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学年不要論
昨今、国立大学はその使命を終えたなどという教育制度自体のあり方が問われることが多くなったようですが、確かに現行の制度の概要が形作られた明治初期は、限られた予算で人材の早急な育成を求めねばならず、国立大学で少数エリート育成優先することはやむを得なかったと言えるでしょう。
しかし、それから、もう100年が経ち、特にこの10年くらいは選択肢が増えた教育を受ける側と、教育機関自体の多様化、そして何より、足音もなく近づきつつある少子化というものを考えたとき、現行の学校制度自体は、もう、いくら何でも見直していい時期に来たのではないかと思えます。
塾などがこれほど充実した今、もはや学校は不要で民営化すべきだという学校不要論もあるようですが、私はそれ以前に学年不要論です。

同じ事を学んでも1年で理解する子供もいれば、6年かかる子供もいるわけです。
また、同じ子供でも、社会は1年で理解するけど、算数は6年かかる子供もいるわけで、それを、皆一様に同じカリキュラムで通し、皆一様に1年で打ち切ってベルトコンベヤーに乗せて上へ上げてしまうと言うのは、いかにも乱暴な話ではないでしょうか?
その結果、わからない子供はわからないまま次の学年に進んでしまうことで、余計わからなくなり、学習への意欲を失う。
この弊害を改める為には、即ち、学年制をやめて単位制にするべきであり、無論、判断能力の低い子供本人に単位を選ばせるのではなく、教師が客観的に判断し、「この子は算数はもう一年」という風に割り振ればよく、同じ年の子供とのふれあいがなくなるというのなら、組というものは維持したまま単位制とし、その授業が終われば、それぞれの組へ帰って行くというふうにするなどの助長補短策を講じればいいのではないでしょうか?

一方で、我々の学生時代は、偏差値と言うものが厳然として存在しました。
時には、偏差値が低ければ、能力ばかりか人間の価値そのものが決定付けられるような一面さえあったように思います。
ただ、我々の時代の教育制度は「如何に平均点を取るか!」ということに重点がおかれた制度で、一芸にのみ秀でていても、「平均点」が低ければ偏差値は低くなり、結果、一芸にのみ秀でた、もしくは教科以外のことに秀でた子供というのは、多くが「落ちこぼれ」の名の下に否定されてきたように思います。
でも、偏差値とはあくまで、0点という下限と100点という上限の中で仕切られた結果でしかなく、わかりやすく言えば、国語は0点でも、算数なら160点とれる子も上限100点どまりなのですから、平均では50点となるわけです。

私自身、高校受験の時に、こんなことばかりやっていると今に日本は大変なことになるぞ!と思いましたよ。
まあ、私自身が極めて得意不得意の波の激しい子供でしたから、それを言うと我田引水のようにとられましたが、そんなとき、先生は言いました。
「不得意科目を勉強しなさい。得意科目を10点上げるよりも、不得意科目を30点あげるほうが楽なのだから」・・・と。
すなわち、皆、得意分野を殺し、不得意分野を補充するという、誰もが平均点が取れる画一的な子供として量産されることになったわけで、それは日本国民の知識の底上げという点では役に立ったかもしれませんが、一方では規格からはみ出す者には、容赦なく、「落ちこぼれ」「問題児」というレッテルを貼って、十把一絡げベルトコンベヤーの外に置いたと。
いつの時代も、教師にとっては、右と言えば、何も考えずに右を向ける生徒こそが、もっともいい生徒であった・・・とは言い過ぎでしょうか?
                        平太独白

by heitaroh | 2005-10-19 07:53 | 教育 | Trackback(6) | Comments(6)
Tracked from 俺の職場は大学キャンパス at 2005-10-20 11:25
タイトル : ニュースクリップ[-10/16] 「教員免許:更新前に講..
中央教育審議会、教員養成部会のワーキンググループによる途中報告。 教職課程の履修者が学校現場へのインターンシップで子供や現職教員と交流するっていうのは、とてもいいと思います。 これまでは、4年生の教育実習くらいしかそうした機会がありませんでしたから、インタ...... more
Tracked from 郎女迷々日録 at 2005-12-21 01:45
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Tracked from 世の中の想定外な事 at 2005-12-23 01:32
タイトル : ストレス発散の後は。
人間、楽しいことがいいに決まってますよね。その度合は人によりけりですが、少しでも楽しい雰囲気をかもし出し、自分自身もその”空気”を吸い込むことが大切です。 などと勝手なこと書いて、外出することにします(^.^)ライブドアのニューストピックスで、ふと2つ目につき...... more
Tracked from ねこまんま at 2006-02-18 07:18
タイトル : 学習指導要領変更
学習指導要領、「言葉の力」柱に 全面改訂へ文科省原案 中教審は1年にわたり次期指導要領について議論を続けてきた。  原案では、日本の子どもの学力について、04年12月に公表された国際学力調査の結果をもとに、成績低位層が増加する「二極化」が進行していると分析。なかでも、読解力や記述式問題に課題があるなど、学力の低下傾向があると認めている。また、学習や職業に対して無気力な子どもが増えていると指摘する。  これを補うため、次の指導要領では、言葉や体験などの学習や生活の基盤づくりを重視する「言葉の力」を、...... more
Tracked from 世の中の想定外な事 at 2006-04-18 12:01
タイトル : 日々雑感−もろもろ
昨日は、読売のトップに「中高一貫」の公立学校への進学を目指して、有名塾に授業や講習の委託をしている小学校が増えている、という記事がありました。 また、文部科学省は来年度から、塾に通えない家庭等を考慮し、補習等を行う方向らしい。・日本、「学力格差」埋めるた....... more
Tracked from 世の中の想定外な事 at 2006-04-25 20:19
タイトル : 政治経済と国際関係−教育
最近はちょとちょこと話題が多いように思いますね。先日、教育というテーマで、「日々雑感−もろもろ」の記事に、平太郎師匠から学年不要論というTBを頂戴しましたが、それに応えんと新記事を書き始めたら、膨大な量になって支離滅裂な状態に_笑。 で、そのうち整理した....... more
Commented by SHIN at 2005-10-21 01:02 x
私自身の経験では、
複数科目をより高い位置で出来る人間が最近は望まれている?
と感じています。
『数学しかできない人』
『英語しかできない人』
というのは、後々、つまらない人間にしかならないような気がします。
得意なものを伸ばすというのは、意外に簡単なことです。
不得意なものを伸ばしてこそ、人間的にも、将来のスキル的にも、
『使えるもの』を学ぶことができると思います。

数学が、すばらしくできて、数学専門の大学に入り、大学院へ進み、
そんな大学院で勉強する際、一番研究に必要なのは、実は英語だったりします。
数学の研究は、全世界で行われており、最先端の情報は論文として、英語でだされます。
そんな英語の論文を読めない人、自分の研究を英語で表現できない人は・・・・・・
といったことが生じてくるのです。
『専門バカ』にならないこと。
これが今後の日本の教育の目指すところだと私は考えます。
Commented by heitaroh at 2005-10-24 12:05
>SHINさん

コメント有り難うございました。
そう言えば、私も技術屋と呼ばれる人たちの視野の狭さに辟易させられたことがあります。
無論、すべての科目をすべてにできることが一番なのでしょうが、現実にはなかなか、凡人には厳しいようです。
問題は、そういったひとつしかできない人を排除しなくてもいいのでは・・・ということです。
数学の研究で英語が必要な場合、自ずとそちらも勉強するか、あるいはそちらに秀でた人に協力を頼むことになると思います。
Commented by 藤江 at 2006-03-23 15:34 x
「非行少年」は「飛行少年」。足が地に着かず、とんでもない(飛んでもない)ことをしでかす”非行少年”。常識という地面から足を離してこそ新たな発想が浮かぶ。想像力なき者に創造力なし。おやじギャグばかりで申し訳ない、ことはない。おやじギャグはべつに他人を喜ばせるために言うのではない。言ってる本人が楽しければそれでいいのだ。

「学年不要論」はアブナイ。小学校、中学校、高校、大学と続くこの”学年”の思想が、今までの日本社会の「年功序列制度」の根源になっているのですから。これが壊されたら軍隊組織のようなスバラシイ日本のタテ社会がなくなってしまう。先輩・後輩という日本の美徳もなくなる。体育系関係者もどーしていいか分からなくなります。「学年制度」は永遠に不滅です。
Commented by へいたらう at 2006-03-23 15:50 x
コメント有り難う御座いました。

学年不要論に対するこれは反論なのでしょうか?(笑)。
肯定論、というよりも反論する者への批判・・・でしょうか・・・。

とにかく、虚心坦懐、承ってございます。
Commented by mogu_mogu at 2006-04-18 11:20 x
TBしましたが、うまくいくかなぁ。
こちらのブログは昨日からは、さくさく状態です_笑。

Gooはだめですかねぇ。やっぱ。
Gooの方のデザインは、いいですけどね_w
Commented by へいたらう at 2006-04-18 20:26 x
>mogu_moguさん

ご迷惑をおかけしております。
これって、どうなってるんでしょうね。

もうぼちぼち、迷惑メールも来なくなったでしょうから、解除しようとは思ってるんですけど・・・。
gooはあまり、デザイン的には好きじゃないですけどねw
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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