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上海万博寄稿文「中国人の中国人による中国人のための万博」
親愛なるアッティクスへ

本日も、何とか、起稿しなければ・・・と思うのですが、哀しいかな15分くらいしか時間がありません。
ということで、以前、上海万博に行ったときのことを、ある会報誌に寄稿しましたので、それでごまかしたいと思います。
以下。
===================================

去る六月、某視察団の末席に加わり上海へ行く機会を得た。
出発当日、上海空港に着き、携帯のスイッチを入れたところ、「鳩山首相、小沢幹事長と共に辞任」のニュースが飛び込んできた。その後、帰りの飛行機の中で新聞の見出しを見て次の首相が菅直人氏に決まったと知った。よくある話である。

上海万博は私にとって大阪万博以来40年ぶりの万博である。当時、9歳紅顔の美少年49歳厚顔の・・・となっていたことが時の移ろいを如実に表していたのだろうが、初恋の人はやはり想い出の中に留めておくべきであったのだろう。率直な第一印象を言わせて戴ければ、この40年での世の中の変わり様から考えれば「大してかわり映えしていないな・・・」と思えた。

上海万博寄稿文「中国人の中国人による中国人のための万博」_e0027240_1272040.jpgやはり、我々の世代にとって大阪万博というものは、「日本の未来は永遠に明るい」と信じて止まなかった光り輝く少年の日の記憶であり、いうならば、40年ぶりに初恋の人に相見えることができるような、思い入れに似たものがあったのかもしれない。

その上で、今回の万博を私なりに一言で総括するならば、
「中国人の中国人による中国人のための万博」であると言って良いように思える。

上海万博寄稿文「中国人の中国人による中国人のための万博」_e0027240_1292587.jpgそれを語る上で、私がまず感じたのは、会場内を見た限りでの「アジア系以外の来場者の少なさ」である。無論、私が行ったこの一日だけをして軽々に論じてはならないことは重々承知しているが、敢えて言わせて戴くなら、まず、見たところ95%がアジア系、そのうちおそらく90%中国人だったのではないだろうか。(白人、黒人はスタッフ以外、数えるくらいしか見かけなかった。)
次に思ったのが、場内アナウンスなど、中国語だけの物が少なくなかったこと。

場内放送について言えば、英語の放送がまったくなかったわけでもないし、あるいは、はっきりと中国人とわかった相手に呼びかける内容のものだったのかもしれないが、土産物屋でもレストランでも、事実上の世界公用語である英語が通じない店員が少なくなかったことは、最初から中国語を話す人だけが来ることを前提に企画されているのではないかという印象を持ったし、ましてやスペイン語、アラビア語、日本語、韓国語などは説明文すら皆無といって良い状態であり、この点は日本館でさえも例外ではなかった。これは、巨大な中国市場に対する自国技術の見本市という側面もあるのだろうが、万博が国際的なイベントであることを考えれば、やはり、少々、違和感を覚えざるを得なかっただろう。
そう考えると、この万博は外国人を呼び、外貨を稼ぐことが目的ではなく、中国人に「中国の発展と栄光」を見せ国内の不満を和らげる、平たく言うならば「中国国民への慰労」が目的なのではないかと思えるのである。

ただ、帰国後の新聞に、「開幕当初は入場者が低迷したことから、大阪万博を上回る七千万人の目標を達成するために団体客を動員しているとみられている」という報道が為されていたが、これは少し違うように感じる。つまり、中国当局にとって問題なのは「如何に七千万人を達成するか」ではなく、「如何に七千万人に抑えるか」であり、事実、入場券は当日券のみで事前販売は一切無しにしているということであったし、おそらく、「皆、入って良いよ」と言えば七千万人などという数字はすぐにクリアできるのではないだろうか。もっとも、そこで起きる混乱を度外視すれば・・・だが。
一方で、実際、小・中学生の見学はこの日だけでも多数、目にしたが、果たしてそれを「動員」と呼んで良いのかと言われれば、これまた少し違うようにも思う。(大阪万博だとて、私は毎日でも行きたかったし、近在の子供たちはおそらく行ける限り、何度でも行ったはずである。それを「動員」と言われれば違和感があっただろう。)
つまり、観客の動員は動員でも目的が違っており、すなわち、入場者数を確保することが目的ではなく、より多くの国民にこれを見せることが目的であると考えれば、この万博のまた違う一面が見えてくるのかもしれない。

最後に、翌最終日、上海の街に別れを告げ、一路、機上の人となったが、この日は天候が思わしくなかったこともあり、離陸後、しばらくして窓外に目をやると一面に雲海が敷き詰められた光景が広がっていた。私は思わず、大阪万博へ向かう為、初めて飛行機に乗り、初めて雲の上を目の当たりにした40年前の日のことを思い出した。
このときも、突然、目の前に拡がった雲景はこの世の物とは思えぬほどに神秘的で、わかってはいたものの、「ここは一体、どこなのか?」と思わず目を見張った。遠い昔の記憶である。
                                         平太独白
by heitaroh | 2010-08-06 17:54 | 国際問題 | Trackback | Comments(2)
Commented by エリモジョージ at 2010-08-07 10:39 x
上海万博に行く予定のまったくない私が言うのもなんですが、上海万博の目玉って何なのでしょう?
各国のパビリオンには新しい時代の発明品や商品があり、それはそれで面白いと思います。ただ、コレっといったものは思い浮かびません。
その点、私も中学生の時に姉と行った「大阪万博」には伝家の宝刀”月の石”が展示されていました。連日、アメリカ館には長蛇の列で2,3時間並んで見た記憶があります。ただ、残念なことに日本も含めた他国の展示品はまったく覚えてないというか、パビリオンに入った記憶すら残っていません。
その後、「アポロ11号が実際は月には行ってない」などの疑念報道がされたこともありましたが、私にとってはそんなのは”何処吹く風”です。間違いなくあの時あの場所で見た石は「月の石」だったと記憶に焼き付けていますし、子供にも自慢げに話しています。
Commented by heitaroh at 2010-08-07 13:49
<エリモジョージさん

>上海万博に行く予定のまったくない私が言うのもなんですが、

ご心配なく。
帰りの飛行機の中で、後ろの席でどこかのおじさんが、「まあ、また誘われても、もう、2回は行かんでも良いな」と言っておられましたが、おそらく、これがその飛行機に乗り合わせた全員の感想だったのではないでしょうか(笑)。

その上で・・・、確かに、目玉というのは思い浮かびませんよね。
日本館だって、ハウステンボスで十分・・・という程度のものでしたし(笑)。

月の石・・・。
私は小学校でしたが、せっかく一日見られるはずが、アメリカ館とソ連館で終わってしまったのが悔やまれて成らなかったのを覚えています。
世代的には少し下になる私は「月の石」なんて、ただの、そこら辺の石にしか見えませんでした。

ただ、私も、日本館なども行ったのでしょうが、まったく覚えておりませんで、その点、「月の石」は行きたい行きたくないは別にしても、太陽の塔と並び、あの万博を象徴する存在として印象に残っております。

愛知万博では、マンモスをこれに宛てようとしたのでしょうが、インパクト不足は否めませんでしたね。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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