天文学的な債務の幕末薩摩藩的返済方法 その1
以前、平太郎独白録 「30代の私よりの3通の手紙。」の中で、平成12年頃の走り書きが出てきた際、「現在、日本には700兆円という天文学的な国債という借金がある」ということについて触れ、それに対して、「まず、元栓を締めること・・・」と述べましたが、では、それが成功したとして、その後、これだけの多額の負債をどうやって返すか?という問題が浮上してくると思います。
そして、その唯一のモデルケースがあると申し上げました。
で、これに対しては、「踏み倒すしかない」という短絡的な意見もあるようですが、徳政令というものは良さそうに見えて、とんでもなく、高く付きます。
なぜなら、その後、誰も国を信用しなくなるからです。

国民の預金をすべて封鎖して、それで返済するという案もありますが、まず、軍事政権でもできない限り、まず、無理でしょう。
そうなると、利息の破棄あたりが精々でしょうが、それもまた、良策とは言えないように思えます。
まず、利息を放棄したところで、巨額の元金があるわけですし、利息だけといえども、上述のような信用低下を招くことは否めず、そんな状態で巨額の元金を返さなければならないという両塞がりになる可能性が高いと思うからです。
ただ、当然、まともにはこの金額は払えるはずもなく、何らかの形で「踏み倒す」しかないとは思いますが、ここに、ひとつだけ、モデルケースになりそうな方法があります。
それが、幕末の薩摩藩が取った方法です。

先日、「調所笑左衛門―薩摩藩経済官僚」という本を読みました。
幕末、薩摩藩は天文学的な負債を抱え、相当に深刻な状況に陥っていたと言いますが、その理由は、ひとつには元々、薩摩藩はシラス台地と呼ばれる火山灰大地が拡がる土地柄の為、石高ほどには、当時の主要産業である農業生産力は強くなかったこと、それから、江戸時代を通して幕府の仮想敵国であり、そのため高い石高に見合った負担を強いられたことから、有名な木曽三川の土木工事を負担させられたりしたことや、さらには、参勤交代も日本で一番遠い距離を移動する為、その経費負担は日本一、大きかったこと・・・などが挙げられ、江戸も後期になってくると多額の負債が積み重なっていたようです。

e0027240_1039773.jpg

さらに、一気にこれを挽回せんと、文字通り、「武家の商法」的な発想で、何度も借り入れ金を踏み倒したことから、ついに金融機関の融資を受けられなくなり、必要に迫られて高利の金に手を出さざるを得なくなり・・・という一連の財政政策の失敗が、その負債をついには天文学的な額にまでに膨れあがらせたようです。
琉球貿易などでの収入があったとは言え、それを売りさばく権限は幕府が持っており、これでは、到底、追いつくはずもなく、もはや、どうにもならないようになって初めて登場したのが、この調所笑左衛門広郷という人物でした。

おっと、ちょうど時間となりました~、続きはまた明日と言うことで(笑)。
                              平太独白

by heitaroh | 2005-10-13 17:15 | 歴史 | Trackback(3) | Comments(4)
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Tracked from 東海史話 at 2005-10-15 21:13
タイトル : 8代 徳川宗勝  宝暦治水2
1753年(宝暦3年)12月25日。江戸幕府は木曽三川治水お手伝い普請を薩摩藩島津家に命じました。 木曽三川――木曽川、長良川、揖斐川、濃尾平野を流れる三つの大河は伊勢湾上流で、200を越える支流が網の目のように絡み合い、流れていたそうです。ひとたび大雨になるやその被害は甚大でした。 その治水工事を、木曽三川から1200km以上も離れた、縁もゆかりもない薩摩藩に命じたのです。 いうまでもなくこれは幕府の嫌がらせで、薩摩藩の弱体化をねらったものでした。 参勤交代で痛めつけられ、数度の縁組...... more
Tracked from 東海史話 at 2005-10-17 18:42
タイトル : 8代 徳川宗勝  宝暦治水3
1754年(宝暦4年)1月、鹿児島を出立した平田靱負(ひらたゆきえ)は大坂に立ち寄り、金策に奔走します。しかしすでに60万両(約600億~1200億円)を上回る借金がある薩摩藩に対し、はいそうですか、と貸してくれる商人が居るわけがありません。 「何も我々が浪費するのではない。 水害に苦しむ人々を救うために必要な金なのだ」 必死の説得にも商人たちは首を縦に振りません。 現代のように税金をあまねく徴収して、必要性の不確かな工事までやってしまうどこかのお役所には想像もつかない苦難でしょう...... more
Tracked from 謎のリーマン・ヤマサンの.. at 2005-10-22 07:37
タイトル : 出でよ、平成の「調所笑左衛門広郷」②
おはようございます。 前回の出でよ、平成の「調所笑左衛門広郷」に沢山のTBを下さ... more
Commented by fouche1792 at 2005-10-15 21:13
はじめまして。トラックバックありがとうございます。
当方、ただいま宝暦治水工事をアップしておりますが、愛知県人としてこのときの薩摩の人々には本当に頭の下がる思いです。
そしてそれを今に語り伝える愛知・岐阜の初等教育に歴史教育の理想を見つけることができます。
Commented by へいたらう(管理人) at 2005-10-16 12:57 x
>fouche1792さん

はじめまして。
コメント並びにTB有り難う御座いました。

薩摩義士も好きこのんでこの工事をやったわけでもないでしょうが、本当に人的にも財政的にも多大な犠牲を払った工事だったようですね。
私も一度、見てみたいと思っておりますが、今でも見ることができるのでしょうか?
Commented by fouche1792 at 2005-10-17 18:44
現在では、義士が植えたとされる「千本松原」や、義士をまつった治水神社があります。
どちらも岐阜県ですが。
Commented by heitaroh at 2005-10-18 13:44
> fouche1792さん

ご丁寧に有り難う御座います。
なかなか、岐阜や滋賀などは行く機会がないのですが、一度、機会を見つけて行ってみたいと思います。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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