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歴史は勝者が作るの理
親愛なるアッティクスへ

歴史は勝者が作るの理_e0027240_1653177.jpg
     「稜線に 釣瓶落として 闇侍り」 梁庵平太


先日、新聞を見ていて、ふと目に付いた記事がありました。
うろ覚えなのですが、曰く、「ベトナム人の友人から『歴史は勝者が作るもの。負けた戦争について今更、とかく言っても仕方がない。それよりも、これからのことに力をそそぐべきだ』と言われた。如何にも、長年、中国と戦ってきた経験を持つベトナム人らしい言葉である・・・」と。
これは、私もまったく同感でして、私の周りにもよく、「日本は悪くなかった」とか「日本がいかに素晴らしかったか」を力説する友人諸兄が多々、いらっしゃるのですが、私は毎回、この手の「正論」に対して無味乾燥なものを感じておりました。
言ってることは正しいのかもしれないけど、今、それを言ってどうするの?・・と。

その辺のことを端的に言ってくれたのが、この、ベトナム人の方の言葉で、私も、拙著の中で、武田勝頼、毛利輝元という人たちを描いていく上で、つくづくそのことを思ったことがあります。
歴史は勝者によって作られるんだ・・・と。
であれば、負けた側がそんなことを百万遍唱えても自己満足以外の何物でもないわけで、そんなことするよりも、もう一度、戦争して勝てば良いじゃないか・・・と。
そういうと、「また、そんな出来もしないことばかり言う!」と友人は怒りますが、そうでもないでしょう。
「勝てる時に、勝てる場所」で戦えば良いんですよ。
ただし、アメリカと事を構えるのなら、尖閣諸島竹島は放棄しないといけないでしょうし、逆に、中国を脅威と思うのなら、アメリカの無理難題にも耐え忍ぶしかないでしょう。

ていうか、それ以上に懸念されるのは、勝ってしまうと弊害の方が大きいということです。
この辺は、以前からたびたび言っている通りで、武田信玄「戦いは五分の勝ちで上とする。六分で驕りを生じ、七分勝つともう弊害の方が大きい」という言葉は至言だと思います。
(日露戦争後の「一等国日本」や、近い例ではジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた頃の日本・・・。また、「外交的失敗の3ヶ月を軍事的成功の3日で取り戻した」と豪語した時のラムズフェルド米国防長官などが好例でしょう。)
そもそも、日本人というのはA型民族ですから、かえって、現実を直視したほうが良いんですよ。
「最高!」「最強!」などと言われると、大体、良かった試しはないですしね。

また、「素晴らしい」などとは他国の人が言ってくれる分にはともかく、自分たちで言うのはいかがな物かと。
「人は見たいと思う事実しか見ようとしない」と言ったのはカエサルでしたが、この点で、ある印象に残っている光景があります。
少し前のことなのですが、上海コンビニ業界日本企業に押されまくった中国国営系のコンビニが、閉店後、店長・店員が集まって対策会議をしていたところ、最初は、「どうする?」「どうしようか?」だったのが、「我々でも勝てる部門があるかもしれない」から、最後には皆で自分たちに言い聞かせるように、「まだ、我々は負けたわけではない」「日本企業、恐るるに足らず」という結論に至り、散会・・・と。
これって、私には、まるで、敗色濃厚となって以降の帝国陸海軍の姿に見えましたよ。
何の根拠もない・・・、そのことは皆知っている・・・けれど・・・と。
                                         平太独白
by heitaroh | 2011-09-28 16:52 | 国際問題 | Trackback | Comments(2)
Commented by sakanoueno-kumo at 2011-10-13 14:32
ご無沙汰しておりました。

話はぐっと小さくなって恐縮ですが、今、私の所属する少年野球リーグで守旧派と革新派の争いが起こっており、私は私の考えで正論だと思う革新派に同調したのですが、現状、敗色濃厚となっております。
そこでつくづく、正論が勝つのではなく、勝ったほうが正論になるということを実感させられている次第です。
しかし、矢面に立った方々はそのことを受け入れられず、リーグ分裂などといった過激な方向性を示し始めており、今度はそんな彼らを鎮める役どころになってしまい・・・。
負け戦をズルズル引っ張っても、決していい結果は得られないよ・・・と。
だったら、ここは一旦刀を鞘に納めて、勝機を待つしかない・・・と。

Commented by heitaroh at 2011-10-14 12:32
< sakanoueno-kumoさん

こちらこそ、ご無沙汰になってしまいました。
公私に渡り多忙とのことでしたが、こういうことでしたか。

私ごときが何か言えるような立場にはないことは重々承知しておりますが、一つ老婆心で言わせていただくと、「長州人は結論が出るまでは掴み合いするほどに激しく議論するが一旦、結論が出るとこれに従う」というようなことを司馬遼太郎さんが書いていたように記憶しております。
集団の合意とはかくあるものだと思っております。
貴兄のご健闘をお祈り申し上げます。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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