親愛なるアッティクスへ
昨今、人民元の切り上げが話題になってますよね。
実際には、もう、切り上げは既定の事実となっているのかもしれませんが、私もかねがね、人民元は安すぎる・・・、それも、中国は、人為的にそう誘導しているのでは・・・という想いがありました。
で、数年前、香港に行った折りに、香港駐在の人と話をしていて、少々、思い当たることがありました。
中国が目指しているもの、それは
中華思想に根ざした中国史を貫く、「強い中国」への
朝貢貿易外交と言う図式なのではないでしょうか?
朝貢貿易・・・即ち、中国の諸王朝が採ってきた「周辺諸国は
貢ぎ物を中国に持って行き、中国はその従順な態度を良しとして、それ以上に値する文物を与える・・・」という形での
貿易です。
ところが、今、現実に世界が朝貢を求めているのはアメリカの
ドルであり、世界ならばまだしも
アジア諸国でさえ、ドルの次に欲しがっているのは、アジアのリーダーになろうなどという意識などさらさら持っていない日本の
円なわけです。
中国にとっては、人民元の地位が高まってきたとは言え、こういった朝貢貿易を当たり前のように繰り返してきた中国人の意識としては、
強い人民元の存在こそ、本来、望むところであり、肩を並べるような通貨など、存在すら容認できないのではないでしょうか・・・。
人民元がアジアの
覇者の地位を
日本円から
奪回する為には、人民元を安く据え置き、次々と安価な人件費を提供し続け、諸外国・・・特に地理的に近い、日本などの製造業を大量に引き付けておいて、一転、人民元切り上げに転じる・・・というのは、いくら何でも、ちょっと、飛躍しすぎでしょうか?
日本企業は、
バブルのときも、皆、財テクは
危険だとわかっていながら、
本業の
不振をカバーする為に、猫も杓子も・・・だったわけじゃないですか・・・。
現在も多くの製造業が、リスクが大きいことはわかっているにも関わらず、競争力を保つためには中国に出て行かざるを得ない。
それだけに、中国としては、アメリカに今、せっつかれるのは迷惑な話で、お腹が一杯にさえなれば、中国は言われなくとも元安政策をかなぐり捨て、元高に切り替えるのではないでしょうか?
まあ、現実にこうなるとは考えにくい面もまだまだ多いかとは思いますが、これも一つのモノの見方として御笑覧ください。
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