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高校野球の女子マネージャーが読むもしドラッカー その3
親愛なるアッティクスへ

先週よりの続きです。

次に私の興味を惹いたのが「専門家」についての部分でした。
この物語では、野球部マネージャーである少女マネジメントに目覚めて、甲子園に向けて奮闘するわけですが、ただ、そうなると問題になるのが、本来、マネジメントをする役割である「監督」の立場です。
もし、監督がばっちりマネジメントをやっているのなら、この少女の出番はなくなるわけだし、かと言って、能力も、少女に奮闘させる雅量もない人物であれば、これまた、物語は成り立たないわけで・・・。
で、この物語では、監督を「マネージャー」ではなく、「技術屋」として描いており、この辺の作者の設定の巧みさには思わず、感心しましたね。
(この部分を、ドラッカーは「専門家」という言葉で顕し、私は常々、「技術屋」と表しておりました。)

曰く、「 専門家にはマネジャーが必要である。自らの知識と能力を全体の成果に結びつけることこそ、専門家にとって最大の問題である。専門家にとってはコミュニケーションが問題である。自らのアウトプットが他の者のインプットにならないかぎり、成果はあがらない。専門家のアウトプットとは知識であり情報である。彼ら専門家のアウトプットを使うべき者が、彼らの言おうとしていること、行おうとしていることを理解しなければならない。
 専門家は専門用語を使いがちである。専門用語なしでは話せない。ところが、彼らは理解してもらってこそ初めて有効な存在となる。彼らは自らの顧客たる組織内の同僚が必要とするものを供給しなければならない。
 このことを専門家に認識させることがマネジャーの仕事である。組織の目標を専門家の用語に翻訳してやり、逆に専門家のアウトプットをその顧客の言葉に翻訳してやることもマネジャーの仕事である」

物語での監督は、この指摘通りに、知識に関しては並外れたものを持ちながら、自らの意図を人に周知させる説明能力、部員の欲求をくみ取るコミュニケーション能力に、決定的に欠けている典型的技術屋として描かれており、その欠けた部分をマネージャーである少女が補うことで、物語は進み始める・・・と。
(おそらく、この部分の設定こそが作者がもっとも苦心した部分ではないかと。)
ただ、一方で、この部分では私的には未だに理解しきれていないものを感じています。

私が、ここまで読み終えた時点で感じたのは、「監督をやっているからと言ってその人が監督であるとは限らない。社長が社長の名札を付けているからと言って社長であるとは限らない」ということでした。
つまり、その人は適任だから、そのポジションにいるとは必ずしも限らないし、そのポジションにいる者が、そのポジションに相応しい役割を果たしているとも限らない・・・と。
そして、その意味での好例こそが本田技研工業の創業当初の体制でしょう。
ホンダの社長は本田宗一郎でも、実際に「経営」の職を担っていたのは藤沢武夫副社長であり、事実、当時のホンダの手形は「代表取締役副社長 藤沢武夫」の名前で振り出されていたことを考えれば、経営者=社長という観点から見る限りでは実態は「藤沢社長」に「本田(技術担当)副社長」・・・だったと思うんです。

次回に続く。
                                         平太独白
by heitaroh | 2010-04-05 15:33 | 経済・マネジメント | Trackback | Comments(0)
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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