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高校野球の女子マネージャーが読むもしドラッカー その6
親愛なるアッティクスへ

昨日の続きですが、ここしばらく、堅苦しい話ばかりでしたので、本日は敢えて、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を構成する根幹である野球の部分について触れてみたいと思います。

同著では、主人公の少女が属する弱小野球部を勝ち進ませる為の革新的な戦術として、「送りバント」「ボール球を打たせる投球術」の廃止を採用するのですが、この点で、まず、「送りバント」についてはまったくもって私も以前から疑問でした。
高校野球の場合はどうかわかりませんが、プロ野球に置いて、今のように送りバントが多用されるようになったのは広岡達郎氏が西武を率いた辺りくらいからではないかと思います。
(無論、その前から、川上哲治監督に率いられた頃のV9巨人なども似たようなことはありましたが、それでも、その頃はそんなことするのは川上巨人だけで、今のように、猫も杓子も、「走者が出たら確実にバントで送って・・・」などというようになったのは、やはり、広岡さんの管理野球辺りからだろうと。)

ただ、広岡氏の頃は、それはそれで、一つの見識だったんでしょうが、その当時と今とでは、前提が大きく変わってるんですよ。
それすなわち、「昔のように簡単にバントさせてくれなくなった・・・」ということです。
昔は、守る側にも、「バントしたければさせれば。代わりに、1死とれるんだから・・・」という感じがあり、むしろ、「歓迎」しているような雰囲気さえありました。
実際、それほど、送りバントを失敗しているシーンを見た記憶はありませんしね。
ところが、今は、広岡思想が西武の常勝化という形で行き渡ったようで、平たく言うと、各球団とも、出した走者を送られることの不利を理解したことから、その対策も良く研究しているようで、今は、簡単には送りバントさせてくれなくなりましたし、成功しても、その後の守備体系も緊密化されており、走者3塁ならまだしも、2塁からだと、なかなか、1安打では返って来られないケースも増えているように思います。

従って、送りバントを失敗すると、ただ単にアウトカウントを1つ増やすだけのことになるし、成功しても、得点に結びつけられないということを考えれば、リスクの割りにはリターンが少ないという、つまり、あまりにも非効率的であると・・・。
この点、外国人監督、特に、元阪神監督のブレイザー氏などは送りバントには否定的でしたが、日本の監督、特に、福岡ソフトバンクホークス王 貞治氏の監督時代などは、選手の得手不得手には構うこと無しに、やたらバントを命じ、選手が失敗すると、意地になって3バント失敗するまでやらせてましたが、ああいうのは、単に選手の気持ちを委縮させるだけですよ。

一方で、「ボール球を打たせる投球術」の方ですが、確かに複数の投手でローテーションするプロ野球と違い、少数の投手で勝ち進むことが多い高校野球の特性を考えれば、なるほど、ひとつの見識なのだろうと思います。
打者にストライクではなくボール球を打たせようとすると、どうしても、球数増えてしまいますしね。
ただ、それ以上に、これはむしろプロの方で言えることのように感ることなのですが、「打者の方も、最近では簡単にはボール球を振らなくなっている」→「投手も余計、際どい所を狙うことを要求されることから、若い投手は四球連発したりする」→「四球を出してはいけないと思うから萎縮してしまう」→「結果、良い投手が育たない」という悪循環・・・。
まったく、前述の某在福球団を見るような気がするのは私だけでしょうか。

明日に続く。
                                         平太独白
by heitaroh | 2010-04-08 18:31 | スポーツ | Trackback | Comments(4)
Commented by sakanoueno-kumo at 2010-04-09 14:40
送りバントに関してはいろんな意見があって然りだと思いますが、私は肯定的です。(私の教える少年野球ではやらせませんが・・・。)
ハイリスク、ローリターンとおっしゃってますが、強攻策の場合、ダブルプレーというリスクが生じます。打球が速くなった近代野球では特にそれが顕著に見られるわけで・・・。もちろんケースバイケースですが、どうしても1点欲しいとき(例えば1点ビハインドで迎えた終盤の攻撃など)には必要な策かと・・・。無死1・2塁などの場合は、送って1死2・3塁にすれば、内野ゴロでも得点に繋がりますし、前進守備をしてくれれば、内野の頭を超えて安打になる確率が高くなります。満塁策という作戦があるということから考えても、ホースプレーが取れる形というのは守備側にとっては楽なわけで、攻撃側はランナーがタッチプレーになる形を作るのが理想的だと思います。
そう考えれば、1アウトからの送りバントは私も否定的です。

Commented by sakanoueno-kumo at 2010-04-09 15:02
次に、「ボール球を打たせる投球術」ですが、ボール球を打たせる→球数が増えるというのは違うと思います。球数が多い投手というのは、松坂投手を例とするような、三振をとれる速球派の投手です。彼らは三振をとるために布石になるボール球を多投しなければなりません。必然的に球数が多くなります。かたや、ボール球を打たせる投球=打たせてとるピッチングと解釈しますが、この種の投手はスピードボールを持たない変化球主体の軟投派が多いと思いますが、この種の投手の場合、打ち気に逸った打者は早いカウントで手を出すことが多く、その打ち気を利用してボールゾーンの変化球を引っ掛けさせて内野ゴロに討ち取る。これは実はとても省エネ投球術なんですね。遅い球というのは打者側から見れば打てそうな気がしますから。阪神の下柳などが例に上げられます。
ただ、このような投球術は、絶妙なコントロールを持った投手にしか出来ない技で、おっしゃられているような四球を恐れて萎縮してしまうような投手には向いていない技でしょう。
Commented by へいたらう at 2010-04-09 19:31 x
< sakanoueno-kumoさん

少し、舌っ足らずになっておりました。
私が申し上げたかったのは、「猫も杓子もというほどに多用されることが多くなった送りバント」についてでして、送りバントそのものを、一切、封印するべきだということではありませんでした。
仰られるとおり、ダブルプレーの方を恐れなければならないケースや、やった方が効果的な相手に対してはやるべきだと思います。

ただ、走者が出れば、とにかく送りバント・・・というのはどうかと思うんです。
もっとも、最近では、プロも、序盤では以前ほど、あまり、送りバントしなくなりましたよね。
でも、最近、王さんだったか、序盤から、相手投手が立ち上がりに苦しんでいるのに、送りバントして、1死献上して、結果、投手が立ち直るきっかけを与えてしまったという試合がありました。
明らかに、相手投手はラッキーという感じでしたし。
すべての場面で、すべてに、「セオリー」を当てはめようとする、そういう姿勢に疑問を感じる・・・ということでした。
Commented by へいたらう at 2010-04-09 19:48 x
<sakanoueno-kumoさん

確かにそうですね。
仰るとおりで、「ボール球を打たせる=球数が増える」という根拠はどこにもありませんですね。
この本には、「ストライクゾーンで勝負する」→「相手打者が早いカウントから打ってくるケースが増える」→「守備を鍛える」となってましたので、「=球数が減る」と思いこんでおりました。
この本の言うことにも一理あるように思うんですけどね。

正直、よくわかりません(笑)。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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