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続・坂本龍馬暗殺犯異論 真犯人は誰か?
親愛なるアッティクスへ

前回、坂本龍馬暗殺事件の実行犯について触れましたが、では、気になる黒幕は・・・となると、ここでも薩摩説、長州説からグラバー説、勝海舟説まで色々あるようで、最近では実行犯である京都見廻組の上部組織である会津藩説が定説となりつつあるようです。
この点は、私も「史実とは案外に面白味に欠けるもの」という考えから、肯首するに何らやぶさかではないのですが、ただ、最近、以前は歯牙にもかけなかったある説が妙に気にかかっています。

後の三菱グループの創始者・岩崎弥太郎は坂本とは同郷でありながら殆ど面識はなかったようで、当初は立場の違いから反目しあったものの、やがて、杯を傾け、腹蔵なく語り合うことで互いを認めるに至ったそうですが、私が気になるのが、岩崎が、最後に坂本が上京していく船を見送った際に、「余、不覚にも数更の涙を流す」と日記にしたためていることです。
これはまるで、その後の坂本の運命を知っていたかのような記述で、事実、これが両者の永遠の別離となったわけですし、さらに、岩崎はその少し後に藩の出先機関の運営方針を巡って上司と揉め長崎を出奔し、京坂にいた土佐藩の事実上の宰相的地位にあった後藤象二郎を訪ねた際にも上方にいるはずの坂本をまったく訪ねていません。

また、坂本の潜伏先である近江屋は土佐藩邸にも近く、近所にも知人が多く住んでいたのに、それが事件当日に限って、坂本は土佐藩邸と近所の知人を訪ねるも、すべて不在であった・・・と。
やむなく近江屋に戻ってきたところへ、盟友・中岡慎太郎が訪ねてきて、凶行に巻き込まれるわけですが、実はこの部屋には直前までもう一人、土佐藩の内偵を専門とする下級役人・岡本健三郎もいたそうで、岡本は二人としばらく話をした後、襲撃の直前に退出し、難を逃れています。
これら、当日の動きをすべて偶然で片付けるにはあまりにも状況証拠が揃いすぎているように思えるんですよ。
つまり、土佐藩と後藤は何らかの理由で坂本が狙われやすい状況を作り出していた・・・と。
それも、その日一日だけ「特に・・・」です。

ただ、私が以前から後藤説に否定的だったのは、後藤ほどの者が「坂本を殺すリスクとそれによって得られるリターンとを勘案出来ないはずはない」・・・ということで、この点は私にはどうにも腑に落ちない部分です。
つまり、状況証拠は揃っているが動機がない・・・と。
あるいは、後藤は坂本暗殺への協力を求められた際に、坂本を人身御供に差し出すことにそれほど抵抗もなかったので、協力してやった・・・という見方をするのが適当なのでしょうか。
                                         平太独白

by heitaroh | 2012-02-10 07:54 | 歴史 | Trackback | Comments(2)
Commented by sakanoueno-kumo at 2012-02-13 15:56
「余、不覚にも数更の涙を流す」という日記の一文は知ってましたが、なるほど考えようによってはそうともとれますね。

動機は、「いろは丸事件」によって海援隊が得た7万両の賠償金を、後藤と岩崎でポッケナイナイするためだった、という推理がありますよね。
実際に7万両は一時土佐商会が預かっていたようですが、その後の行方がハッキリしないようです。
本来であれば、7万両のうちの船の損害金はオーナーである大洲藩に支払われるべきでしたが、実際に支払われた形跡がないそうで・・・。

龍馬の死によって求心力を失った海援隊は解散を余儀なくされ、その事業と資産は後藤と岩崎に引き継がれ、やがては九十九商会に繋がっていきますが、のちに岩崎は、明治政府が信用のなくなった藩札をすべて買い上げるという後藤からのインサイダー情報によって、10万両で藩札を安く買い漁ってボロ儲けしますよね。
この資金の出処がこの賠償金だったんじゃないかと・・・。
誰が最も得をしたか・・・という観点からの推理ですね。
多少うがち過ぎな気がしないでもないですが、まったく否定もできないように思います。
Commented by heitaroh at 2012-02-14 12:06
<sakanoueno-kumoさん

なるほど!
動機というのは、必ずしも表に出ている物ばかりではない・・・ということが考えられますよね。

ただ、賠償金の件については、後藤にその意思があったとしても、岩崎がそこに絡ませてもらうのは少し不自然な気もします。
後に縁戚になるとはいえ、この時点では他人の二人・・・ですから、後藤からすれば、坂本を切り捨てるのであれば、岩崎も便利使いに切り捨てておかしくないわけで・・・。
まあ、その後、散々、岩崎の資金調達能力を財布代わりに散々使った後藤ですから、まだまだ、利用できる存在だと認識していたというのはわからないでもないんですが・・・。
その意味では、幕末の混乱期、後藤が武器調達に狂奔していたことを考えれば、私は賠償金は武器調達費用に充てられたと思いますけどね。

ちなみに、岩崎の述懐に対する感慨は、まったく私の勘なのですが、結構、私には昔から、そういう理屈にはならない勘のような物がありまして・・・。
その勘ついでに言わせていただくと、私には坂本暗殺は後藤ら少数の考えではなく、土佐藩全体が共有していたものだったように思えてならないんですよ。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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