人気ブログランキング | 話題のタグを見る


続・ミロシェビッチに見る戊辰戦争とコンスタンティヌスの内戦の定義
親愛なるアッティクスへ

昨日の続きです。

ローマに話を戻しますと、ローマ帝国末期、帝国は四人の皇帝分割統治する時代を迎えますが、ここで、さらに四人のうちに入れなかった先代皇帝の息子が一人、本来の本国であるイタリア半島で勝手に即位宣言したことから、時代は分割統治から群雄割拠の色合いを強くしていきます。
即ち、誰がこの、「帝位を僭称した皇帝」を討つか・・・ということになり、最初に攻め込んだ皇帝は、諸都市の固い叛意の前に、逆に敗死・・・。
次に攻め込んだ皇帝は、抵抗する城塞都市を殲滅し、見せしめとすることを選択しますが、逆にその情報はいち早く、イタリア半島全体に伝わり、他の都市を死に物狂いにしただけとなり、その皇帝は撤退を余儀なくされた・・・と。
そして、最後に攻め込んだ皇帝は、叛乱に立ち上がった諸都市に対し、「罪は問わない」と宣言し、激しく抵抗した都市も撃破した後は、誰一人、罪を問われなかったそうで、その結果、これが伝わるや、諸都市は戦わずして城門を開き、覇業に大きく前進したわけで、この皇帝こそが、後に大帝と呼ばれるコンスタンティヌスであった・・・と。

次に、「内戦と寛容」というものについてですが、日本の戊辰戦争の時に、誰もその理屈に気づかなかったのかというと、そんなこともないわけで、西郷隆盛賊軍でありながら、最後まで官軍相手に勝ち続けていた庄内藩の戦後処理に寛容を持って臨んだと言います。
(この藩だけは、結局、最後まで負けないままだったそうで、哀しいかな局地戦であったがゆえに、賊軍の本丸である、会津仙台が降伏したことを知り、もはやこれまで!ということで、やむなく降伏した・・・と。ちなみに、このとき、庄内藩に負け続けたのが新政府側に付いた秋田藩で、救援に向かいながら一緒に敗走を重ねたのが我が筑前福岡藩だったという・・・。)
庄内藩士は、西郷のその温情に感謝し、その後、西南戦争勃発の時には、北の果てよりはるばる南の果ての南九州まで駆けつけ、西郷軍に合力したとか・・・。

逆に、会津戦線では、新政府軍は、寛容を持って臨まなかったがゆえに、西南戦争の折り、旧会津藩士が多数、新政府軍として参戦したと言います。
5.15事件暗殺される後の総理大臣・犬養毅は、このとき、従軍記者としてその胆力を大いに発揮し、両軍の前線兵士から多くのインタビューをとってきたとそうですが、その中に、ある会津出身の新政府軍兵士の言葉として、「会津人の剣、疾きか鈍きか!薩摩人に聞かん!」というのがあったと言います。)

もっとも、古代ローマにても、必ずしも、カエサルやコンスタンティヌス大帝のように内戦というものの定義を理解した戦い方をした人物ばかりだったわけではなく、初代皇帝・アウグストゥスよりの皇統が途絶えた後に起こった内戦においては、勝った方の方面軍が破れた方の方面軍を辱めたそうで、となれば、次の内戦が勃発した際には、会津人の西南戦争参戦よろしく、負けた側の方面軍は勇んで参戦し、結果、勝者と敗者が逆転し、そしてまた、敗者に同じような辱めを与えてしまったとか・・・。

内戦とは、外敵を撃退することよりもデリケートなものだということなのでしょう・・・。
                                         平太独白
by heitaroh | 2006-04-26 20:09 | 歴史 | Trackback | Comments(0)
<< 孫子と「人民の狂騒は一ヶ月で終... ミロシェビッチに見る戊辰戦争と... >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱「財閥」の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

令和7年 19世紀ロンドンと東京。「描きたかったのは猟奇ではない。悲惨である」。「女王陛下の十手持ち」出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
ライフログ
最新のコメント
< sakanoueno..
by heitaroh at 11:21
< sakanoueno..
by heitaroh at 11:16
お説ごもっとも! 戦争は..
by sakanoueno-kumo at 10:50
ご無沙汰しておりました。..
by sakanoueno-kumo at 10:46
<sakanoueno..
by heitaroh at 18:10
ご無沙汰しております。 ..
by sakanoueno-kumo at 13:01
< hibiscus20..
by heitaroh at 18:09
継続は力、努力素晴らしい..
by hibiscus2025 at 19:25
sakanoueno-..
by heitaroh at 20:17
遅ればせながら20周年お..
by sakanoueno-kumo at 19:45
< hibiscus20..
by heitaroh at 11:57
今晩は!何とも女性にとっ..
by hibiscus2025 at 22:47
>sakanoueno-..
by heitaroh at 01:40
こんばんは。 今年は喪..
by sakanoueno-kumo at 22:12
> hibiscus20..
by heitaroh at 19:10
検索
タグ
(67)
(56)
(56)
(53)
(51)
(46)
(43)
(42)
(42)
(36)
(33)
(32)
(31)
(31)
(30)
(28)
(27)
(27)
(26)
(26)
(25)
(24)
(24)
(24)
(24)
(23)
(22)
(22)
(21)
(21)
(21)
(20)
(20)
(19)
(19)
(18)
(18)
(18)
(17)
(17)
(17)
(16)
(16)
(16)
(15)
(15)
(14)
(14)
(14)
(14)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(12)
(12)
(12)
(12)
(12)
(12)
(11)
(11)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(9)
(9)
(9)
(9)
(9)
カテゴリ
以前の記事
2025年 11月
2025年 10月
2025年 09月
2025年 08月
2025年 07月
2025年 06月
2025年 05月
2025年 04月
2025年 03月
2025年 02月
2025年 01月
2024年 12月
2024年 11月
2024年 10月
2024年 09月
2024年 08月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
最新のトラックバック
フォロー中のブログ
ブログパーツ
  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧