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昭和29年公開の映画「エジプト人」に人間臭さと原型を見る
気がつけば、いつの間にやら、3月が始まってましたね。
もう、正月などは随分前の事のように感じられます。
この辺りが歳をとったということなんでしょうか。
歳をとったといえば、先日、以前から撮り溜めしていた昭和29年(1954年)公開の映画、「エジプト人」というのを見ました。

昭和29年公開の映画「エジプト人」に人間臭さと原型を見る_e0027240_1442158.jpgまあ、エジプト人と言いながら、1965年公開の映画、「ジンギス・カン」同様、アメリカ映画らしく、登場人物がすべて白人ばかりなのはご愛嬌だったでしょうか(笑)。

おそらく、当時もB級映画だったのだろうと思いますが、ただ、意外に、時代考証は割合しっかりしており、当時からすでにホルエムヘブアメンヘテプ4世などの事跡や、深刻な宗教対立や権力闘争などがこれほどまでに特定されていたというのは少し意外な観がありました。

物語は老いた主人公が僻地で自らの人生をふりかえるという形で始まるのですが、主人公は、孤児として生まれながらも、医師である養父に拾われ、医師を志し、高い教養を見につけながらも、一転、女に溺れて転落し、その後、失恋、破産、放浪、殺人、別離と、まあ、そこだけ見れば、一通りのことはやってるじゃん・・・と(笑)。
何となく、この年になってくると、人間臭くて親近感(?)を持ってしまったのですが、それとは別に、時代を考えれば、この映画、意外に元祖・・・とまでは言いませんが、色々なものの原型のようなものが散見されるんですよ。

まず、とかく、この手のストーリーにはお決まりの観がある「実は前国王の息子だった」・・・みたいなオチ。
当時の日本の時代劇全盛時代の映画にも、とかくありましたよね。
それから、女の色香に狂ったあげく、破産して、各地を放浪する際には、それまでと人が違ったように、金持ちしか診療しないという、金の亡者みたいになってしまう・・・というところは尾崎紅葉「金色夜叉」よろしく・・・でしょうか。
(もっとも、こちらは尾崎紅葉の方が先でしょうが(笑)。)
でもって、一番、注目したのは、この主人公の生い立ちの部分。

漁師結びされた葦船に乗せられ、川に流されてきた孤児を医師が拾い養育する・・・というくだり。
手塚治虫原作の名作「どろろ」の主人公、百鬼丸の生い立ちとまったく一緒じゃないですか。
おそらく、手塚はこの映画を見ていたんじゃないですか?
あるいは、小説を読んだのかもしれませんが、原作の刊行は昭和20年だそうで、翻訳されたのは昭和30年台に入ってからと聞いてますから、であれば、おそらく手塚は当時はもう既に超売れっ子ですから、ゆっくり読書などしている暇はなかったように思えるんですけどね。

親愛なるアッティクスへ
                                         平太独白
by heitaroh | 2013-03-02 07:36 | 文学芸術 | Trackback | Comments(0)
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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