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黒澤明の最高傑作「七人の侍」 続編
昨日の続きです。

「七人の侍」では、決戦前夜の木村功津島恵子のラブシーンも印象的でしたネ。
私は、あれを見てフランスミッテラン元大統領を思い出しました。
ミッテランとその夫人は、第二次大戦中、共にナチス・ドイツに対するレジスタンスとして戦っていたそうで、知り合って一週間結婚したそうです。そのことについて、「何故、そんなに早く結婚を決めたの?」とインタビューされた夫人は、「だって、お互い、明日生きているかどうかもわからないんですもの・・・」と答えていました。
これこそが男女が結ばれるときの姿の原型のような気がします。

でも、その名匠、黒澤明にも「らしからぬ」ところが2カ所。
一つめは雨の中、火縄銃をむき出しで持ってきて、「家の中からなら撃てる」というのはないと思います。
あの時代までは、湿気があっただけで、火縄に点火できなかったと言いますから、仮に油紙に包んで運んだとしても、あの豪雨の中では役にたたなかったのでは・・・。
二つめは、ラストのほうで宮口精二扮する久蔵が撃たれ、その敵を倒そうと、すぐに三船敏郎扮する菊千代が飛び込んでまた撃たれる。
あの時代に、あの短時間で連射はないですよ(苦笑)。

当時の鉄砲では、一発撃ったら、どんな熟練者でも、 三船敏郎が飛び込むまでには二発目を準備できないはず。
ましてや、一発発射すれば、敵が飛び込んでくると言うことは、むしろ飛び込まれる方がはっきりと認識することであって、そんな焦りまくった状態の中で、筒掃除して、火薬詰めて、弾込めて・・・の連射。
まあ、その時間を短縮できるようなセット商品があったとは言いますが、それを使ったとしてもちょっと・・・。
もっとも、野武士が当時の最新兵器の火縄銃を持っているというのは、何となく現代でも、その気になれば、暴力団のほうが、警察よりいい兵器を持てたりするのと似ているような・・・。

又、建設現場上がりである私としては、あの作品に出てくる、幾多の戦場をくぐり抜けた志村喬らのベテラン侍たちの仕事ぶりを見ていると、上棟式のときのベテラン大工たちの姿そのものに思えました。
何も言わないでもわかるし、言わなくてもすでに誰かがとりかかっている。
皆、長年の共通の体験があり、暗黙の慣習があり、いつものように、手慣れた手つきで眈々と段取りを進めるだけというもの。
あそこに出てくる侍たちは、戦後のあの時代にたくさんいた職人という人種たちなんですね・・・。
                             平太独白

by heitaroh | 2005-06-10 19:47 | 文学芸術 | Trackback | Comments(2)
Commented by ジンマーマン at 2006-03-23 18:01 x
映画「スピード」で「異常な状況下で芽生えた恋は長続きしない…」旨のセリフがあり、スウェーデンシンドロームを思わせるような心理学が開陳されるのですが、その後のミッテラン夫妻は長続きしているのですね(笑)。「七人の侍」については演出や効果におけるこぼれ話しか知りません…。墨汁の雨を降らせたり、ズバッというような効果音を入れたり…。でも、ハリウッド映画には多大の影響を与えたんですよねぇ。オリジナリティーというものに含まれる普遍性といったものを感じます。
Commented by へいたらう at 2006-03-23 18:02 x
>ジンマーマンさん

コメント有り難うございます!
ミッテランは隠し子が発覚でインタビューされたとき、「隠し子?いるよ。」で終わったという・・・(笑)。
まあ、古き良き世代ですよね。
今だったら、キアヌ・リーブスなのかもしれません(爆!)

確かに、水泳などの男女混合スポーツでは、遠征や合宿に行くと素敵に見えて、恋が芽生えるけど、帰ってきたら、魔法がとけちゃう・・・って話を聞いたことがあります。
つまるところ、夫婦和合の秘密は下界との接触を断つことでしょうか?(笑)。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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