昨日の続きです。
アベノミクスは、ご承知の通り、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の3つを基本方針としてますが、具体的には、2%のインフレ目標、円高是正と並んで、日本銀行の買いオペレーションによる建設国債引き取りと、そして、国土強靱化の為と称する大規模な公共投資が挙げられてましたよね。
日銀の建設国債引き取りは、効果があるのか無いのか以前に、かなり禁じ手のような気がしておりますので、今回限りとなることを祈るばかりですが、問題はその先にある公共事業です。
これは東日本大震災の災害復興や、山梨県の中央自動車道、笹子トンネルなどのようなメンテナンスに向かうのであれば致し方無いと思いますが、景気回復の為の手段と考えているのであれば、残念ながらその効果は薄いと言わざるを得ません。
まず、昨日も申しましたように、かつて、自民党政権は「自分の任期中だけの景気回復」を狙い、住宅も含めた箱物の建築を推進して来ましたが、これは一つには建設業界という物は驚くほどに裾野が広いということがあり、その為、建物が一軒建つと
ゼネコンなどの元請けは元より、
電気、設備、ガス、土木、鉄筋、建具、大工、左官とこれに関わる職種が多く、さらに必要によってはそれらの下に二次、三次下請けさえも存在し、それらが、それぞれに部品や材料を買うことを考えれば
建材屋や
メーカーも潤うわけです。
そればかりか、新しく住宅を建てた人は「せっかく新しい家に入るんだから、合わせて家電も買い換えよう」となることから、景気の拡大にダイレクトに役だっていたわけですね。
確かに、昭和40年代の
高度成長期まではそれで良かったんでしょう。
しかし、その後、
プラザ合意後の
円高により構図が大きく違って来ました。
今は、新しく新築工事を請けて、
ベニヤ板を発注しても、それが作られているのは中国で、原産地は東南アジアだったりします。
さらに言えば、工事現場で働いている作業員でさえも
外国人だったりするわけで、テレビもかつては
ソニーか
東芝か
日立か
松下だったのが、(
GEや
フィリップスなんて見たことなかったですよね。)今は、普通に、
サムソンだったりします。
つまり、かつては流した金は大半が国内で還流してたのが、今はそうではないわけで、言うならば、底に穴があいたバケツに水を注いでいるようなものだと思います。
従って、老朽化対策など必要な所に必要な工事を行うということはやむを得ないとしても、景気刺激策としては考えるのは適当ではない・・・と。
一応、
安倍晋三首相はそうではないと言っておられますので、そうであって欲しいと願ってやまない次第ではありますが・・・。
親愛なるアッティクスへ
平太独白