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念願の賤ヶ岳登頂で知った北国の不利と琵琶湖は美しい!
先般、かねてより、念願だった賤ヶ岳に行ってきました。

念願の賤ヶ岳登頂で知った北国の不利と琵琶湖は美しい!_e0027240_10482194.jpg
(↑賤ヶ岳山頂より見下ろす琵琶湖。琵琶湖ってこんなにきれいだったんですね。)

城はともかく、古戦場と言うのは必ずしもアクセスが良い所にあるわけではなく、さらに、意外とネックなのが詳細な情報がわからないということ。
かなか、アクセス的に旅行者にはハードルが高く。
で、「賤ヶ岳はともかく、姉川はレンタカーで行くといいですよ」と教えてもらったこともあり、ちょうど、京都に所用があったもので、ならば、そのついでに・・・と思い立ちました。
で、姉川古戦場に行くつもりでレンタカー借りたら、まさかの「リフトあります」のチラシ。

念願の賤ヶ岳登頂で知った北国の不利と琵琶湖は美しい!_e0027240_10543807.jpg
しかも、高速使えば案外に近く、しかも頂上には、現地の古老がガイドで待機と、至れり尽くせりでした。
それによると、賤ヶ岳の戦い」と言われだしたのは明治以降なんだそうで、確かに、実態としては「余呉湖畔の戦い」と言うべきだと思いましたね。
念願の賤ヶ岳登頂で知った北国の不利と琵琶湖は美しい!_e0027240_10570092.jpg
(↑賤ヶ岳山頂より望む柴田方陣営。)

柴田方はこの向こうの山頂に布陣しており、まさしく、当時の戦争は登山と表裏一体と覚えけり・・・ですね。
敵将・柴田勝家の陣はちょうど、この正面の山だったようですが、ここは勝家の本拠、越前北の庄と京都を結ぶラインのほぼ中間になるらしく、かねてより、勝家の補給基地があった所だったそうですが、北国の勝家は雪で出遅れ(古老曰く、「ここは今でも、西日本で唯一、豪雪地帯の指定がある地域で、しかも、水分を含んだ重たい雪が降る所」と。)、着いたときには余呉湖をぐるりと囲む形で、既に羽柴秀吉が布陣していたと。
まあ、そこから、寝返ったり、寝返られたりがあったようですが、私が注目したのは勝家の雪による出遅れ。

念願の賤ヶ岳登頂で知った北国の不利と琵琶湖は美しい!_e0027240_11065831.jpg
古老曰く、同じく、「私が子供の頃まで秀吉の馬防柵(バリケード)が残っていた」そうですが、つまり、勝家が到着した時点で、秀吉は堅固な陣地を築き、勝家を完全に山頂に封じ込めてしまっていたわけで、秀吉としてはその間に、他の柴田方勢力を各個撃破しようという戦略だったと思います。
まさしく、「先んずれば人を制す」ですが、となると、どうにも勝家が北国に本拠を持ってしまったことは、天下獲りを望む上では致命的な欠陥だったと思います。
であれば、勝家は清須会議の折に、たとえ本拠地を放棄してでも国替えを望むべきだったでしょう。
(清須会議の時点では、まだ、完全に西国が秀吉の領地となっていたわけでもなく、もう少し主張しようはあったかと。)

勝家がそれを望んでいない時点で、老いた勝家には天下獲りの野望はなかった証拠だと思いますが、であれば、丹羽長秀のように、秀吉傘下に入ることを良しとしなければならなかったでしょう。
「気に入らないから、あいつとは別個に存在していく」はまさしく、かつて、越前の前領主・朝倉義景織田信長にとった態度で、いささか虫が良いと言わざるを得ませんが、雪に閉ざされた静かな世界にいると、そういう心理が芽生えていくのでしょうか。
この点でも、勝家が北国に本拠を持ったことの不利を感じます。

念願の賤ヶ岳登頂で知った北国の不利と琵琶湖は美しい!_e0027240_11311129.jpg
また、そう考えれば、徳川家康がこの後も存在感を発揮し続け得たことは、年齢も合わせ、太平洋側に領地を持っていたことの意味を改めて、考えさせられます。
逆に言えば、北国を本拠とした時点で、天下獲りの「受験資格」がなかったという見方もでき、反面、加賀前田家が徳川時代に百万石もの大領を持ちながらも、存続を許されたことの背景にもなっているでしょう。
                      平太独白

by heitaroh | 2021-11-02 07:43 | 歴史 | Trackback | Comments(2)
Commented by sakanoueno-kumo at 2021-11-11 13:26
おっ、行かれたんですね。
余呉湖の眺望、絶景だったでしょう?
おっしゃるように、余呉湖を囲む尾根上には秀吉軍の築いた砦がたくさんあって、今もマニアはその砦跡めぐりをしていすようです。
わたしは賤ケ岳の戦い関連でいえば、秀吉の本陣の田上山砦跡と、勝家の本陣の玄葉尾城跡は行きました。
玄葉尾城の遺構は素晴らしかったですよ。
よくこんなもの短期間で築けたなぁと。
Commented by heitaroh at 2021-11-15 15:23
> sakanoueno-kumoさん
余呉湖の眺望はそうでもありませんでしたが、琵琶湖が美しかったですね。
早朝などではそっちのほうが美しいのかもしれませんが。

勝家の本陣は古老ガイドの話では、本拠の北の庄と京都を結ぶ線のちょうど中間に当たるため、早くからここに中継基地を築いていたようで、先人のために急ごしらえで作った物ではないようですよ。

この後、小谷も行ったのですが、こちらは時間的に山に登るわけにもいかず、また、その体力もなく、大河ドラマのときに作ったであろう館を遠望したのみでスルー。
さらに、わかりにくかったのが姉川で、ようやく、石碑を見つけたけど、それ以上詳しいガイドがいるわけではなく。
貴兄の記事を読んで、家康の本陣を探したのですが、結局、わからず仕舞いでした。
レンタカー半日ですから、この辺が限界でしたね。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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