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ゴーン社長の給料にみる経営者の報酬の多寡 その2
親愛なるアッティクスへ

先日よりの続きです。
本当はすぐ翌日に書くつもりだったのですが、ワールドカップなど、色々と時事的な物が続いたため、とうとう、月をまたいで7月になってしまいました。
で、本題です。

これまで安く据え置かれていた日本の大企業の経営者の給与ですが、ただ、必ずしもそれは「清貧」などということばかりでもなかったようで、この点で、三鬼陽之助(故人)という老財界記者オイルショック直後の昭和50年頃の著書の中で少し興味深いことを言っておられました。
「これまでは社長-トップは、唯我独尊的な存在で、権力、栄誉を背景に、いわゆる〝物欲〃的な面でも、我儘が許された。瑞的な例で、電鉄会社が鉄道を施設する時、社長が特権を利用、あらかじめ個人名儀で鉄道沿線の土地を買収、その値上りで莫大な利益を確得、経営者-財界人としての栄誉を得ると同時に、億万長者として一家一族の繁栄をもたらしたといった事実は、枚挙にいとまないのである。また、この種の行動が、トップに立つ者の、当然の権利として大目に見られた時代もあった」

まあ、今と違い、インサイダー取引の規制がなかった時代ですから、こういうことも十分に「有り」だったのでしょうが、でも、こういう役得があったからこそ、低く抑えられても文句も出なかったともいえ、そう考えれば、現代ではそういう「抜け道」が抑えられたので報酬が高くなった・・・という見方もできるのかもしれません。
ただ、では、当時の経営者が全員、そんなふうだったかというと必ずしもそういうわけでもなく、同氏は「天晴れ特筆」として、全日空創業者の美土路昌一という人物のことを挙げておられました。

曰く、「同社は昭和二十八年十月、半官半民の日本航空に相前後、純粋な民間会社として創立され、美土路はその徳望と、朝日新聞時代、航空部長、常務、編集総長といった前歴から社長に就任したが、当時は航空に関する技術も未熟で、何回となく事故を起こし、社会的非難はおき、不人気は高まり、経営困難におちいった。当然のことで、役員、幹部、一般従業員も動揺、時に経営の危機すら云々された。
 しかし、こういう時、社長の美土路の月給は僅か四、五万円といった課長並みの待遇で、自動車代にも足りなかった。それに、社長としての交際費的な費用は皆無に近かった。だから、当時、年収二百万円以上の申告所得者のリストが発表され、社長、専務がズラリ発見されたが、美土路の名はついに見出されなかった」そうで、これを見た当時の佐藤栄作大蔵大臣が、省議の席上「いまどき美土路氏のような立派な経営者は珍らしい。こういう経営者の事業は、国家としても、出来るだけ援助すべきである」と発言し、同社が金融難に陥った際には「美土路社長の徳望を担保に金を貸そう」と言い、結果、同社は「危機を脱却できた」のだとか。

佐藤栄作という人は総理時代、「待ちの栄作」などと言われ、あまり「果断」なイメージがあった人ではありませんが、なかなかに押さえるべき所は押さえた人だったのでしょう。
それに対して、今回の参議院選での節操なきまでの有名人擁立劇を見れば、中村敦夫氏をして、「仕事が減った有名人のハローワーク」といわせた状況(確かに言い得て妙だと・・・。)は何とかならないものでしょうか。
「当選したら年収4千万円、売れていた頃と変わらない年収が確保される」のだそうですが、実際には彼らはあまり党の獲票には貢献していないのだそうで、この辺はさもありなんで、別に彼らに魅力を感じませんから、擁立する側も見直してみるべきだと思います。
                                         平太独白
by heitaroh | 2010-07-01 17:43 | 経済・マネジメント | Trackback | Comments(0)
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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