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ベアトリーチェ・チェンチの肖像
親愛なるアッティクスへ

先日、例によって、ビデオに撮りダメしていたテレビ番組「美の巨人たち」・・・が出てきました。

ベアトリーチェ・チェンチの肖像_e0027240_15591678.jpgで、就寝前に何気に見ていたら、出てきたのがこの絵・・・。

私にはこの絵を一目見るなり、なぜか、「これは、死人(しびと)じゃないか!」いう感を強くしました。

この小さな画像ではいまいち、伝わってこないのですが、22歳という割にはまだ、あどけない少女に見えるその絵は、でも、どうみても、ちゃんと目も開いているし、息づかいも感じるし、その意味では、やはり生きてる人の生身の肖像なんでしょう。

が、なぜか、何度見なおしても私には死人に見えるという・・・。

ナレーターの小林薫さんが、「これを見て、遺影のようだと思ったあなた。あなたは鋭い勘の持ち主です」と言ったので、「やはり何かそういう関係の物なのか!」とは思いましたが、私にはなぜか、どうみても、やはり「遺影」ではなく「死人(しびと)」にしか見えないんですよ。

一つには頭のターバン脳外科手術を受けた患者のようにも見えたこともあるのでしょうが、とにかく「死人」というイメージが強く訴えかけてきました。
この絵の人は生きながらに死んでいる・・・と。

本当に寒気がする一枚でした。
振り返った構図からの諦観というべきか達観したとでも言うべきか・・・その視線。
おかげで、暑さと同時に眠気も吹っ飛んでしまいましたが・・・。

この絵は、今更!と言われる方も多々、いらっしゃるでしょうが、イタリアはローマのバルベリーニ国立絵画館が所蔵しているグイド・レーニの作で、「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」というタイトルの物です。
そして、この絵は、この女性「ベアトリーチェ・チェンチ」死刑になる直前に描かれたとか。

罪状は父殺し
イタリア貴族であった父の暴力に耐えかねての犯行だったとも、財産を狙った権力者の陰謀だったとも言いますが、当時の民衆は、この女性に大いに同情的で、処刑の時には怪我人も出たとか。

ベアトリーチェ・チェンチ 1599年9月11日 処刑。
享年22歳
まったく、鬼気迫る名画です。
                              平太独白
by heitaroh | 2005-07-18 19:33 | 文学芸術 | Trackback(1) | Comments(6)
Tracked from ASIAN BABY at 2005-07-23 23:57
タイトル : 美の巨匠たち
"微笑み"の印象は実は間逆の輝きなんです... more
Commented by noma at 2005-07-24 00:05 x
TBありがとう御座いました。
エントリと参照先を拝見して"そうかぁ"と妙に納得してしまいました。
>鬼気迫る名画
もし生でこの絵を見るような機会を得たら、絵の前で足が竦んでしまいそうです。
Commented by へいたらう at 2005-07-24 20:34 x
>nomaさん

私もぜひ、実物を見てみたい!そう思わされた初めての絵です。
Commented by りつ at 2005-07-24 21:56 x
お引越し先の住みごこちはいかがですか。

フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』は声をかけられてぱっと振り向いたようなスピード感があるのに対して、この少女ベアトリーチェは首を後にのけぞらせつつ振り向いたようなのろのろした動きに感じます。

恐ろしく、哀しい絵ですね。
Commented by へいたらう at 2005-07-25 14:25 x
>りつさん

新居は、まだまだ、慣れないことばかりです。
おまけに、結構、旧宅に忘れ物も有るという・・・(笑)。

確かに、「美の巨人たち」ではフェルメールの『真珠の耳飾りの少女』と、この絵の関係を揶揄してましたよね。
なるほど、構図などには何らかの影響はあったのかもしれませんが、絵自体は全く別の絵と言っていいのではないでしょうか?
私見で言うならば、「『真珠の耳飾りの少女』の振り向きには希望があり、『ベアトリーチェ・チェンチの肖像』には絶望しかない。」というところでしょうか?

ちなみに、映画 『真珠の耳飾りの少女』のDVD買ってしまいました・・・。
Commented by りつ at 2005-07-28 08:26 x
昨夜wowowで放送していましたね。うっかりしていて半分も見られませんでした。耳飾はイアリングではなくてピアスで絵のために穴をあけるのが痛そうでした。それが画家の奥方のものであることが残酷でした。

ベアトリーチェの映画化は・・・見たくありません。
Commented by へいたらう at 2005-07-28 14:26 x
>りつさん

あってたんですか?知りませんでした。wowwowは家内専用となっています(笑)。
実は、私、人から、この映画はいいと聞いた為、DVD買ってしまったんですよ・・・(汗!)
まだ、見てませんが・・・。

でも、女性は自分の耳には平気で穴を開けるのに、人の耳に穴が開けられるのは見てられないのですか?
私はオシャレの為に、自分の体に穴をあけるのは理解できません。
従って、我が家では妻もピアス禁止です(笑)。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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