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空想 妄想 瞑想に迷走・・・
よくわからないまま、ちょっと、書いてみてくれと言われたので作ってみました。
PCを使った空想ものが対象だそうです。
覆水盆に返らず(笑)。

*************
ある日、パソコンのスイッチを入れると、画面の中にサエナイ坊主頭の子供が居た。
「何だ、おまえ、どこから来やがった。」
そういうと、その子供は少し口を尖らせて、
「おまえだよ。」という。
「何だ、俺か。」
こともなげにそう言って、「で、何の用だ。」と続けた。
「お前がどうしてるかと思って、見に来たんだよ。」
「どうもしてねーよ。おまえのままだよ。」
「おいおい、冗談だろ!ちったあ、これから、おまえになるこっちの身にもなれよ!」
「おまえに言われたくはねーよ。いいから、どけよ。今から、メール見るんだからよ。」
そういうと、無造作にマウスを動かした。
「あ、この野郎!」
メールソフトの画面が立ち上がると、そいつはその陰に隠れて、声しか聞こえなくなった。
「おい、俺の時から、30年も経ったんだぞ!おまえのそんな姿と現実を見せつけられる俺の身にもなれよ!」
「うるせーな。少し、静かにしろよ!折角、大事なメールが来てるんだから・・・。」
「おい!俺より大事なのかよ!」
「あたりめーだろ!あっち行けよ!」
「あったま来たぜ!」
子供はそういうと、画面の上の隙間から指だけ出して、Xを押した。
たちまち、メールソフトは姿を消し、その子供が現れた。
「あ!何すんだ、このガキ!折角、今、テレクラでしりあったおねーちゃんと・・・。」
「おまえ、そんなことやってんの?」
「あ、いや、それは・・・。って、関係ねーじゃねーか!」
「関係無いわけ無いだろう!」
「大体、おまえは何なんだよ!」
「おまえだよ。」
「・・・。」

今度は、子供の方から切り出した。
「で、何やってんの?」
「は?」
「仕事だよ、仕事!」
「べ、別に、普通に・・・。」
「普通に何だよ。まさか、普通にサラリーマンやってますなんか言うんじゃないだろうな・・・。俺たちの時代なら、サラリーマンが普通だったけど、今はそればっかりじゃなねーって事くらいしってるんだからな。当然、『フリーのライターやってます』くらい言うんだよなー。」
「・・・。」
「普通のサラリーマンかい!」
「悪いのかよ!」
「別に・・・。幼稚園の時の夢は「博士」で、小学校の時の夢が「プロ野球選手」だったんだろ。で、中学生のときが・・・。」
「いーじゃねーか!俺の生活に干渉すんなよ!おめーだって、心の中では、そんなもんになれねーってことくらいわかってたじゃねーか。」
「ま、それもそうだな。」
子供は一転、画面の中で肩をすくめると、そのまま、続けた。

「で、どうよ。」
「何が・・・?」
「会社よ。いってんだろ?いい年なんだから、課長くらいやってんでしょ。」
「係長だよ!・・・って、おまえに言われたくねーよ。」
子供はちょっと、後ずさりすると、そこへ腰を下ろし、そのまま、寝そべると、片手で頭につっかえ棒した姿勢で話を続けた。

「で、どうよ。」
「だから、係長だって言ってんじゃねーか。」
「違うよ。会社の中での立場はどうだって、言ってんだよ。」
「・・・。」
「さえねーみてーだな。で、結婚は?してるんだよな?」
「・・・。」
「してねーのかよ!いい年こいて・・・。」
「したよ!・・・、っつうか、してたよ・・・。」
「別れたのか!」
「何で、おまえにそこまで言われなきゃならねーんだ!」
「おまえだからだよ。」
「・・・。」

また、しばらく、間があって、今度はこちらから切り出した。
「もう、いいだろう。こっちは、今から、明日のデータ作らなきゃならねーんだからよ、もう、どけよ。」
子供は、ゆっくりと起きあがった。
「そうだな。おめーにはおめーの今の生活があるしな。」
「だから、おっさんみてーなこと言うんじゃねーよ。大体、おまえは何なんだよ!」
「おまえだよ。」
「・・・。」

そういうと、子供はくるっと、きびすを返して歩き始めた。
でも、俺にはわかっていた。
こいつは、立ち止まって何か言うと。すんなり帰らないんだと。
だって、俺がいつも、そうしていたから。
子供は、足を止めると、そのままの姿勢で振り返らずに、「ああそうそう、ひとつだけ、聞いておきたかったことがあったんだ・・・。」
(いつも、殴られてばかりいた親父のことか・・・。俺もちったあ、可愛いところがあるよな・・・。)
そう思っていると、子供は、
「1999年に人類は滅亡したのか?」と聞いてきた。
(ノストラダムスの大予言かい!・・・。)
思わず突っ込みそうになったが、それを抑え、
「してねーよ。な~んにも無かったよ。」となぜか、優しい口調で言った。
「本当にしてねーのか?」
「ああ、してねーよ。」
「そうか・・・。おまえらは、1999年におだぶつになってしまってるのに、それに気づいていないだけじゃないのか?」
それだけ言うと、こちらの返事を聞くことなく、子供は画面の中に消えていった。
「おい、また、来いよ。」
そう呟くと、遠くから、
「もう、来ねーよ。」と微かに聞こえた。

子供がいなくなってから、しばらく、私は真っ暗な画面を眺めていた。
スクリーンセーバーが動き始めた。
「1999年に人類は滅亡していて・・・、気づいてないだけか・・・。」
画面から目をそらすと、「かもな。」とだけ呟いていた・・・。
*************

あー、あくまで、空想物ですから・・・。
モデルは私ではありませんよ(笑)。
サラリーマンじゃないですしw。
     ・・・・・・平太独白

by heitaroh | 2005-06-24 18:12 | 私小説 | Trackback(1) | Comments(2)
Tracked from またもや苦情ですか?ジン.. at 2005-07-21 20:44
タイトル : まるでBookends のように
Simon&Garfunkel に Bookends というアルバムがあります。時間は無邪気に、けれどもしっかりと確実に、そして誰にでも、降り注ぎます。Amerika を見つけに旅立ったふたりは Amerika を見つけることができたのでしょうか。それともつかみ損ねたのでしょうか。 公園のベンチにふたり…。風に吹かれた Newspaper が足元にまとわりついて、飛んでいきます。(Bookends の)Book のあるべき場所をすきま風が吹き抜けていきます…。けれども old friends にはい...... more
Commented by りつ at 2006-03-23 17:38 x
mixiで第二弾も拝読しましたが、私はこちらがとっても好き。
シリーズ化をリクエストしたいです。

Commented by へいたらう at 2006-03-23 17:38 x
>りつさん

これを聞く前に第二弾も載せてしまいました・・・トホホ
理由は第二弾に書いてますが、パソコンのやりすぎで眼精疲労著しく、専用メガネが届くまでは手抜きせざるを得ないのです・・・(涙!)。
ご理解のほど、よろしくお願いします。
Posted by へいたらう at 2005年06月26日 22:48
あはははっ。第二弾も素敵ですよ。
笑い事じゃありませんね、お大事に。
Posted by りつ at 2005年06月27日 20:15
>りつさん

コメント有り難う御座います!
第三弾は長いので、こちらには載せないつもりです。
よろしければ、mixi日記で・・・。
<< 私小説「昭和33年の10円玉、... アジアには王様が必要 >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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