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大河ドラマ「龍馬伝」に見る人間とは業の深い生き物
親愛なるアッティクスへ

今年も大河ドラマ「龍馬伝」始まりましたね。
名優・香川照之さんが演じる岩崎弥太郎の目を通して語る「龍馬」・・・というのは司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」から離れるという意味で新鮮で良いんじゃないでしょうか。
ただ、香川さんは同じNHKの「坂の上の雲」で晩年の正岡子規を演じ、もの凄い減量をされたばかりなんですよね。
で、今度は若いときならまだしも、功成り名遂げてからの「恰幅が良い」岩崎弥太郎から語り始めなければならないわけでしょうから・・・、大丈夫ですかね。
まあ、今時は医師トレーナーなどのきちんとした管理の下でされるので心配は要らないのしょうが、それにしても・・・と。

で、その龍馬伝ですが、と言っても、実はまだよく見てないのですが、坂本龍馬の子供時代・・・といえば、どうしても土佐・・・、現在の高知県の「上士郷士(下士)の葛藤」というものが避けて通れませんよね。
土佐藩は関ヶ原後に新たに領主となって進駐してきた山内家の家臣を上士とし、それ以前からの土着の旧長曽我部家の遺臣らを郷士とすることで成立しており、郷士は上士からの激しい抑圧に晒されていた・・・というものですが、この点で、数年前の大河ドラマ「新撰組」では、土方歳三近藤勇が新撰組に入る前に坂本龍馬と会って話をするというシーンがあったのを思い出しました。
土方が「おまえは侍だから良いよな」と言うと、坂本が「侍言うても、わしら郷士は侍のうちに入らんぜよ」と言い、さらに、「それでも、侍は侍だ」という土方に対し、坂本は「わしら、土佐の郷士言うのんはのう・・・」と言って、その置かれた環境の厳しさを語る・・・と。

大河ドラマ「龍馬伝」に見る人間とは業の深い生き物_e0027240_192320100.jpgまあ、上士と郷士という身分差別は必ずしも土佐藩だけに限ったことではなく、どこの藩でも多かれ少なかれ見られたことでしょうし、それ以前に江戸時代というのは精巧なまでに細かく仕切られたピラミッド型身分社会であり、司馬さん曰く、「自分より低位の者に対し意地悪をする社会」だったそうですから、何も彼らだけが不遇だったわけでもなかったのでしょうが、それにしても確かに土佐の郷士の置かれた環境は過酷だったようですね。
(←当時の身分制度の頂点に位置した孝明天皇が行幸する際に使用した車・・・だそうです。)

ただ、その意味では、土方が言うことにも一理あります。
郷士身分にいる人たちは、自分たちの置かれた環境を嘆くものの、その郷士以下の身分・・・、土佐藩で言えば岩崎弥太郎や近藤長治郎などに対して、彼らは温かく接したかといえば決してそうではなく、それどころか自らが抑圧された者ほど他者を抑圧することにはけ口を求めるもののようで、自らが受けた仕打ちと同じような酷い対応で臨んだわけで、この点、まさしく、司馬さんの言われる「意地悪」以外の何ものでもないでしょう。
人間とは誠に残念ながら、誰かしら他者を蔑むことで自らの位置を確認しようとする哀しい生き物であり、何とも業の深い生き物である・・・と。
                                         平太独白
by heitaroh | 2010-01-05 19:25 | 歴史 | Trackback(1) | Comments(2)
Tracked from 坂の上のサインボード at 2010-01-05 23:52
タイトル : 龍馬伝 第1話「上士と下士」
 明治15年、三菱会社社長となった岩崎弥太郎のもとに、坂本龍馬という人物について話を聞かせてほしいという記者が訪れる。この脚本の設定は、あながちフィクションとも言えない。平成の現代では、歴史的英雄と評される坂本龍馬だが、明治のこの時期には激動の歴史の中で忘れ去られていた存在だった。明治政府のパトロンとも言えるほどの財力を手に入れた弥太郎に対して、既に過去の人物として埋もれてしまっていた龍馬。再び坂本龍馬の名が世に響き渡るのは、1883年(明治16年)に高知の土佐新聞で連載された「汗血千里の駒」という龍...... more
Commented by sakanoueno-kumo at 2010-01-05 23:51
>誰かしら他者を蔑むことで自らの位置を確認しようとする哀しい生き物・・・。
なるほどそのとおりかもしれませんね。
自分より低位の者に対し意地悪をしながら、一方でその低位から成り上がった、龍馬や秀吉などを英雄として好むのは、その裏返しの心なのでしょうね。
TBさせていただきます。
Commented by heitaroh at 2010-01-06 11:07
<sakanoueno-kumoさん

秀吉と龍馬とでは成り上がりという点では結構違うと思いますよ。
本人たちも同様に論じられるのは迷惑だ・・・と言うのでは(笑)。

むしろ、成り上がってから後に秀吉が百姓らにしたことが、それを端的に表しているでしょうか。
龍馬は成り上がる途中で終わったわけですしね。
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国際問題からスポーツまで、世の出来事に対し独自の歴史観で語ります。

by 池田平太郎
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プロフィール
池田平太郎

昭和36年 福岡市下人参町(現福岡市博多区博多駅前)で代々大工の棟梁の家に生を受ける。

昭和43年 博多駅移転区画整理により、住環境が一変する。
物心付いて最初に覚えた難しい言葉が、「区画整理」「固定資産税」

以後、ふつー(以下?)に現在に至る。

平成16年 関ケ原の戦いで西軍の総大将に担ぎ上げられてしまったために、大国毛利を凋落させた男、「毛利輝元」の生涯を描いた小説、[傾国の烙印―国を傾けた男毛利輝元の生涯]を出版。

平成18年 老いた名将信玄に翻弄される武田勝頼を描いた[死せる信玄生ける勝頼を奔らす]を出版。

平成20年 共に絶版となる。

平成22年 性懲りもなく、黒田如水・長政・忠之、三代の葛藤と相克を描いた「黒田家三代―戦国を駆け抜けた男達の野望」を出版。

平成23年 処女作「傾国の烙印」がネット上で法外な値段で売買されている現状を憂慮し、「毛利輝元 傾国の烙印を押された男」として復刻再出版

平成25年 前作、「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす」が大幅に割愛された物だったことから、常々、忸怩たる思いがあり、文庫本化に際し、新たに5倍近くに書き足した「死せる信玄 生ける勝頼を奔らす 増補版」として出版。

平成29年 兄、岩崎彌太郎の盛名の影に隠れ、歴史の行間に埋没してしまった観がある三菱財閥の真の創業者・岩崎弥之助を描いた、「三菱を創った男岩崎弥之助の物語 ~弥之助なかりせば~」を出版。

わかりやすく言うならば、昔、流れていた博多のお菓子のCM、「博多の男は、あけっぴろげで人が良く、少しばかり大仰で祭り好き」を聞き、「人が良い」を除けば、何とピッタリなんだと思った典型的博多人にして、九州データブックという、まじめな本に「福岡県の県民性」として、「面白ければ真実曲げてもいい」と書いてあったことに何の違和感も持たなかった典型的福岡人
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