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ドラマ「ゲゲゲの女房」に日々黙考 その2
親愛なるアッティクスへ

先週よりの続きです。

ドラマ「ゲゲゲの女房」に日々黙考 その2_e0027240_1626315.jpgこのドラマでは、最近、よく耳にする、「昭和30年代は物はなかったけど、皆、幸せだった」という刷り込みが所詮、詭弁でしかないことを知らしめるに十分なまでの、まるで痛いまでにザラザラした「貧困」というものの現実が如実に描き出されているように思います。

ここ数年、映画・「ALWAYS 三丁目の夕日」に代表される、まるで当時が理想郷であったかのような描かれ方が為されてきましたが、でも、現実にはそんな甘い世界ではなかったことはたびたび、申し上げてきた通りで、実際の貧困とはもっと、肌を刺すような物ですよ。
幼稚園くらいまでしか知らない私が言うのも如何かと思いますけど(笑)。)

ドラマ「ゲゲゲの女房」に日々黙考 その2_e0027240_1771740.jpgと言っても、私自身は子供の頃から、欲しい物は人並み以下にしか買ってもらえなかったものの、とりあえずは、平均的な生活はして来られましたので、決して偉そうなことは言えた立場ではないのですが、ただ、私が子供の頃は、良く、マンガ(当然、他力本願です(笑)。)などを読んでいると、「俺が貧乏人だから犯人と疑われたんだ!」というようなセリフが出てきました。
当時は私の周囲ではこういう話は聞いたことがありませんでしたので、私的には、読むたびに少し違和感があったのですが、おそらくこれは、読んでいる側ではなく、書いていた側の世代の人たちにとって、少なからず、日常的にあった光景だったのではないでしょうか。

事実、後年、知ったのですが、私の同級生でも同様のことはあったようです。
その同級生曰く、「俺は本当は勉強は好きだったんだ。だが、クラスで文房具が無くなったとき、『買えないから盗んだ。おまえしかいない』と疑われ、いくら、自分じゃないと言っても先生に殴られ続けた」と・・・。
「以来、勉強なんかするものか!と思った」・・・と。
まあ、さすがに我々の時代は、必ずしも、その他多くの事例の中の一つだったというわけではないと思いますが、間違いなく、背景には「家が貧しいから」ということがあったようですから、何とも酷い話ではあります。
(今なら、大問題になるところでしょうが、当時はそんなもんでしたからねぇ。私なども、そこまで酷い話ではありませんが、似たような想いは経験ありますよ。)

この点で、このドラマは、「三丁目の夕日」とは違い、ある程度、水木しげる翁と布枝夫人の実体験に基づいているのでしょうから、貧困というものの扱い方という点ではリアリティがあるように思います。
豊かな現代日本人は、「貧困」ということを一食抜くくらいのダイエット的感覚でしか捉えていない人が多いように思えますが、しかし、かねてより申し上げているとおり、「人は走ることが辛いのではなく、ゴール無くして走り続けることが辛いのだ」という意味で、「終わりのない貧困との闘い」とは夫妻にとっては本当に辛いものだったでしょう。
この後の翁の成功を知る我々は、一時的な雌伏の時代のような観を持っていますが、ドラマの中でもたびたび出てきたように、実際には志半ばで筆を置いて去っていった無数の水木しげるがいたわけで・・・。
                                         平太独白
by heitaroh | 2010-07-05 18:28 | 時代観 | Trackback | Comments(6)
Commented by 南の国の会社社長 at 2010-07-06 00:14 x
昭和30年代の生証人として(笑)、発言させていただきます。たしかに貧困の辛さはありましたね。うちの家は駄菓子屋だったので、豊かさレベルは平均よりはるか下。親戚に農家が多かったので、食べるものには困ることはなかったですが、テレビを買ったのも昭和40年代になってからでしたね。同級生がテレビの番組の話をしていてもついていけない時に、ものすごい疎外感がありました。電化製品を買える家と買えない家、塾に通える子と通えない子、そんな貧富の差は今の時代以上にあったような気がします。楽しい思い出も多いですが、辛いことも多かったですね。
Commented by エリモジョージ at 2010-07-06 15:23 x
確かに昭和30年代の日本を振り返ると、人も環境も価値観も全て別天地のような気がしますね。一部の地域にしか現れてないのでご存知ない方もいると思いますが昔、「粘土屋」という商売人がいました。公園とかに自転車でやって来て大小の「型」を地面に並べ、粘土と岩絵の具のような粉を売って子供に色付けした「作品」に点数を付け、点数が貯まると型に代えてくれるのです。小学校の図工の授業より圧倒的に面白く、男子生徒はほとんどやってました。
今、もしあの「粘土屋」が公園に現れたら、今の子供よりあの当時子供だった大人が何処からともなく集まってきて、真剣にやり始めるような気がします。そのいい例が今でも祭りや夜店でたまに見かける「輪投げ」や「射的」です。子供よりも大人の方が身を乗り出して景品を狙ってますね。
この「手作り感」に飢えている人って多いんじゃないでしょうか。少なくとも私はその一人です。
Commented by heitaroh at 2010-07-06 15:55
< 南の国の会社社長さん

うちなんかは貧困という点では本当に恵まれていた方なのでしょうが、それでも、欲しい物は「何一つ」と言って良いくらいに買ってもらえませんでしたね。
そういう境遇で育ったからか、今でも貧乏性で、グローブは30年前の物を未だに使っていますし、本と名が付く物はマンガでさえもよう棄てません(笑)。

ちなみに、うちのガキに、「お父さんのグローブ使え」と言ったら、「こんなぼろっちいのを持っていったら皆に笑われる」と言われました。
時代が違うと言ってしまえばそれまでなのでしょうが・・・。
Commented by heitaroh at 2010-07-06 16:01
<エリモジョージさん

粘土屋ですか!?
それは初めて聞きました。
多分、九州地方には来ていなかったと思います。
どこの地方で出没していたんですか??
紙芝居やポン菓子、または、ひよこに色付けて売ったり・・・というのは知ってますが、粘土屋というのは発想が貧困で、イマイチ、想像が付きません(笑)。

縁日での射的や当たりくじなどは一度で良いから、当たるまでやってみたいと思いました。
あの時代は、吊してある、絶対に当たらない景品は超高嶺の花でしたからね(笑)。
Commented by エリモジョージ at 2010-07-06 18:13 x
東京です。私の友人達やその後の人生で出会った人たちに確認したところ、主に豊島区、北区、荒川区、文京区、台東区などに出没していました。
客層の関係でお坊ちゃまの多い山の手には行ってなかったようですね。
以前、ネットで検索したら場所によっては「型屋」と言っていた地域があるようです。いずれにしても非常に懐かしい想い出です。
Commented by heitaroh at 2010-07-07 10:49
< エリモジョージさん

東京下町限定ですね。
私は紙芝居屋が動物などの形にくり抜くハッカ菓子か何かを売っていたのは覚えていますが、粘土屋は聞いたことがありませんでした。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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