人気ブログランキング | 話題のタグを見る


ALWAYS 駅前三丁目の夕日5 名品は昭和と共に。
以前、平太郎独白録 「もったいない」は、現代日本に於いては罪悪である!の中で申し上げましたこととも関連するのですが、以前よく言われた話に、「一番安い買い物というのは、本当にいい物を買っておいて、それを親子何代にも渡って使っていくのが、結局は一番、安い買い方なんだ」というのがあります。
しかし、この話は今となっては、まったくの「昭和時代」の考え方でしかありません。
この技術革新激しい平成の世ではそんなことをしていたら、「昔は高かったんだろうけど、今どき、こんなの使わないもんなー」ってことに成りかねないからです。

一例を挙げますと、私が高校生の頃、カイロはすべてベンジンという燃料を入れて使うやつで、燃料さえ入れ替えれば半永久的に使える物だったのでしょうが、今時は皆、使い捨てカイロですから、そんなの使わないわけです。
(ちなみに、先日、子供がグローブが欲しいというので、「よし、お父さんの愛用のグローブをやろう。」と言ったところ、「もう、今の物は、まるで違うんだよねー」などと言われる始末・・・。)
衣服なども、昔の「生地はいいけど、重いし、虫食いを気にしないといけないようなコート」より、今の「雨をはじくし、軽いし、保存も楽な、ダウンジャケットやスキーウェア」などが、重宝されているわけで、いくら、良い物でも、呉服などが伸び悩んでいるのは、その良い例だと思います。

そして、その最も顕著な例として、私の頭に浮かぶのが、大工道具のひとつ、「のこぎり」です。
かつて、私が学校たばかりの頃までは、大工の世界では、昔の武士と一緒で、職人たる者、名人作と呼ばれる道具を持ちたいと思い、それを持ったなら、大事に大事に使っていたように記憶しております。
中でも、のこぎりという物は、しばらく使って切れが悪くなったら、昼休みなどに、自分でヤスリを使って、のこぎりの刃を一本一本研いで切れを取り戻すものでした。
通称、「目立て」と呼ばれる作業です。
そして、ある程度、そうやって使い込んだのこぎりは、段々と刃先が揃わなくなったりすることから、専門の「のこ屋」というところに目立てに出し、そうやって、何年にも渡って、一本ののこぎりを使っていたものです。
ところが、今や、のこぎりは替え刃でカイロ同様、使い捨てが主流であり、のこぎりを研いでまで使う人は、おそらく、皆無でしょう。
20年ほど前までは、まだ、辛うじて、年配の研ぎ専門の職人さんが「のこ屋」として店を構えておりましたが、もう、今ではこの職業を探すことは不可能でしょうね。
絶滅危惧種ではなく、完全に絶滅したと思います。

そう言えば、私の祖父が工業高校(戦前は工業中学?)に行っていた時代の名簿を見ると、「建築科」などではなく、「大工科」と「指物(さしもの)科」でした。
指物とは、仏壇などの細かな細工をする職業です。
つまり、昔は、指物師という職業は、大工と並んで、一般的な職業だったということです。
ところが、戦後、核家族化が進み、仏壇を置く家庭が減り、さらには、今では細かな細工などは機械がやるようになりましたから、その業界の高年齢化を考え合わせると、こちらも今や絶滅危惧種でしょう。
私としては、寂しい限りですが・・・。

あ、ちなみに、今の大工は名人作どころか、カナヅチなども使いませんよ。
全部、インパクトドライバーです・・・。

「名品は 昭和と共に 遠くなり」 byへいた
                     平太独白

by heitaroh | 2005-12-28 17:37 | 社会全般 | Trackback | Comments(0)
<< 年末に薩英戦争と織田信長で嗤う... 若き日の矢沢永吉に思う草千里と... >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
ライフログ
最新のコメント
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:13
おっしゃるとおり、悪人と..
by sakanoueno-kumo at 13:53
> sakanoueno..
by heitaroh at 11:42
案外、美魔女妻に叱られて..
by sakanoueno-kumo at 21:20
> sakanoueno..
by heitaroh at 19:43
だけど、黒木華ちゃんって..
by sakanoueno-kumo at 10:59
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:21
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:06
今は昔と違って、チームの..
by sakanoueno-kumo at 15:42
中村メイコさんの前日に八..
by sakanoueno-kumo at 15:31
> sakanoueno..
by heitaroh at 15:33
いわゆる「危機管理」と「..
by sakanoueno-kumo at 11:39
> sakanoueno..
by heitaroh at 12:58
あけましておめでとうござ..
by sakanoueno-kumo at 17:36
> sakanoueno..
by heitaroh at 16:54
検索
タグ
(67)
(56)
(55)
(53)
(50)
(46)
(43)
(42)
(42)
(36)
(33)
(32)
(31)
(31)
(30)
(28)
(27)
(27)
(26)
(26)
(25)
(24)
(24)
(24)
(24)
(23)
(22)
(21)
(21)
(21)
(21)
(20)
(20)
(19)
(19)
(18)
(18)
(17)
(17)
(17)
(16)
(16)
(16)
(15)
(15)
(15)
(14)
(14)
(14)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(12)
(12)
(12)
(12)
(12)
(11)
(11)
(11)
(11)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(9)
(9)
(9)
(9)
(9)
カテゴリ
以前の記事
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
最新のトラックバック
フォロー中のブログ
ブログパーツ
  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧