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大河ドラマ「平清盛」の画面は汚いのか?
親愛なるアッティクスへ

大河ドラマ「平清盛」の画面は汚いのか?_e0027240_15281678.jpg今年の大河ドラマ「平清盛」のスタートが低視聴率に終わったことを受けて、兵庫県知事が記者会見で「画面が汚くチャンネルを回す気にならない」と言ったそうですね。
私は、知事がこういう、「観光客さえ増えれば良い」的な、本音があからさまに出たようなことを言うのも如何なものかと思いますが、ただ・・・、どういうわけか・・・、今回の大河ドラマは最近の大河にありがちな「女性への露骨なウケ狙い」のような物が無いにも関わらず・・・、実は、私も結構、早送りで見てしまっています。

もっとも、それが画面の汚さから来ているのかどうかは自分でもよくわからないのですが、ただ、この番組は概ね、吉川英治原作の「新・平家物語」を踏襲したもののようですよね。
この点では、やはり、一昨年の龍馬伝がそうだったように、原作は別途、書き下ろしたほうが良かったんじゃないの・・・という気がしています。
なぜなら、吉川翁が筆を執られたのは終戦から間もない昭和25年(1950年)のことでして・・・。
やはり、少し無理があるんじゃないですか?

それを端的に表すのが、先日も採り上げました昭和30年(1955年)公開の市川雷蔵主演、溝口健二監督の「新・平家物語」です。
この作品でも同様に市の雑踏の風景を描いてましたが、こちらは戦後10年の時点でのそれですから、ある意味、そこにあったのは形こそ違え、戦後のバラック闇市であり、リアルタイムで見ていた人たちには大いに実感できる物があったでしょう。
また、時代背景としては男が数多く戦死した為、結婚出来ない女性たちが巷に溢れ、私生児が数多く存在したことで、清盛落胤説もそれほど突飛なことに思えなかったのかもしれません。
まあ、源 義朝との友情話など、いかにも現代人受けするような部分や、同僚として、若き日の西行法師が登場するなどという箇所には、それなりの工夫は感じますが(前回の大河ドラマ「新・平家物語」では西行法師は出ましたっけ?緒形拳演じる庶民は覚えているのですが・・・。)、それでも、私はこの、清盛落胤説にはどうにも否定的でして・・・。
物語の柱となるような部分だけに、この点が踏襲されたのは何とも残念な気がしております。

で、その「画面の汚さ」という点で、少し思ったことがあります。
龍馬伝でもそうでしたが、臨場感と現実感を出すためにホコリがやたら多用されているようですね。
まあ、私が子供の頃までは家の中を掃除するときには、「はたき」というホコリを落とす掃除道具があったくらいですから、いくら湿潤な日本の風土でもホコリがなかったとは言いませんが、この点で、かつて、巨匠・黒澤 明監督は映画「七人の侍」撮影の際、騎馬の疾走シーンでは通り道にを撒いた・・・という話を聞いたことがあります。
黒澤監督曰く、「騎馬の疾走感を出すには馬が土埃リを蹴立てて走らなければ、どうにも疾走感が出ないんだ。空気が乾いている西部劇は良いんだろうが、日本の湿潤な気候ではどうにもホコリが立たない。それでやむなく、灰を撒いて、疾走感を出したんだ」・・・と。
龍馬伝の時とは違い、今回のドラマでは戦闘シーン以外では、そこまでホコリはいらないような気がしますけどね。
                                         平太独白
by heitaroh | 2012-02-01 18:19 | 文学芸術 | Trackback | Comments(2)
Commented by sakanoueno-kumo at 2012-02-03 18:36
平清盛や龍馬伝でのホコリの演出は、コーンスターチというとうもろこしから作られたてんぷんの粉だそうですね。
私も、日本の風土までは考えおよびませんでしたが、ちょっとやりすぎなんじゃないかとは感じていました。
だからといって知事の発言を支持するものではありませんが。
Commented by heitaroh at 2012-02-04 15:31
< sakanoueno-kumoさん

同じく、知事の発言はまったく支持しませんが、でも、私自身、内容が悪いわけでもないのに結構、早送りしてみているのは事実でして・・・。
リアリティを出すのは決して悪いことではなく、むしろ、好ましいことだと思うのですが・・・。
私もこの問題の根源が何なのかはもう少し考えてみないと結論が出せそうにありません。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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