人気ブログランキング | 話題のタグを見る


博多駅前史異聞 その2 犬射馬場
昨日の続きです。

「犬射馬場」という名前を聞いて、「武士が犬追物などの武芸の調練を行った場所?」と思ったら、やはり有識者もそう思われたようで、どなたかの著作にはそうあるそうです。
が、講師である元寇研究会の会長さんは、この説には異を唱えておられ、曰く、同名の馬場は肥前大村にもあるが、こちらは字が違って「戌亥馬場」であり、戌亥というのは西北の方角を表す言葉である・・・と。
で、大村の場合は大村城からして西北にある馬場だから「戌亥馬場」で、おそらく、「戌亥」の間違いであり、そうだとすれば、城に当たるのが探題舘で、そこからして西北にあったのが犬射馬場である・・・と。
さらに、本来、「犬射馬場」などというのは文章的におかしく、本来なら漢詩風に「射犬馬場」になるはずである・・・ということでした。

他にも、色々、言っておられましたが、その上で、私はそうは思いません。
学識者の言われることに素人が異を唱えるのは畏れ多いということは重々承知の上で、敢えて申し上げると、まず、昨日も申しましたように、我が下人参町、現在の博多駅前三丁目、正式には福岡市大字春吉字馬場添ですが、旧字図という法務局に保存してある地図を見ると、馬場添の隣の隣に「馬場」という小字があるんですよ。

博多駅前史異聞 その2 犬射馬場_e0027240_186021.jpgで、それを元に現在の地図と昭和39年の地図、その他をにらめっこして私が作りました。
(←これ作るのに半日費やしてしまいました。暇なやつだと嗤わないでください。実は今、結構忙しいんです。おかげでまた休日出勤確定です(涙!)。)

少しわかりにくいのですが、左下の川が那珂川、右上の川が石堂川(現御笠川)で、それを結んでいる明らかに人工的と思われる水路が通称、「房州堀」と呼ばれている物で、その下に拡がる赤い部分が「馬場」、それを囲むように走る川が「鉢の底川」、さらにそこから少し南にある色違いの場所が「馬場添」、でもって右端の縦の線が現在の博多駅、中央を縦に走る線が昭和38年までの鹿児島本線で、その途中にある緑のふくらみが旧博多駅、そこと探題舘の間にある色違いの部分が私が子供の頃まで馬場新町と呼ばれていた所です。

その上で、最初にお断りしておきますが、まず、これは、かなりアバウトな物です。
それは、この元になった旧字図というのも、おそらくは明治期に作られた物で、さらに、博多自体、戦国時代に何度も戦渦に巻き込まれ、原形を留めないほどに焼失しており、その後、豊臣秀吉によって行われた復興によって、それ以前とはまったく違う街になっているということがあります。
そう考えれば、房州堀が出来たのは戦国時代から江戸時代にかけて・・・と言われていますから、当時は、まだこの堀はなく(でも、面白いことに、馬場の北側はほぼ房州堀に合致するんですよ。)、代わりに御笠川が途中でいきなり西に曲がって那珂川に合流する、いわゆる比恵川の時代だったと考えられますが、その比恵川の名残なのではないかと言われているのが鉢の底川です。

来週に続く。
                          平太独白
by heitaroh | 2010-05-22 18:17 | 地域 | Trackback | Comments(2)
Commented by 大村湾 at 2015-11-08 21:16 x
元寇研究会の会長さんが間違ってますね。
乾は方角由来とされてる郷村記より早く完成した
「大村藩領絵図」にはハッキリと「犬之馬場」と記されてます。
以前、長崎新聞でも掲載されました。
Commented by heitaroh at 2015-12-26 17:00
<大村湾さん

返信が遅くなり申し訳ありません。
最近、あまりこちらは見ないもので気がつくのが遅れました。

ご指摘ありがとうございます。
そうでしたか。
会長さんの勘違いだったんでしょうね。
私も講演するときは気をつけます。
<< 博多駅前史異聞 その3 馬場新町 博多駅前史異聞 その1 鎮西探題舘 >>


国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
ライフログ
最新のコメント
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:13
おっしゃるとおり、悪人と..
by sakanoueno-kumo at 13:53
> sakanoueno..
by heitaroh at 11:42
案外、美魔女妻に叱られて..
by sakanoueno-kumo at 21:20
> sakanoueno..
by heitaroh at 19:43
だけど、黒木華ちゃんって..
by sakanoueno-kumo at 10:59
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:21
> sakanoueno..
by heitaroh at 18:06
今は昔と違って、チームの..
by sakanoueno-kumo at 15:42
中村メイコさんの前日に八..
by sakanoueno-kumo at 15:31
> sakanoueno..
by heitaroh at 15:33
いわゆる「危機管理」と「..
by sakanoueno-kumo at 11:39
> sakanoueno..
by heitaroh at 12:58
あけましておめでとうござ..
by sakanoueno-kumo at 17:36
> sakanoueno..
by heitaroh at 16:54
検索
タグ
(67)
(56)
(55)
(53)
(50)
(46)
(43)
(42)
(42)
(36)
(33)
(32)
(31)
(31)
(30)
(28)
(27)
(27)
(26)
(26)
(25)
(24)
(24)
(24)
(24)
(23)
(22)
(21)
(21)
(21)
(21)
(20)
(20)
(19)
(19)
(18)
(18)
(17)
(17)
(17)
(16)
(16)
(16)
(15)
(15)
(15)
(14)
(14)
(14)
(14)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(13)
(12)
(12)
(12)
(12)
(12)
(11)
(11)
(11)
(11)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
(9)
(9)
(9)
(9)
(9)
カテゴリ
以前の記事
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
最新のトラックバック
フォロー中のブログ
ブログパーツ
  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧