくるんですね。

渋沢栄一最大の暗殺未遂事件_e0027240_18441583.jpg
さすがに、栄一訪中となれば、現地公使館のトップが出迎えないわけにはいかない。
ところが、山座はこのとき、すでに(?)病気で寝込んでいたため、代わりに30代の部下をやったところ、その部下が急死。
やむなく、病気の山座が出かけていったら山座も急死(享年48歳)、さらに、74 歳(今なら94歳?)の栄一まで意識不明の重体となってしまったそうで、一行は栄一が意識を取り戻したら、青くなって帰国したと。
渋沢栄一最大の暗殺未遂事件_e0027240_18343337.jpg
ただ、私は本来、こういう毒殺説とらないんですね。
「病死=毒殺説」と同じで、キリがないからです。
しかし、この事件だけは毒殺で間違いないでしょう。
これは、孫文支持の山座を狙った袁世凱による犯行と言われており、栄一はたまたま巻き添えを食っただけだったのでしょう。
ただ、犯行はかなりピンポイントで、2階から噴霧器などではない・・・。
(私が想起したのは、オウム真理教によるVXガス襲撃事件です。)
あの時代にそんなことができたのでしょうか?と、高級官僚OBの方に尋ねたところ、あっさり、「いやいや、あるある」と言われました。
結局、表沙汰になってないだけなんでしょうね。

by heitaroh | 2021-12-07 18:40 | 歴史 | Trackback | Comments(4)
Commented by sakanoueno-kumo at 2021-12-08 18:32
この話はわたしは渋沢秀雄の著書で知りましたが、そこでは、山座、水野の中国人による毒殺の噂が流れた、とだけ書かれていて、栄一の回顧談は、「少し疲労がたまって発熱しただけだったのに、一行中の人たちがたいそう心配して大病人扱いされた」とありました。
意識不明の重体になったという話は実話でしょうか?
Commented by heitaroh at 2021-12-09 15:45
>sakanoueno-kumoさん

もちろん、私もその場にいたわけではありませんから、実話かどうかは知りませんが、私は十分に有り得る話だと思ってますよ。
栄一の性格からすれば、こういう場合に、自分のことで、周囲を煩わせるのは嫌がるタイプですし、何より、日中友好で行っているのに、それをぶち壊すようなことになっては本意ではなく。
「私はもう大丈夫だから、軽い過労だということにしておきなさい」「でも、しかし」「いいから。私のことで、日中友好に齟齬が出てはいかん」とか言いそうじゃないですか。
Commented by sakanoueno-kumo at 2021-12-09 17:43
たしかに、そう言われるとあり得そうな話ですね。
このときの栄一の訪中は、利権獲得にありと中国の新聞に書き立てられて現地で反対運動もあったそうですから、山座の巻き添えならぬとも、栄一もあまり歓迎されていなかったようですし。
Commented by heitaroh at 2021-12-09 18:14
> sakanoueno-kumoさん

栄一の訪中自体は、中国政府からの招請だったようですが、時期が時期だけに。
そのようなときであればこそ、なおさら、彼としては、自分のことで、せっかくの日中友好が壊れるようなことだけは避けようとしたのでは。
<< 家庭人としての渋沢栄一に見るエ... 渋沢は祖父、父、孫で縦に一、二... >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
ライフログ
最新のコメント
sakanoueno-k..
by heitaroh at 19:20
おっしゃる通りですね。 ..
by sakanoueno-kumo at 14:59
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:01
堀で防御を固めたような大..
by sakanoueno-kumo at 15:36
> sakanoueno..
by heitaroh at 11:34
> sakanoueno..
by heitaroh at 11:24
おっ! ここ行かれたん..
by sakanoueno-kumo at 22:00
なるほど。 そこまでは..
by sakanoueno-kumo at 21:49
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:13
おっしゃるとおり、悪人と..
by sakanoueno-kumo at 13:53
> sakanoueno..
by heitaroh at 11:42
案外、美魔女妻に叱られて..
by sakanoueno-kumo at 21:20
> sakanoueno..
by heitaroh at 19:43
だけど、黒木華ちゃんって..
by sakanoueno-kumo at 10:59
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:21
検索
タグ
(67)
(56)
(55)
(53)
(51)
(46)
(43)
(42)
(42)
(36)
(33)
(32)
(31)
(31)
(30)
(28)
(27)
(27)
(26)
(26)
(25)
(24)
(24)
(24)
(24)
(23)
(22)
(21)
(21)
(21)
(21)
(20)
(20)
(19)
(19)
(18)
(18)
(17)
(17)
(17)
(17)
(16)
(16)
(15)
(15)
(15)
(14)
(14)
(14)
(14)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(12)
(12)
(12)
(12)
(12)
(11)
(11)
(11)
(11)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(9)
(9)
(9)
(9)
(9)
カテゴリ
以前の記事
2024年 10月
2024年 09月
2024年 08月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
最新のトラックバック
フォロー中のブログ
ブログパーツ
  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧