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江藤新平の蹉跌にみる論理と力のパラドックス
親愛なるアッティクスへ

江藤新平の蹉跌にみる論理と力のパラドックス_e0027240_1710895.jpg九州データブックというのが本屋にあったので、つい買ってしまいました。
笑ってしまったのが県民性の欄で、福岡県は「真実曲げても面白ければそれでいい」と書いてありました(笑!)。
マジですよ。
ちなみに佐賀県は、「普段の生活を切り詰めて、お金や財産を残したい。」が全国で二番目に多かったそうです。て言うか、あの佐賀が二番目って、一位はどこ???

で、先日、友人の秋田在住横浜人が来たので、その佐賀まで観光に行ってきました。

吉野ヶ里遺跡から大隈重信記念館へ行き、その後、佐賀城に行ったところ、佐賀城では、中に入ると、ボランティアのガイドとして初老の方がおられ、色々と説明を受けるうち、私が「江藤新平が打ち首になったところはどの辺りだったんですか?」と聞くと、その方は、「あの城門の前のNHKの辺りですよ」と懇切に教えてくださいました。
帰途、城門を出て、江藤新平が斬首されたという辺りを横目に見て、駐車場に向かっていると、私にはある感慨が湧いてきました。
それは、他ならぬ、その江藤新平という人物についてです。

江藤新平とは、明治初期の佐賀藩出身の政治家で、明治日本の法律関係を殆ど一人で整備したと言われている人ですが、江藤は自分が作っただけに、「法律」というものを誰よりも知悉していたわけで、それだけに、最大の政敵、大久保利通に対してさえも「大久保は(自分から見れば)子供よ!」と言い放ったといいます。
ところが、実際には揺籃期にあった明治政府は、まだまだ、法律よりも特定の個人の意向が反映される部分が大きく、絶大なる権限を握る大久保は、開戦挑発の後、反乱の口実を得るや、自ら軍隊を率いて乗り込み、力でもって佐賀の乱を鎮圧し、「たとえ、罪人でも法廷で裁かれるはずだ!」と主張する江藤をお構いなしにさらし首にしてしまいました。
これが、江藤と大久保という論理のパラドックスの結果です。
論理の上で正しい江藤が逆に「子供のような」結果になってしまったわけです。
でも、こういうことというのは、往々にしてあることなんですよね。
完璧に理論武装していても、相手の強大な力によって押しつぶされてしまうということが・・・。

これらの話は、少々、法治国家を過信している現代の日本人には、まさしく警鐘なのではと思えてならないのですが、如何でしょうか?

      ・・・・平太独白
by heitaroh | 2005-06-14 18:03 | 歴史 | Trackback | Comments(4)
Commented by tokkey_0524zet at 2006-02-03 09:20
 大久保利通は江藤の梟首の写真を部屋に飾って眺め暮らして悦に入っていたと言いますが、本当でしょうか^^;。
 この時河井継之助の嘆願書を一蹴した〝アノ〟岩村精一郎が大久保の命で佐賀県権令に任命されていて、江藤達を挑発する為に赴任したそうでその居丈高な人柄が大久保からすれば最適だったんでしょうね。
 政治家としては大久保の方が江藤より何倍も「大人」だったと思います。
Commented by heitaroh at 2006-02-03 17:54
> tokkey_0524zetさん

えーーー!
大久保に限って、そんな、かつての政敵の首の写真を眺めて、悦にいるなんてことはないと思いますよー。

岩村精一郞は、まさしく、こういうときには、適役だったんですね(笑)。
嫌なやつかもしれませんが、何とかとはさみは使いようで、こういったところにも、大久保の適材適所というか、人材配置の妙がみてとれるような気がします。

まあ、結果的には、江藤の方が「子供」みたいな無様な結果になりましたが、とは言え、江藤ももとより、それなりの人物ですから、結果論的なところがあるのではないでしょうか・・・。
Commented by PP at 2018-05-25 00:31 x
虎の門ニュースで青山繁晴さんが幕末の志士で自己顕示欲
が強すぎて国家万民のためよりも自分の野望のために
失敗した嫌われ者と言ってた人は江藤新平さんだったんだね。
いままでずっと気になって、それに該当する志士を探していた
けどやっとわかった。NHKドラマの「翔ぶが如く」で
そのように描かれていた。
Commented by heitaroh at 2018-05-26 19:48
>PPさん

遅くなりました。
果たして、江藤新平がどれだけ私心で動いていたかはわかりませんが、彼の優秀さというものは疑いようも無く、藩政時代に不遇にあったことの反動もあいまって、野望、野心というものが人一倍だったことはあり得る話でしょうね。
ただ、青山氏が何をもってそう言っておられるかわかりませんが、意外に佐賀では人気があるようです。
<< 外務省が外務省であることの弊害 最後の将軍、德川慶喜と女たちに... >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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