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龍馬の命日に見る「まず、イデオロギー有りき」
親愛なるアッティクスへ

龍馬の命日に見る「まず、イデオロギー有りき」_e0027240_21174528.jpg明日、十一月十五日は、幕末の英雄、坂本龍馬暗殺された日ですね。
最近では、龍馬暗殺犯は薩摩説が主流になりつつあるようですが(私も西郷主犯説をとりますね。比較的、龍馬とは疎遠だったと言われる大久保利通の一存による「西郷了解無し説」もありますが、少なくとも、これはあり得無いと思います。)、この事件については、もう一人、共に襲撃にあい、翌々日、絶命した陸援隊隊長、中岡慎太郎の存在があります。

その中岡という人物についてですが、彼はあの武張った写真で知られてますが、もう一枚、笑顔の写真があることは意外に知られていないようです。

武張った方の写真は、当時の人間の写真という物に対する意識からすると、ごく一般的な映り方なのですが、笑顔の方は、よく、当時の写真技術で、こんな屈託無く笑っているような写真が撮れたな・・・と思います。

龍馬の命日に見る「まず、イデオロギー有りき」_e0027240_1062724.jpgその上で、この二枚を見比べると、中岡という人は、思わず、どこかの大学の体育会にいそうな顔にみえてしまいました。
おそらく、結構、そういう人だったんではないでしょうか・・・。
熱血漢で、大酒飲みで、後輩の面倒見が良く先輩は立てる・・・。

で、坂本龍馬で思い出したのですが、16歳の時に、司馬遼太郞さんの代表作「龍馬が行く」を読んで、(以来、しばらく司馬作品にはまり、乱読の限りを尽くしましたが・・・。)大変、印象に残ったことがありました。
そこに出てくる登場人物たちは、皆、自分のというものを、まるで、ポケットから落ちたティッシュペーパーくらいにしか思ってない。
そして、それ以上に理解に苦しんだのが、多くの人、それも教養人ほど、イデオロギーというものに、おそろしく従順だった・・・ということです。

いくら、奸計であるとわかっていても、「朝命である!」と言われれば、あっさりと従うし、切れと言われれば腹も切る。
これが、16歳の私には、どうにも、不思議でなりませんでした。
ただ、この時代に、薩摩のみは「朝命」を受けながらも、「『それは扇動者の仕業であり、本当に天皇の命令であるとは思えないから従わない』といって、これを拒否した」ということが、書いてありました。
私には、この薩摩の行動こそが、ごく普通の考えのように見えましたが、司馬さんは、このあまりに周囲の反応との違いに、「際だって異質に見えた・・・。」というふうに書いておられたと記憶しております。

まあ、こういう、その時代の空気というのは、本当にその時代に生きた人間にしかわからないんでしょうね。
今でも、事象が起きたら、まず、物事を見極めるより先に、安易にかのイデオロギーに鑑みて、意見を述べる人が多いように思えます。
私などは、事象を見て、右か左か決めればいいのに・・・と思いますが。
特に、私のようなオヤジよりは、むしろ、頭の柔らかいはずの若い方に、そういう傾向が高いように感じます。

そういえば、若き日の西郷隆盛に対して、その主君であると同時にでもあった島津斉彬は、京・江戸で諸藩の士と交わる中で、とかく、西郷が「勤王」や「攘夷」などといった「まずイデオロギー有りき」に陶酔しようとする姿を憂慮し、度々、注意したが、西郷はなかなか、これを聞き入れず、時には激論が交わされた・・・という話を聞いたことがあります。
若さとは、むしろ、己が未熟さを補う意味で、イデオロギーというものに安心感を求めるものなのかもしれません。
(この点ではまさしく、明日は我が身ならぬ、昨日は我が身かと・・・(笑)。)
西郷さんも、島流しにされず、あのまま、都会の喧噪の中に浸かったままだと、後の大西郷はなかったのかな・・・とも思いますが、如何でしょうか・・・。
                                      平太独白
by heitaroh | 2005-11-14 00:32 | 歴史 | Trackback(1) | Comments(6)
Tracked from 郎女迷々日録 at 2005-12-21 01:54
タイトル : 志士たちへ花束
昨日の続きです。 お墓参りといえば、桐野利秋のお墓には、もちろんお参りしました。鹿児島の南洲墓地です。 ここは、話に聞いていた通り、すばらしいところでした。小高い丘で、錦江湾と噴煙をあげる桜島が見渡せるのです。  我が胸の燃ゆる想いに比ぶれば煙は薄し桜島山 と、思わず平野国臣になりました。いえ、晴れ晴れとしていて、それでいて情趣があって、かかえていった百合の花束が、ぴったりと似合いました。入り口近くに、ちゃんと花屋さんもあるんです。 それに、さすがに桐野です。熱心なファンがいるようで、それもおそら...... more
Commented by ジンマーマン at 2005-11-13 22:33 x
絶対神を持たなくたって二項対立には脆弱なんですね、ホモサピエンス(笑)。若いイデオローグは「反・反」で簡単に表返ってしまいますしね(笑)。本当に、この笑顔はイイですね。露出時間が長かったはずの当時で、ホントにどうやって撮ったのでしょう。不思議です。
Commented by heitaroh at 2005-11-14 09:48
> ジンマーマン さん

そうなんですよね。
東西冷戦の時代に限らず、西洋世界では宗教というイデオロギーがあったにも関わらず、事、国家というレベルで見たときには、イデオロギーというものはタテマエで、実際に動いてきた軌跡だけを純粋に見つめたとき、そこにあるのは、すべて、「国益」なんですよね。
兵どもが夢の跡になって初めて、老兵は自分たちが行ってきた事が隣国を太らせただけの、何の意味も持たないことだったと知る・・・。
イデオロギーに酔ってしまうことの恐ろしさでしょうか。

ところで、この笑顔、今のスナップ写真に近いようなこんな物、しばらく動いちゃいけないような当時のカメラで、どうやって撮影したんでしょうか?
どうみても、作り笑顔じゃないですよね。
Commented by windowhead at 2005-11-15 11:06
ウエストコースト日日抄です。TB、コメントありがとう。

中岡の笑顔写真は近代を感じますね。このころになると、写真も首枷のようなもので支える必要はなくなっているのでは?というのも、長崎には上野彦馬が撮影した集合写真がたくさんありますが、たくさんの人が同じ画面にブレも少なく写っています。全部に首あてをしたはずもなく、案外写真技術は進んでいたのだとおもっています。

さて、イデオロギー。 イデオロギーとは、お題目のようなものだと思うのですが、なぜかお経より進歩的でかっこいい!ということでいまも昔も若者をひきつけるのでしょうか。幕末史についていえば、いまだに、イデオロギーのあるなし(幕府側だってなかったわけではないのだが)で知性の高さを問うような書き方をする作家や歴史家、ビジネス評論家がいるのは情けないです。100年以上も歴史をとらえる視点が変わっていない大人が多いのは困ったものです。
Commented by heitaroh at 2005-11-15 14:00
>windowheadさん

ウエストコースト日日抄さんの方がよかったですかね。
ともあれ、コメント有り難うございました。

写真の方は、仮に首あてをしてもしなくても、笑顔というものを持続させることは難しいんですよ。
どこか、作り笑いになってしまう。
しかし、この写真は、まさしく、現代のスナップ写真の域・・・、つまり、何かの拍子に笑ったところを写した感じがするんです。
ある意味、昭和に入って、何らかの手が加えられたかのような気さえします。

イデオロギーに関しては、まったくもって、仰るとおりです。
特に学生運動世代のおじさんたちは、イデオロギーというものを失うのが怖いんだと思います。
お題目のはずのイデオロギーも、そこに居場所を見つけた人にとっては、信じ込む・・・、信じ込みたい物であり、思えば、学生運動というものも、多くがそういうものだったのでしょう。
ついでに言うならば、長州にはイデオロギーはあったかもしれませんが、薩摩にはイデオロギーはなかったように思います・・・。
Commented by sakanoueno-kumo at 2010-02-13 23:55
TBありがとうございます。
私も西郷主犯説だと思っています。

司馬さんは、特に薩摩人に対して特別な観点を持っていますが、その分析は結構当たっていると私は思っています。
私の両親は鹿児島出身で、それも結構な御家柄なんです。子どもの頃から親に躾けられてきたこと、価値観などが、その後読んだ「翔ぶが如く」などの中で、司馬さんが語られてた「薩摩人」の姿そのものだったことに驚かされました。私自身は関西生まれの関西育ちですが、そんな親に育てられているので、この時代の薩摩人の行動も何となく共感できる次第です。

ただ、親戚中では龍馬暗殺の薩摩黒幕説はタブーでした(笑)。
Commented by heitaroh at 2010-02-15 15:15
<sakanoueno-kumoさん

あまりにたくさん、TBしてしまって申し訳ありませんでした。
少し節操がなかったかな・・と(笑)。

ちなみに、司馬さんは、生前、「自分の人生の色々な転換期に不思議に薩摩人と出会った」・・・ということを言っておられましたが、そのうちの一人である、司馬さんの飛躍のきっかけを作った海音寺潮五郎氏は、「翔ぶが如く」を呼んだ後、「司馬君でもまだ西郷を描き切れていない」と言ったといいます(笑)。
外から見る薩摩人は内から見る薩摩人から言わせれば、まだまだ、わかってないということなんでしょう。

お宅は、薩摩の結構な家柄のご出身でしたか。
であれば、世が世ならば・・・ってとこですね。
当然、ご自宅の床の間には「敬天愛人」の書が飾ってあったとか・・・(笑)。
<< アスベスト被害に見る人間があら... A級戦犯有罪判決の日に思う日本... >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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