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キング・オブ・キングス・・・「皇帝」!
親愛なるアッティクスへ

一般に広大な国土と多様な民族を抱える国は、民主制よりも独裁制の方が適していると言われます。
帝政ロシア然り、ソビエト連邦然り、アメリカ合衆国でも大統領制であり、古代ローマでも国土が広大になってからは、共和制から帝政へと移行しています。

先日、DVDで「キング・オブ・キングス」というナポレオンの生涯を描いた映画を見たのですが、その中でナポレオンが皇帝に即位するとき、マルコビッチ扮する宰相タレーランがナポレオンに向かって言う言葉があります。
「ひとつ問題がある。国王(王政)と皇帝(帝政)はどう違うか・・・だ。」
ナポレオンは、わずかに詰まった後、即座に、「皇帝は選挙によって選ばれる。古代ローマの皇帝がそうであったようにだ!」と答えました。

フランス革命の余韻くすぶる中とは言え、何とも画期的な・・・と言うよりもまさしく革命的なナポレオンの皇帝観だと思います。
これが、この後のフランスにおける「皇帝」と「国王」というものへの概念の違いとなっていったようで、実際、ナポレオン没落後、再度、フランス皇帝の座に着くナポレオンの甥、ナポレオン三世選挙を経て元首の地位についた後、クーデターによって皇帝になるという経緯を経ています。

これに限らず、彼ら欧米人の背景にはいつもギリシャ・ローマというものがあるようですが、このナポレオンの考えを導き出し、先例として周囲をも納得させた古代ローマの皇帝もまた、選挙で選ばれた訳ではないにしても元老院という議会があり、必ずしも専制君主だったわけではないようです。
(元老院で余りにも攻撃される初代皇帝アウグストゥスに対し、彼の家族が憤慨したところ、アウグストゥスは「彼らの攻撃が言論であるうちは我慢するしかない。言論に寄らなくなるとになる。」と言ったといいます。)
現代日本人の感覚から言うと、皇帝というよりはむしろ、「世襲される大統領制」といったところだったでしょうか・・・。

この点で、古代ローマとほぼ同時期に成立した古代中国皇帝というものは、乱立した「王」を力で平定した後に「王を凌ぐ存在」として制定されたもので、まさしく「王の中の王」、キング・オブ・キングスという意味であり、この点で、同じ皇帝と訳されていても西洋と東洋とでは、まるで概念が違うようです。

そう考えれば、近代の西洋社会における皇帝とは中国における皇帝よりも、ローマ教皇天皇という皇帝の権力を承認する超越的存在があったという意味では、むしろ、日本の征夷大将軍・・・つまり、「将軍」の方が感覚的には近かったのかもしれません。
            平太独白
by heitaroh | 2005-07-12 18:27 | 歴史 | Trackback(1) | Comments(0)
Tracked from 郎女迷々日録 at 2005-12-21 01:56
タイトル : アラゴルンは明治大帝か
毎日書くようになったのは、少しでも多くの方が見てくだされば、情報が入る可能性も皆無ではなくなる、という下心のようです。 ということで、今日は昨日の続きから。 あらましわかったようなことを書きましたが、実のところ、下の英語のサイト、モンブラン伯家に関する情報はわずかなんです。 http://users.pandora.be/enchantingcastles/ingelmunster.html In the middle of the 19th century, Charles Alb駻ic De...... more
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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