太平記をスピンオフで歩く。 その7 「続・激突、多々良浜」 福岡市東区

先日の続きです。


すっかり、余談が長くなりましたが、ここでようやく話を元に戻しますと・・・の前に、立花道雪こと戸次鑑連の墓(↓)です

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で、本題。

まだ要塞化される前の松崎台地に登った足利尊氏が敵のあまりの大軍に絶望し、自害を口走り、弟の直義に止められた・・・という件ですが、実はこの話には伏線があります。


まず、尊氏一行は上方から落ち延びてきたとき、満足な武装すらしていなかったらしく、出迎えた肥前国守護の少弐頼尚の父、貞経が装備品の調達をしていたものの、菊池武敏らに率いられた宮方の軍勢が少弐の本拠大宰府を襲撃したことから、貞経は自害、尊氏一行の為に用意されていた武具もすべて焼失してしまったと。

つまり、尊氏が松崎台地の上に立ち、「もうダメだ」と嘆いたとき、その彼我の兵力差もながら、満足な武装すらしていなかったわけで、素手で完全武装した10万の軍隊に立ち向かうような気分だったでしょうか。

なるほど、確かに、尊氏ならずとも、「こりゃだめだ」という気になるでしょうね。

惨めに辱めを受けるくらいなら・・・と思うのもわかるような気がします。

さらに、自害するという尊氏を諫めたのも実弟直義ではなく、足利軍に加わっていた少弐頼尚だったという話もあります。

頼尚は、既に父を討たれているのみならず、敵軍を主導する菊池武敏とは仇敵の間柄、降伏という選択肢はなかったでしょう。


両者の確執は建武の新政の直前、一足早く決起した菊池一族が鎌倉方の鎮西探題館を襲撃した際、少弐、大友も誘ったにもかかわらず、彼らは裏切り探題側について菊池氏を攻撃。

結果、菊池一族は敗退して、多くが館の一角で首を切られました。


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(↑昭和の地下鉄工事の際に大量の頭骨が出土した所。識者により、この時に処刑された菊池一族の物では無いかと。)


なのに、ほどなく、中央で足利尊氏によって六波羅探題が陥落との情報が届くと一転、少弐、大友は鎮西探題を攻め、これを陥落せしめています。

菊池一族からすれば、「あいつらだけは絶対に許さん!」だったでしょうね。


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(↑尊氏はこの状態のまま、宗像大社に戦勝を祈願。筑前国宗像を本拠とする宗像氏範らの支援を受けて筑前国の多々良浜に進出します。この期に及んでも尊氏に味方しようとする勢力があったということは注目すべきかと。)


ということで、次回に続きます。

                 平太独白

by heitaroh | 2018-05-13 17:26 | 歴史 | Trackback | Comments(2)
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Commented by sakanoueno-kumo at 2018-05-15 23:13
尊氏は、戦に負けたり劣勢に立たされたとき、たびたび切腹しようとして周囲を慌てさせますよね。
たしか、家康も似たような逸話がいくつかあります。
でも結局諌められて死なずに、のちにふたりとも征夷大将軍になっています。
旧政権を倒して将軍になろうてな人は、家臣たちが守ってやらねばと思うような脆さが必要なんですかね。
あるいは、そう思わせるための演技?
ふたりとも、何度も腹を切るといいながら切ってないわけですから、はじめから死ぬ気なんてなかったのかもしれません。
Commented by heitaroh at 2018-05-16 20:19
> sakanoueno-kumoさん

いやあ、私は必ずしも演技などでは無いと思いますよ。
逆に言えば、それだけ絶体絶命の窮地に立たされたって事で、尊氏にしろ、家康にしろ、切り抜けられたのは「運」・・・だったのでは。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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